地域で大事な役割を担う子ども食堂等 支える
子ども食堂・宅配への 備蓄米の無償提供が充実
(公明新聞 2025/10/18 3面) 農林水産省は公明党の強い訴えを受け、地域の子どもらに食事などを提供・宅配する子ども食堂・宅食、困窮者らに食品を提供するフードバンクなどへの政府備蓄米の無償提供について、今月から追加支援を実施している。
食堂や宅食の団体への年度内上限を従来の3トンから7.2トンに引き上げた。フードバンクに対しても、新たに最大25トンの提供を受けられる支援を実施している。
■「コメが高い中、心強い」/東京・足立区の団体代表理事
東京都足立区の子ども食堂「みんなの家」を訪れると、利用者らの笑い声に包まれた。食卓には、サラダにフルーツ、スープ、焼きビーフンなど彩り豊かな料理が並び、目にも舌にも楽しい食事が広がっていた。
同食堂は昨年4月の立ち上げから週3回、子どもは無料、18歳以上は300円で食事を提供している。毎週訪れるという育児中の女性は「温かい雰囲気で地域の方と交流でき、新しい家族ができたよう」と笑顔を見せた。
多くの利用者でにぎわう一方、食材価格高騰で、運営費の負担は重くなっている。「備蓄米の無償提供は、コメ価格高騰の中で、本当に心強い」と、同食堂を運営する団体の鈴木康一代表理事は実感を込めて語る。
この団体は昨年度、60キロの備蓄米の提供を受け、食堂で出す食事に使った。今年度はフードバンクを通じて270キロを受け取り、困窮世帯などへの配布も行っている。
子ども食堂は近年、老若男女を問わず誰もが集える“地域の居場所”として徐々に広がりを見せている。2024年の調査では、全国1万867カ所、年間延べ利用者数は推計1885万人に上る。ただ、人手や資金、食材の確保に苦労する団体も多い。物価高の影響も重なり、活動の継続に不安を抱く声もある。
■ 上限量3トン→7.2トンに/今年度の措置
今回の追加支援は、コメ価格高騰での影響を受ける子ども食堂が多いことなどを踏まえた今年度限りの措置。農水省とこども家庭庁が連携し、「食育」の一環として今月から実施している。
子ども食堂・宅食は、日本穀物検定協会に申請すると、1申請当たり上限600キロが年度内に5回まで精米(無洗米) の形で送料無料で提供されているが、今回さらに追加で7回申請できるようになった。年度内最大5回で計3トンだった提供上限量は同12回で計7・2トンまで拡大した。
今回は、申請手続きも簡素化し、こども家庭庁の助成をすでに受けている食堂・宅食団体は、「食育の取り組み内容が分かる資料」の添付などを省略できるようにした。
■ フードバンク追加募集/申請は31日まで
フードバンクについては、年2回(2月、8月) の募集で年度内上限50トンだが、今年度は7月に追加募集が行われ、今回さらに10月にも25トンを上限に追加募集が進められている。同協会に行う申請は、14日に始まっており31日まで。
農水省の担当者は「支援の充実を通して、各団体に十分な支援を行き渡らせたい」と話している。
■ 公明、創設・拡充リード
備蓄米の子ども食堂・宅食やフードバンクへの無償提供は、公明党が現場の声を受けて制度の創設・拡充を一貫して推進してきた【表参照】。
17年3月の参院農水委員会で、竹谷とし子氏が備蓄米について「生活が困窮して食べ物が足りない人々、フードバンクや福祉に回すべきだ」と提案。慎重な農水省に公明党が粘り強く折衝を重ねた結果、コロナ禍を機に、20年5月に無償提供が始まった。
■ “精米を送料無料で” 実現
当初は、玄米で提供され、配送費が自己負担だったが、公明党の訴えで同年8月から精米提供と国負担による配送が実現。さらに、翌21年2月には「子ども宅食」も対象となり、提供の上限量や申請回数の拡大が進んだ。昨年11月にはフードバンクも対象に加わった。これらが、今回の追加支援につながった。
竹谷代表代行は「地域で大事な役割を担う子ども食堂やフードバンクの取り組みを、今後も現場の声を聴きながら力強く支えたい」と語る。
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