1万カ所を突破した“地域の居場所” 「明日の希望をつくり、未来を守る」が私のテーマ
(11日 公明新聞「土曜特集」より) 地域の子どもらに無料または低額で食事や居場所を提供する「子ども食堂」が全国的に広がり、1万カ所を突破したことが調査で分かった。
近年、急速に増えている背景は何か。調査を実施した認定NPO法人「全国こども食堂支援センター・むすびえ」の湯浅誠理事長に聞いた。
■ むすびえの調査から
むすびえは昨年12月、子ども食堂を支援する全国各地の「地域ネットワーク団体」と実施した「こども食堂全国箇所数調査2024」(調査期間=同年8~10月) の結果を発表した。
■ 公立中学校数、上回る
■ 年間約1890万人が利用
調査によると、子ども食堂の総数は1万866カ所で、前年度から1734カ所増加。公立の中学校と義務教育学校の数(計9265カ所) を上回った。年間延べ利用人数は推計で1885万人だった
増加の要因について同団体は「子ども食堂の位置付けが定着しつつある」と分析。「地域ネットワーク団体」が全都道府県で活動していることや、企業などが運営する子ども食堂が増加していることも挙げた。
一方、子ども食堂がある小学校区の割合「充足率」は34・66%。「小学生にとって小学校区を越えることは簡単ではない」として、全ての子どもがアクセスできる状態をめざすとした。
子ども食堂は、都市部だけでなく地方にも広がりを見せている。都道府県別では東京都(1160カ所) が最多で、大阪府、兵庫県が続いたが、人口10万人当たりで見た場合には、沖縄県(24・30カ所) が最多で、徳島県、島根県の順に多かった。子ども食堂が「地域のインフラとなりつつある」ものの、さらなる浸透には「活動内容をより広く知ってもらうための取り組みが依然として重要」と指摘する。
■ (背景) コミュニティー維持へ住民自らつながり再生
–子ども食堂の数が公立中学校数を上回った。
湯浅誠理事長
子ども食堂は、「食べられない子どもが行くところ」といったイメージを持たれていたが、徐々に、老若男女を問わず受け入れる“地域の居場所” として理解されるようになってきた。こうした居場所が身近にあることが当たり前になれば、地域のインフラになったといえる。中学校数は一つの重要なベンチマーク(指標) であり、それを超えたということは、本格的にインフラになり始めたと見ている。
–広がってきた背景は。
湯浅
地域のつながりが乏しくなったと感じた住民が自主的に始めていることが、最大の要因だ。人口減少が進む中、地域の持続可能性に対する不安が高まり、地域コミュニティーを維持するために何をすべきか考える人が増えている。
地域密着型の企業や団体にとっても、地域の持続可能性は経営に直結することから、食堂の運営に乗り出す動きも広がっている。また、食材の供給や運営者同士の連携を手助けする「地域ネットワーク団体」が全国で立ち上がり、体制が整ってきた。
子ども食堂は、多くの人が関心を持つ「子ども」と「食」というテーマが重なった。行ってみたい、応援したいという気持ちを起こす求心力の高い取り組みであることも、人々をつなぐ場として広がってきた要因の一つではないか。
–2011年の東日本大震災の翌年に始まり、コロナ禍でも増え続けた。
湯浅
つながりを維持する取り組みを追求した、子ども食堂を運営する人々の“たくましさ”にほかならない。いろいろな地域活動が接触を避けるために止まったが、子ども食堂は弁当配布といった形態にパッと切り替えて活動を続けた。そうした姿は、結果的に人々の協力や支援を呼び込んだ。
■ (課題) 物価高が深刻、後継者問題も
–拡大してきた中、現在の課題は。
湯浅
子ども食堂の数が足りていない。だんだんと「参加者」(利用する人) が増えるにつれてスペースが足りなくなり、落ち着いて過ごせる場所ではなくなってきたといった声を、全国で聞くようになった。
物価高も深刻だ。特に昨年、多くの子ども食堂が利用するコメの価格が上がったことは痛手だった。食材をもらい受けるため車を使う人も多く、ガソリン代高騰も影響が大きかった。
運営者が高齢であることも少なくない。80代の人が担っている例もあり、後継者問題も出始めている。
何より、民間のボランティアによる活動であるため、ヒト・モノ・カネが潤沢でないことは、当初から変わらない課題だ。
–子ども食堂への支援のあり方は。
湯浅
あくまで、各地域の支え合いで運営が成り立っていくようにすることが大事だ。例えば、市場には出せない野菜を地元の農家から提供してもらうことができれば、野菜を買わなくて済む。こうした“支え合いの地産地消” が進むよう「むすびえ」としても後押しする。
■ (展望) “支え合いの地産地消”国、自治体は後押しを
–“支え合いの地産地消” を広げていくため、国や自治体に求める役割は。
湯浅
行政が持つ「信用力」を生かし、商工会や校長会など地域団体と、子ども食堂を結び付けてもらいたい。これらの団体は、子ども食堂の活動を知れば応援してくれる可能性があるものの、子ども食堂を運営する一般住民にとって、関係を構築する機会が少ない場合もあるからだ。
地方新聞社や金融機関といった都道府県レベルで事業展開する組織には、都道府県から働き掛けるのが効果的だ。
国の役割も重要だ。政府として子ども食堂をどのように位置付け、支援しているかを自治体はよく見ている。
例えば、政府備蓄米を子ども食堂などに提供する取り組みが行われているが、これは自治体へのメッセージにもなる。
■ 首長の支援表明、議会から促して
このほか、中核市に限定したアンケートの結果ではあるが、首長が子ども食堂を応援すると意思表明することや、「地域ネットワーク団体」を支援することが効果的だと分かってきた。
–議会として貢献できることは。
湯浅
子ども食堂への支援に役立つ施策を議会として後押しし、行政を動かしてもらいたい。
特に、公明党の強みは、地方議会に多くの議員がいて、国と地方の連携が非常に密であることだ。コロナ禍でも地方から意見を吸い上げ、国の政策に反映していた。子ども食堂についても、“支え合いの地産地消”を行政に促すような働き掛けをお願いしたい。
ゆあさ・まこと 1969年、東京都生まれ。東京大学法学部卒。社会活動家。東京大学先端科学技術研究センター特任教授。政府の「こども家庭審議会・こどもの居場所部会」委員。著書に『つながり続ける こども食堂』など。
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地域の声をお聴きして、2022年6月定例会で一般質問
「子ども食堂について」子ども未来部に、2022年6月24日 (会議録 子ども食堂について/高槻市の総合計画について) を質問・要望を
子ども食堂 <あきひログ
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私が暮らす桜台地区では、桜台エリアネットワークが構築されています。
一般社団法人タウンスペース“WAKWAK” さんが中心となり、「子ども食堂」のモデル地域を目指し充実してきています。
私もお招きいただき、地域に広がる子ども食堂や、地域の皆さんのための「居場所づくり」が進んでいることに感動し、お手伝いできることに喜びを感じています。また、少子高齢化の環境や地域の課題解決に向け、地域に合った取り組みだと感じています。
新年6日も「今年はじめの “喫茶ぼちぼち”」へ行って来ました。ボランティアの皆さまや集われる皆さまと、“ぜんざい” を食し、ラジオ体操のポイントをご教示いただき、笑顔が広がる中に、子どもも大人も“一人じゃない” ことを実感できているのではないかと、大切な環境だと感じました。これからも応援していきたいと思います。
また、昨年から民間企業のご協力より、移動販売がはじまりました。あきひログ「移動販売で“つながる”」でもご紹介していますが、買い物を通して、地域の方同士の新たな集いの場になっており、楽しそうな会話であふれているとお聞きします。
これら、社会福祉法人高槻市社会福祉協議会でも取り上げていただき話題になっています。
私は、“明日の希望” を皆さまとつくり、未来を守ることをテーマに、今後も誠心誠意、役割を果たしていきたいと思っています。
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