高額療養費制度見直し
多数回該当は「据え置き」 厚労相が表明 長期の治療に配慮
(15日 公明新聞より) 医療費の窓口負担に上限を設ける高額療養費制度の限度額引き上げを巡って福岡資麿厚生労働相は14日、厚労省で全国がん患者団体連合会の天野慎介理事長らと面会し、1年間で4回以上利用するとさらに上限が下がる「多数回該当」の限度額については据え置く考えを表明した。
同日開かれた自民、公明の与党両党による協議を踏まえたもの。公明党は患者団体の声を聴き、長期療養に配慮した対応を推進した。
高額療養費制度を巡っては、高齢化や高額な薬剤の普及で総額が年々増加し、結果として現役世代を中心に保険料負担が増えていた。
政府は、セーフティーネット(安全網) 機能を維持しつつ、全世代の保険料負担を減らすため、今年8月から限度額を段階的に引き上げる方針を示していた。
一方、一律に負担が増えれば、がんや難病など治療が長期にわたる患者らにとって生活苦や受診抑制、治療の断念につながりかねないとして、見直しを求める声が当事者やその家族から上がっていた。
■ 公明の提案受け、与党で対応検討
公明党は1月31日、天野理事長らから制度の見直しについて意見を聴取。今月4日には自民、公明両党幹事長の会談で、公明・西田実仁幹事長が、利用者の自己負担について「何らかの対応が必要」との問題意識を投げ掛け、検討していくことで一致するなど取り組みを推進した。
福岡厚労相の表明に先立ち、公明党の斉藤鉄夫代表は14日午前、衆院第1議員会館で天野理事長らと会い、多数回該当の限度額据え置きについて要望を聴いた。他にも ▽ 子育てしながら治療を受ける人などをサポートするため、高額療養費制度以外の支援を充実 ▽ 制度改正などを審議する際に当事者を参画させるプロセスを確立–といった要請を受け、斉藤代表は「重く受け止めて協議を進める」と応じた。
■ 多数回該当の例
現在、年収約370万~約770万円の場合、高額療養費制度の限度額は少なくとも月8万円超だが、多数回該当になると同4万4400円まで下がる。