「ともに子どもたちを育む学校の環境づくりについて」を一般質問
19日(木) 令和6年12月高槻市議会定例会の本会議最終日。
高槻市教育委員会に「ともに子どもたちを育む学校の環境づくりについて~教員業務支援員について~」を一般質問致しました。(この質問は2項目目で、自席で行いました。また、正式な発言は後日、会議録をご参照願います)
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(1問目) 2項目目の「ともに子どもたちを育む学校の環境づくりについて~教員業務支援員について~」を、校長はじめ教職員や地域、家庭など、子どもたちの成長を、ともに見守り、ともに育む役割の大切さを感じ質問させていただきます。
はじめに、高槻市教育振興基本計画には、めざす社会像を「多様な人々と協働しながら、一人一人が活躍し、安全で安心して 豊かに暮らせる社会」と定義づけ、その社会の構成員となる、めざす子どもの姿として「人や社会とつながり、学び続け、よりよい自分と社会を創る子ども」とされ、社会参画力を子ども達が身に付けられるよう、 「たかめる力」「かんがえる力」「つながる力」「きりひらく力」の4つのつけたい力を設定し本計画に基づき、教育施策を着実に進めていくとされています。
また、「確かな学力の育成」「豊かな心の育成」「健やかな体の育成」「学校力の向上」「家庭力の向上」「地域力の向上」など、子どもの社会参画力を育むことや、取り巻く教育力を高めることを、教育委員会での様々な事業や、学校環境では、教職員、専門職、地域、家庭など多くの大人が、子どもたち一人一人の成長を見守り育んでいただいています。
これらのことから、令和6年度の全国学力・学習状況調査においては、小中学校の国語、算数では、全国や大阪府の平均を上回る結果になっていることや、文化やスポーツ等に関しても優秀な成績を残すなど、子どもたちの成長を、未来に向けて継続的に進めていただきたいと思います。しかし一方では、いじめや不登校、ヤングケアラーなどの課題もあり、一人一人のケアの重要性も強く感じているところです。
しかし教育現場の現状は、新聞の報道・コラムによると、「子どもたちにとって最大の教育環境は教員自身」。しかし、全国的に学校現場の教員不足が指摘され、教育の質にも関わる教員の働く環境の改善を着実に進める必要があるといわれています。
文部科学大臣の諮問機関・中央教育審議会は、今年8月、教員の確保に向けた総合的な方策を取りまとめ、文科大臣に答申しました。教員の働き方改革の加速化や処遇改善、学校の指導・運営体制の充実について一体的に推進する施策を打ち出したことを評価したいと思います。
しかし、教員を取り巻く環境の改善は喫緊の課題で、常態化する長時間労働に対し、文科省は教員業務の適正化や支援スタッフ配置などの対策を進めてきましたが、十分には改善されていない状況で、公立学校の教員採用試験の倍率は6年連続で過去最低を更新しており、なり手不足も深刻だと指摘されており、近未来の教育環境に不安を感じるところです。
その上で、答申では時間外勤務について、過労死ラインとされる月80時間超の教員をゼロにすることを最優先にし、全ての教員で月45時間以内にすることを目標としました。
大切なのは実際に労働時間の短縮につながる具体的な取り組みであり、教員の定数を増やすとともに、各教員が抱える業務を確実に減らす必要があるなど強調されています。
改めて、平成31年3月18日付けの文部科学省からの「学校における働き方改革に関する取組の徹底について」の通知を確認しますと、学校における働き方改革の目的は、現在の教師の厳しい勤務実態を踏まえ、教師のこれまでの働き方を見直し、教師が我が国の学校教育の蓄積と向かい合って自らの授業を磨くとともに日々の生活の質や教職人生を豊かにすることで、自らの人間性や創造性を高め、子供たちに対して効果的な教育活動を行うことができるようになることです。と示されています。
教員の勤務時間の考え方は、超勤4項目といわれる、「校外実習や生徒の実習に関する業務」「修学旅行や学校行事に関する業務」「職員会議に関する業務」「非常災害などのやむを得ない場合に必要な業務」以外の自主的・自発的な勤務も含め、外形的に把握することができる時間を対象とすることを基本とし、校外の勤務についても、職務として行う研修や児童生徒の引率等の職務に従事している時間について把握し、これらを合わせて「在校等時間」として、勤務時間管理の対象とする、と時間外在校等時間の上限指針には示されています。但し、休憩時間は除かれています。このような勤務時間をどのように考えるのか。厳しい勤務時間の中で、教員の皆さまは、子どもたちにとって最大の教育環境となり得るのでしょうか。
審議会の答申を踏まえ、時間外勤務、所謂、時間外在校時間の上限の目安の時間は、1か月の超過勤務は45時間以内、1年間については360時間以内とされています。
お尋ねしますが、本市の小中学校の時間外在校時間について、対象者を含め、勤務内容と時間の実態をお聞かせ願います。
また、国が推進する勤務時間についての、本市の方針や取り組み内容など見解をお聞かせください。
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(教育委員会 教育次長 答弁) 本市における令和5年度の時間外在校時間の1か月の平均は、管理職につきましては、小学校で42時間09分、中学校で58時間42分でございます。また、一般職につ きましては、小学校で24時間49分、中学校で50時間57分でございます。勤務内容としましては、時期等によっても様々ですが、授業準備、生徒指導、成績処理、部活動などがございます。
本市におきましても、 1か月の時間外在校時間が、国が示す上限の45時間 、年間360時間 を超える教員がいることは認識しているところであり、学校や教員が担うべき業務と、学校以外が担うべき業務を整理するなど、教員のこれまでの働き方を見直し、実効性のある対策を講じる必要があると考えています。
具体的な取組としましては、これまで、一斉退校日の設定、夏季休業中の学校閉庁日の設定、自動応答電話による時間外電話対応の負担軽減、学校教育活動サポーターや支援スタッフの配置充実、校務支援システムを活用した出退勤管理や事務作業の負担軽減などの取組を進めるとともに、学校だけでは解決が難しい事案が発生した際に学校を支援する目的で、指導主事や校長OB、専門家等で構成される学校問題解決チームを派遣し、緊急課題に対する学校の取組の支援なども行ってきました。
また、児童生徒へのきめ細かな学習指導、生徒指導を目的として実施しています、小中学校全学年での35人学級編制に関しましても、教員の負担を減らす側面もあり、時間外在校時間の短縮に寄与しているものと考えています。
各学校におきましても、教職員の時間管理意識を高めるとともに、校務分掌の見直しや会議の精選、保護者からの欠席連絡のデジタル化、学校行事の精選・重点化、オンライン会議の実施など、工夫をしながら様々な取組など、工夫をしながら様々な取組を実践しているところです。
今後につきましても、子ども達によりよい教育を行うことができるよう、保護者や地域の方の理解や協力を得ながら、教員の働き方改革を推進してまいります。
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(2問目) さて、中央教育審議会の答申では、「令和の日本型学校教育」を担う質の高い教師の確保のための環境整備に関する総合的な方策について、我が国の学校教育と教師を取り巻く環境の現状として答申され、日本の学校教育は、全国的に一定水準の教育を保障し、国際的にも高く評価され、教師の献身的な努力の成果であるとしています。
また、新たな学びの実現に向けて、GIGAスクール構想の進展等、日本の学校教育は更なる高みを目指すとしています。
しかし、我が国の教師を取り巻く環境の現状は、1問目でも述べました通り、時間外在校等時間の上限指針の策定より、平成28年度において、小学校が約59時間であったところから令和4年度では、約41時間に。中学校においては、約81時間が約58時間に減少していますが、依然として、時間外在校等時間の長い教師が存在し、教師不足も憂慮すべき状況にあります。また、教師のメンタルヘルス対策も喫緊の課題とされています。
ご答弁でもありましたように、本市においては令和5年度では、小学校管理職が月平均42時間9分、中学校が58時間42分、一般職では小学校が24時間49分、中学校が50時間57分と、いずれも高水準にあることがわかりました。これらのことを解消することが必要であり、専門職や一般職の役割など、役割分担を明確にしていくことが大切なことから、文科省は「教員業務支援員」との協働を推進し、みんなにとって、より良い学校を目指すとされています。
手引きによる支援員の役割として例えば、授業に関することでは、学習プリント宿題の印刷・仕分け、跳び箱やネット張り、プール等の体育授業等の準備。ICTに関することでは、ホームページの更新や学校だより、学年通信簿の作成補助。その他では、来客や電話対応などが例示されています。
これらの業務は、今まで多くの教職員が対応されてきたことで、これを代替・補助する業務支援員が設置されることで、教職員の専門的な本来の活動ができ、授業の念入りな準備こそ授業の充実に通じ、児童生徒の成長と、本市が目指す子どもたちの姿を達成できるのではないかと強く感じるところです。
そして「子どもたちにとって最大の教育環境は教員自身」と言える環境ができるのではないでしょうか。
北摂地域においても、吹田市、摂津市、茨木市など先に取り組みをはじめられており、本市での取り組みに期待を寄せる思いです。
お尋ねしますが、文科省が示す「令和の日本型学校教育」を担う質の高い教師の確保のための環境整備に関する総合的な方策について、また、時間外在校時間について高水準となっている本市の状況、教員業務支援員を要望させていただきたいと思いますが、それぞれの見解をお聞かせ願います。
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(答弁) 本市教職員の時間外在校時間については、全国平均を下回ってはいるものの、長時間勤務が続いていることに関しては喫緊の課題として捉えております。
文部科学省の、「『令和の日本型学校教育』を担う質の高い教師の確保のための環境整備に関する総合的な方策」を踏まえた取組の徹底等についての通知では、学校における働き方改革と教育の質の向上に向けて、支援スタッフの更なる配置の充実の必要性が示されています。
本市におきましては、これまで、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカー、校区学校司書、読書活動協力員、特別支援教育支援員、不登校等支援員など、多様な専門性や経験をもつ人材の配置・充実に努めてまいりました。各学校においては、校長のリーダーシップのもと、教職員と支援スタッフが連携・分担することにより、課題の解決を図るとともに、教員が子どもと向き合う時間を確保し、本来担うべき学習指導や生徒指導の充実を図ることにつながっていると考えています。
教員業務支援員の配置については、他市の事例等の情報を収集するなど、検討を進めているところです。業務の依頼の仕方などを工夫し、教員と支援員との適切な協働体制を構築することで、長時間勤務の解消や教員の健康と子どもと向き合う時間の確保、勤務時間内での研修等の時間の確保による教員の資質能力の向上に繋がると考えております。
今後も教員の働く環境の整備を進めることで、教職への魅力を向上させ、「教員不足」の解消にもつながるよう、引き続き施策を進めてまいります。
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(3問目) 本市教職員の時間外在校時間など、長時間勤務が続いている現状認識から、チームワークによる連携・分担による課題解決へ。「教員業務支援員」についての検討も進められ、教師が子どもに向き合える時間の確保や資質の向上など、教員の働く環境整備に努められていることを理解しました。
その上で、学校環境での教師の健康や相談窓口、処遇改善などは、国等にも期待をしながら、本市においては、早期に「教員業務支援員」を配置いただき学校環境の充実をお願い致します。
最も大切だと思うことは、子どもたちの成長を学校・地域・家庭などの皆さまとともに見守り、皆さまとともに育んでいくことだと思います。最後に、高槻市の子どもたちへの教育のさらなる充実について、西田教育長の、ご決意をお聞かせいただき、私の一般質問を終わります。
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(教育委員会 教育長 答弁) 高槻の教育の充実について、ご答弁申し上げます。
「教育は人なり」と言われるように、学校教育で最も重要な教育環境は教員であり、教員は教育の要であります。
その使命と専門性を十分に発揮できるよう、教員の働く環境を整えることは、学習指導、生徒指導、地域連携の取り組みを一層充実させ、より良い教育の実現につながる、と考えています。
また、これからの学校教育は、教員一人一人の専門性を高めることにあわせて、保護者や地域など、多様な専門性や経験を持つ方々との連携や協働により、子どもたちを「成熟した市民」「実力ある大人」へと育てていくことが大切であり、我々はこのことを念頭に施策を展開・推進していく必要があると考えています。
「よりよい学校教育を通して、よりよい社会を作る」という矜持をもって、高槻の教育の更なる充実に向けて、全力を尽くしてまいる所存ですので、よろしくお願い申し上げます。