参議院の役割 日本のお金の価値について
(4日 公明新聞より) 今回は、今年7月にも選挙が行われる予定の「参議院」の果たす役割と日本のお金の価値が変わる「円安・円高」の仕組みについて学んでみましょう。
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・参議院・
幅広い意見を反映させる「良識の府」
国会では、国会議員が法律を作るために話し合ったり、国の予算などについて議論します。主権者である国民の声を代表しているため、あらゆる国の機関の中で、最も重要な場として位置付けられています。
国会には、参議院と衆議院という二つの話し合いの場があります。こうした仕組みを「二院制」と呼びます。それぞれが独立して国政について議論することで、幅広い国民の意見を反映させ、チェックし合えるというメリットがあります。
参議院は定数248人で任期は6年です。3年に1回、半分の議員を選挙で選び直します。任期中の解散はありません。一方、衆議院は定数465人で任期は4年ですが、途中で解散することがあります。参院議員になれる年齢は30歳以上ですが、衆院議員は25歳以上と若くなっています。
参議院は任期が長く、解散もないことから、衆議院の決めたことに行き過ぎがないかをチェックし、補うことができます。また、法律案なども安定して議論することができます。このため、「良識の府」「再考の府」と呼ばれています。
半面、両議院がまったく同じ権限を持っていると、意見が異なった場合、物事が決めにくくなります。そこで、総理大臣の指名や予算、条約の承認については、衆議院で決めたことが優先されます。また、法律案に関しても、衆議院で可決後に参議院で否決されたら、再び衆議院で出席議員の3分の2以上が賛成すれば成立するようになっています。
現在、二院制を採用しているのは79カ国です。日本も含め、主要国首脳会議に参加しているアメリカ、イギリス、ドイツ、フランス、イタリア、カナダでは二院制を導入しています。
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・円安・円高・
日本円と海外通貨の価値が変わる
毎日のニュースで「円安」や「円高」という言葉を聞いたことがありませんか。これは、日本のお金である「円」と、海外のお金「外国通貨」の価値が変わることを意味します。この変わる価値のことを「為替相場」といいます。
為替相場では、日本のお金で、海外のお金が何円で買えるかを決めています。世界各国のお金は、たくさんの人たちが売ったり買ったりすることで、その価値が変わります。円安とは海外のお金に比べ、日本のお金である「円」の価値が下がっている状態を指します。円高は「円」の価値が上がっている状態です。
例えば、昨日まで1ドル=100円でした。それが今日になり、1ドル=200円に変わった場合、100円で買えた1ドルのリンゴが、200円払わないと買えなくなります。これが円安です。1ドル=50円になったら円高です。1ドルのリンゴが半分の50円で買えるようになります。
円安になると、少ない外国通貨で日本円を多く稼げるため、自動車メーカーのような外国に物を売る輸出企業はもうかります。円高になると、少ない日本円でも多くの海外製品を購入できるため、輸入企業は有利になります。日本を訪れる外国人観光客にとっては、商品が安くなるので買いやすく、飲食店やお土産屋などは、より繁盛するようになります。
デメリットもあります。円安時には輸入している物の値段が上がります。食料や石油などの多くを輸入に頼っている日本の場合、物価が上昇します。円高になると、輸出企業の利益が減ります。
過去、円の価値は2011年に75円の最高値の時がありました。現在は円安傾向で、昨年、約34年ぶりの円安水準になりました。