蛇口から水が飲めるあたりまえを続けていくために
「高槻市水道事業の将来にわたる安定経営に向けて」を一般質問
19日(木) 令和6年12月高槻市議会定例会の本会議最終日。
高槻市水道部に「高槻市水道事業の将来にわたる安定経営に向けて~蛇口から水が飲めるあたりまえを続けていくために~」について一般質問致しました。(正式な発言は後日、会議録をご参照願います)
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(1問目) 皆さま、こんにちは。公明党議員団の吉田章浩でございます。今回は、1項目目に「高槻市水道事業の将来にわたる安定経営に向けて~蛇口から水が飲めるあたりまえを続けていくために~」について、2項目目には「ともに子どもたちを育む学校の環境づくりについて」を、一般質問をさせていただきます。
1項目目の高槻市水道事業についてです。
タイトルに掲げました「将来にわたる安定経営に向けて」につきましては、皆さま、ご存じの通り、広報紙「たかつきDAYS 7月号」と一緒に全戸配布されました高槻市水道部のチラシの吹き出しにある文言のことです。●こちらがそのチラシです。
どうか、水道部の皆さまには、さらなる周知と、市民の皆さまには、本市の水道事業の現状を注視していただければと思います。
同じ紙面に、学識経験者や市民代表による審議会から答申を受け取りましたと記されている通り、今年5月に答申を受け取られ、6月議会の福祉企業委員会で、その内容について報告がなされました。●
審議会からの答申内容は、水道管路の着実な強靭化を推進するとともに、その財源の確保策として、水道料金の見直しや企業債の借り入れのあり方について検討されたいとありました。
6月の委員会協議会の報告では、水道部として、この答申を踏まえて今後、具体的な方策を検討していくとのことでありましたが、答申から半年が経った今、検討の状況はどのようになっているのか。今後の安定経営についてお聞きしたいと思います。
はじめに、高槻市の水道施設の多くは、昭和30年代以降の人口急増期に集中的に整備され、今では、全長1,075kmで直線距離にして、高槻市から札幌市までの距離と言われています。中でも、法定耐用年数40年に対して、超過したものや、今後20年で超過するものを合わせて780km。水道管の更新費用は、1km当たり約2億円かかり、さらに、これらの施設が続々と更新時期を迎えるとされ、6年後の令和12年度までに約224億円が必要と試算されています。
また、加えて原材料価格や電気代の高騰により、建設費や維持管理費が上昇していく状況です。
1問目の1点目として、ライフラインである水道事業について、本市は80年以上、安全な水を安定的に供給してこられました。今後の施設更新等について、まずは、水道部としての考え方をお聞かせください。
2点目につきましては、税金ではなく利用料金での独立採算制の事業体として、これまでの取り組みや経営状況を含め、諮問に至る背景と経過について説明をお願い致します。
3点目につきましては、答申を受け、水道部においてどのような検討や取り組みを進めてこられたのかお聞かせ願います。
以上、1問目です。
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(水道部長 答弁) 水道事業の経営に関するご質問にお答えいたします。
まず、1点目の今後の施設更新等の考え方についてでございますが、市民の財産である水道施設を次の世代に継承し、将来発生が予想される南海トラフ地震等の大規模災害時においても、安全な水を安定的に供給し続けるためには、増大する施設の更新需要に対応して、計画的に更新を進めていく必要があると考えております。
次に、2点目の水道事業審議会への諮問の背景・経過についてでございますが、これまで、水道料金の徴収・検針業務や大冠浄水場の夜間・休日運転監視業務の外部委託化、芥川受水場・天神山第一配水池の廃止など、事業の見直しとともに、給水量の減少傾向を見据えて管路のダウンサイジングを進め、大冠浄水場の自己水の給水区域の拡大により大阪広域水道企業団への受水費の削減を図るなど、コスト縮減による効率的な経営に努めてまいりました。
しかし、水需要の減少や、施設・管路の更新需要の高まりなど、収入の減少と支出の増加が今後も続くことが見込まれ、令和12年度には収支赤字と資金不足に転じるとの見通しの中、水道事業の経営状況の精査、課題の整理を行い、将来にわたり安定した経営を行うための方策について、多角的な視点からご審議いただくため、令和5年8月に水道事業審議会に諮問したものでございます。
次に、3点目の答申後の検討・取組の状況についてでございますが、水道施設の強靭化につきましては、基幹管路・重要給水施設管路の耐震化を着実に進めるために必要な事業費の精査を行ったところでございます。
また、大冠浄水場につきましては、浄水処理工程の段階的更新を進めてまいりましたが、9月議会の福祉企業委員会協議会においてご報告いたしましたとおり、国におけるPFAS(ピーファス) 類の規制値や処理方法に関する検討の方向性が明らかになるまでの間、更新事業を見合わせることといたしました。今後も引き続き、国における動向を注視してまいりたいと考えております。
財源確保の方策といたしましては、今後の管路更新の事業費などを含めた収支の見通しを試算した結果、令和17年度には約132億円の資金不足が見込まれます。これを、水道料金の見直しや企業債の活用などにより増収を図る必要があり、水道料金については答申で示された本市の料金体系の課題の是正や必要な水準への見直しを、企業債については妥当な水準での活用に向けて、検討を進めているところでございます。
また、国において、能登半島地震の被害状況を踏まえ、避難所など重要施設に係る水道管・下水道管の一体的な耐震化の必要性が示され、これを受け、下水道部局とも調整し、重要給水施設管路の耐震化の推進を図りながら、国の補助金の活用について検討を行っているところでございます。
これらの検討と合わせて、水道事業の現状や経営の見通し、耐震化の必要性などについて理解を深めていただくため、答申の要点を掲載するなどホームページの充実を図るとともに、広報誌7月号及び12月号にて、折り込みチラシを市内全戸に配布いたしました。さらには、高槻阪急スクエア、イオン高槻や、産業フェスタにおいて水道PRブースイベントを開催し、パネル展示やクイズ企画・アンケートなどを実施し、水道事業に対する理解促進に取り組んでまいりました。
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(2問目) ご答弁をいただき、1点目については、市民の財産である水道施設を次世代に継承していくこと。また、大規模災害に時においても、安全な水を安定して供給し続けるために、施設を計画的に更新していく必要があること。
2点目では、これまで、外部委託によるコストの縮減や、施設の整理、ダウンサイジング、企業団・受水費の削減など、改善を図って来られましたが、水需要の減少等に伴う収入の減少、支出の増加により、収支赤字、資金不足等の見通しから、水道事業審議会に諮問をされたとのことでした。
3点目については、今年、元日の能登半島地震の発災より、間もなく1年を迎えようとしています。当時、最大約13.7万戸(こ)が断水し、水道管の被害は過去最大規模といわれ、国土交通省は全国の水道管を対象に耐震化の調査を行った結果、石川県内では避難所など災害時の重要施設で上下の水道管がいずれも耐震化されていたのは13パーセントと、全国平均を下回っていると公表されました。
それでも、多くの支援により、5月28日時点で98.2%まで、水道本管復旧済みとなっていますが、約半年後の状況であり大変、ご苦労されたと思います。今後も一日も早いまちの復興をお祈りするばかりです。
また、6年前には、本市が震源地となった大阪府北部地震では、下田部町において、大阪広域企業団の水道管が破損。濁水・断水85,900戸、復旧までに2日かかり、水道管を通る水がライフラインと言われる重要性を感じました。
そのような状況から、管路の耐震化については、基幹管路を中心とした耐震適合率の向上に加え、重要給水施設に対する上下水道の一体的な耐震化の必要性を踏まえ、耐震適合率100%の重要給水施設数を増やす取り組みが必要とされています。
管路の耐震化の重要性などから、これまでの取り組みや答申による様々な検討を行ってこられたことについては理解を致しました。
今後、危惧される南海トラフ大地震に備え、安定給水を堅持するため、上下水道の一体での耐震化の推進も含め着実に進めるようお願いしておきます。
2問目になりますが、1点目に、ピーファスについては、健康被害も懸念されているところですが、地下水を汲み上げ家庭に供給する大冠浄水場では、国の動向を踏まえるため、更新事業は延期し、国の検討内容を注視していくとのことでした。
国の現時点での方向性や本市の考え方、現状は問題はないのかなど、更新事業の延期についての状況説明をお願い致します。また、このことについて市民からのお問い合わせなどがあれば、お聞かせ願います。
また、2点目について、耐震化などを着実に推進するためには、令和17年度には、約132億円の資金不足が見込まれ、そのため、企業債をどの程度借り入れるのかを検討をしていくとのことでした。
そもそも、資金不足が見込まれる要因は何なのか。少子高齢化や人口減少社会、また、単身世帯の進行は様々な場面で、心配をされていることは理解をしていますが、今までの料金体系の考え方はどうだったのか。
12月に全戸配布されたチラシには、北摂7市での1か月の水道料金の比較がされて、本市は、最も安価な状況ですが今後、どのように見込んでいるのか。
施設整備や強靭化の重要性より、水道料金の見直しについては一定、やむを得ないことだと考えますが、例えば水道料金が、どのように使われているのか、チラシに記されている以上に丁寧な説明が必要だと思います。
そして3点目に、本市では、これまで企業債を活用してこられませんでしたが今後、事業を継続していくためには、将来に過度な負担とならない範囲で企業債を借り入れることは有効だと思います。どう内容の見直しを検討しているのか説明をお願い致します。
さらに4点目について、市民への理解促進にチラシやイベント、アンケートなどの取り組みを行ってこられましたが、市民の理解は深まったのか、アンケートの結果はどうであったのかお聞かせください。
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(水道部長 答弁) 水道事業に関するご質問にお答えいたします。
まず、1点目のPFAS(ピーファス) に関する国の方向性や本市の考え方についてでございますが、令和6年9月の福祉企業委員会協議会でご報告させていただいたところですが、国が定めるPFOS・PFOA(ピーフォス・ピーフォア) の暫定目標値50ナノグラムに対し、本市の水道水は本年7月の測定結果では18ナノグラムであり、暫定目標値を下回っております。
また、国においては、7月から水道水の水質に関する規制の検討をする「水質基準逐次改正検討会」及び「PFOS・PFOAに係る水質目標値等の専門家会議」で今後の方向性についての検討が始められ、来春をめどに検査や公表を義務づける水質基準への引上げを含め対応の方向性をとりまとめると示されたところでございます。
このように、国において今後のPFAS類の規制値や処理方法に関する方向性が定まり、除去の必要性の有無が明らかになるまでの間、更新事業を見合わせることとしたものでございます。
また、市民からのお問合せにつきましては、「高槻市の水道水は大丈夫か」「飲んでも問題はないのか」などのお問合せが、本年4月から11月までに37件あり、国の基準値を下回っており安全であることをご説明し、ご理解をいただいております。
次に、2点目の料金体系等についてでございます。
水道事業における費用の大半を占める、施設の維持管理や更新に係る経費である「固定費」は、本来は基本料金で回収するべきとされているところ、本市ではこの固定費の大半を従量料金で賄っており、従量料金の割合が高い体系となっております。
また、他市と同様に逓増性の料金体系ではございますが、本市では逓増度が比較的高い体系となっており、中でも基本料金と、一般家庭用の少量使用者の従量料金は特に安価に設定しているため、家庭利用件数のうちの8割以上で、料金が給水原価を下回る状況となっております。
このように、使用水量による料金収入の変動が大きく、水需要の減少下では経営に影響を及ぼす料金体系であることから、基本料金と従量料金のバランスの改善と原価割れの是正に重点を置き、他市の料金水準も勘案した上で、市民生活への影響に配慮しながら、見直しの検討を進めているところでございます。
次に、3点目の企業債についてでございますが、本市ではこれまで、償還利息による支出増加を懸念して借入れを控えてまいりましたが、今後見込まれる多額の事業費を、現在世代・将来世代との間で公平に負担いただくとの観点から一定の活用は必要と考えており、過度な負担とならないよう借入水準の検討を進めているところでございます。
最後に、4点目の広報についてでございますが、ブースイベントでは、約1,500人の市民の方と直接コミュニケーションをとりながらクイズやアンケートを実施し、「水道料金を元に経営を行っていることを知らなかった」「水道管の更新費用が高いことがわかった」といったご意見をいただくなど、理解促進を図れたと考えております。
アンケート結果につきましては、こうしたご意見のほか、今後水道部に期待するものとして「災害に強い水道」と答える声が最も多く、強靭化の重要性について一定のご理解をいただけたものと考えております。
今後も、水道事業に対する理解を深めていただけるよう、積極的な情報発信を継続してまいります。
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これまで縷々、お聞きして来ましたが、何よりも、市民の皆さまが、安全で安心して飲める水道水であることが大切で、自然災害等に備える水道管の強靭化、ピーファスなどへの適切な対応が重要です。
また、これまでの外部委託化等での経営改善の取り組みなどは一定、評価していますが、今後の技術者の人材育成など新たな課題も感じられるところです。
そして、水道料金の見直しについては、これまでの水道環境の歴史から、一般家庭の少量使用者への配慮、基本料金と少量使用者の従量料金が特に安い料金体系になっていること。しかし、近年、世帯人員の減少や単身世帯の増加など、1世帯当たりの料金収入が減少傾向にあり、給水に要する費用を下回る原価割れの件数が増加傾向にあることは、時代背景の変化や現況による課題です。
原価割れを改善することや、水道管の強靭化への資金不足が見込まれることから料金の見直しにつながっています。しかし、現状の物価状況を勘案すると、できる限り負担軽減を図れるよう、経過措置の導入も是非とも検討をお願い致します。
これら独立採算の公営企業ではありますが、高槻市の施策として、コロナ禍や物価高騰対策として、市民全般に関わることから、私たちも要望し、一般会計を活用して、水道基本料金の無償化をこれまで5回に渡り実施していただきました。
今回の課題解決に向けても、市民全体に関わることであり、高槻市としての支援策としての取り組みも必要だと思うことから、早期に取り組めるようお願い致します。
そして、これらのことが、市民の皆さまにご理解いただけるよう、特に水道料金の見直しについては、引き続き積極的に広報などで丁寧な説明をお願いしておきます。
最後、繰り返しになりますが今後も、企業努力を徹底し、負担軽減を図りながら、施設の強靭化と安定経営を確立し、どのようなことがあっても、安全で、安心して蛇口から水が飲める、あたりまえを続けていただけるよう、宜しくお願いしまして、この質問を終わります。次に…