道路の陥没事故
「主張」再発防止へ点検、補修の徹底を 国交相、人命救助と応急復旧へ準備加速
(2月1日 公明新聞「主張」より) 突然、道路が陥没し、走行中のトラックが落下する衝撃的な事故が起きた。まずは運転手の救助を急ぐとともに、事故原因の究明と再発防止策を徹底することが重要だ。
事故は1月28日、埼玉県八潮市の県道交差点で発生した。陥没は周辺にも拡大しており、近隣住民が避難を余儀なくされる深刻な事態になっている。
県によると、事故の原因は腐食した下水道管が破損して管の中に土砂が流れ込み、地中に空洞ができたためとみられている。人命救助が最優先のため、下水道管の早期復旧は見込めず、県は周辺自治体の約120万人に対し、洗濯や風呂の排水など下水道の使用を控えるよう呼び掛けている。
公明党の石井啓一常任顧問や県議団が直ちに要望したように、県民生活への影響を抑えるため、政府と県は下水道の応急復旧を急いでほしい。
下水道管の破損による道路の陥没は、各地で多発している。国土交通省によると、2022年度には全国で約2600件も起きており、原因の多くは老朽化による破損だ。標準的な耐用年数を超える下水道管は今後、急増することが見込まれており、老朽化対策は喫緊の課題である。
再発防止のため、政府は下水道を管理する全国の自治体に緊急点検を要請している。速やかに対応し、リスクの“芽” を摘む必要がある。
その上で、より大切なのは、下水道管の定期的な点検と適切な補修を徹底することだ。
事故が発生した箇所は、県が21年度に実施した調査では、すぐに補修が必要とは判断されなかった。点検の頻度や手法について、改めて検討する必要があるだろう。
下水道を管理する自治体は、財政難や技術系職員の不足で、十分な点検や補修が難しいといった課題もある。政府には、自治体をサポートする十分な予算を確保するほか、周辺自治体と協力して広域的に対応する体制整備などの後押しを強化してもらいたい。
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(1日 公明新聞より「中野国交相)」埼玉県八潮市で道路が陥没し、トラックが転落した事故を巡り、中野洋昌国土交通相(公明党)は31日の閣議後記者会見で、ドライバーの救助に全力を尽くすとともに、復旧に向け、国交省から専門家を派遣するなど「救助が完了次第、すぐに応急復旧作業に着手できるよう準備を進めている」と述べた。
事故は、老朽化した下水道管の破損が原因とみられる。中野国交相は「経済成長期以降に集中整備されたインフラは加速度的に老朽化している」と指摘。一方で「点検結果に基づく補修工事などが人的、財政的な制約から必ずしも十分には進んでいない」との認識を示した。
今後の対応については「事故原因の調査結果なども踏まえて、強靱な下水道の確保のために必要な対応をしっかり検討し、実施する」と述べた。