問題解決の頼れる見方 暮らしの中での困り事を総合的に相談できる窓口
(6日 公明新聞) 介護・医療・保健・福祉などの側面から高齢者の生活を支えるのが地域包括支援センターです。
具体的な業務内容や使う上でのポイントについて、日本男性看護師会の坪田康佑代表理事に聞きました。
地域包括支援センターとは高齢者にまつわる問題に対して、どんなことでも総合的に相談を受け付けてくれる“よろず屋”のような存在といえます。
市町村が設置主体となり、保健師・社会福祉士・主任ケアマネジャーなどを配置し、多職種が連携しながら相談者の生活安定のために保健医療、福祉の向上を包括的に支援する、問題解決の頼れる味方です【図参照】。
対象は本人もしくはその家族と認識している人も多いですが、同センターは第三者の利用も可能です。
例えば、「高齢夫婦の住む隣の家で、よく怒鳴り声が聞こえてくる」といったケースの場合、隣人が相談をしても問題ありません。
業務は大きく分けて四つです。
これは「要支援1・2や要介護1など、比較的介護度が低い人たちに向けたサービス」といえます。現状から状況が悪化しないように、介護予防や日常生活支援を行います。
具体的には、ロコモティブシンドローム対策のための健康教室や、栄養をしっかり摂取してもらうことを目的とした独居老人のための食事教室への参加などを促します。
■ 総合相談支援
地域の高齢者や介護者に対して相談・支援を行い、適切なサービスや制度利用につなげるための受付窓口です。
例えば、遠隔地に住む息子さんからの電話で「うちの両親が認知症のようだ」との相談を受ければ、話を聞いた上で、地域の医療機関を紹介してくれます。厳しい状況であれば職員が直接訪問して対応することも可能です。
■ 包括的・継続的ケアマネジメント支援
高齢者が住み慣れた地域で暮らし続けられるよう、介護支援専門員や主治医、家族などが連携し、個々の高齢者の状況や変化に応じて、包括的・継続的な支援を実施します。
一例として、入院していた人が退院する時、医療機関が誰につなげればいいか分からない事態があります。これを防ぐため、サービス事業者たちの連携を目的とした「地域ケア会議」を事前に開催し、退院後の連携先と顔合わせをしておくといった調整を行います。
■ 権利擁護
高齢者が自分らしい暮らしを続け、尊厳ある生活を送れるようにします。
特に多いのは高齢者の虐待です。実際に起こっている事案だけでなく、怒鳴り声や叫び声が聞こえるといった虐待の一歩手前の状況であっても相談できます。
また、認知症になったことで金融口座が凍結する問題で困っている人に対して、成年後見制度の活用方法などを紹介してくれます。
■ 増え続ける虐待件数
最近、高齢者に対する虐待件数は増え続けています。厚生労働省が実施している調査によれば、高齢者の世話をしている家族や親族などによる虐待の相談・通報件数は2023年に4万件を超えました【グラフ参照】。
ここには、身体的虐待だけでなく、心理的虐待や性的虐待、高齢者を衰弱させるような介護・世話の放棄なども含まれます。高齢者の生命や健康、生活に支障を来すような虐待は、その人の生存権を脅かす重大な問題です。
こうした虐待を事前に見つけて対処するのも、地域包括支援センターが行う権利擁護業務に含まれます。
■ まずは電話で問い合わせ、内容に応じ専門家が面談
地域包括支援センターを利用する際は、まず相談者の住む地域にある同センターに電話で問い合わせてください。自分の困っていることが明確になっていない状況でも大丈夫です。電話をする中で、担当者が言語化の手伝いをした上で、その人に合った制度やサービスを探してくれます。
もし、電話だけで解決するのが難しい場合、内容に応じて職員から引き継いだ、社会福祉士や保健師、主任ケアマネジャーなどの専門家と面談を行います。同センターに訪問するのが難しければ自宅で面談することも可能です。
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高槻市の地域包括支援センター
高齢者が住みなれた地域で、安心してその人らしい生活を継続できるよう、介護をはじめ、福祉、医療などさまざまな面から支える地域の拠点として、市内12箇所に設置されています。
保健師、社会福祉士、主任ケアマネジャーなどの専門職が、高齢者への総合的な支援を行います。
地域包括支援センターは、地域の中核機関として高齢者の状態に合わせて必要なサービスが切れ目なく提供されることを目指しています。
詳しくはパンフレットをご参照下さい。(高齢者の身近な相談室)
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地域包括支援センター <あきひログ
《私の質問》
(2014年) 12月4日当時 12月定例会質疑
今後、高齢化率は増加の一途をたどることは間違いないことで、この超高齢社会をどのように迎えていくのか重要なテーマであると申し上げ、その一つとして地域包括支援センターが担う役割は、益々、重要になってくると感じています。
ご答弁で示されたように、職員の資質向上のための研修会の充実、課題解決への総合的な取組み、また、公正・中立性の確保は重要です。
本市でも、私の方からの要望に対して、本年より、高槻市社会福祉審議会高齢者福祉専門分科会を通じて、「要支援者が要介護認定となった際に居宅介護支援事業所に繋いだ件数」などで、透明性の一歩を踏み出しました。
但し、このような資料や、施設に特化したガイドブックなどは、ホームページには掲載されていませんので、是非、オープンにして頂きたいと改めて要望をさせて頂きました。(2013年12月21日 介護サービス向上へ[一般質問から完成]) → 高齢者施設利用のためのガイドブック(令和6年6月版)
さらに、本市での今後の課題として、介護支援専門員をはじめ、市独自の職員配置や財源等もありますので、今後、環境等が変化していく中で、さらに適切な取組みの検討をお願い致しました。