|| 主張 || デジタル遺品の課題 日常から備えトラブル防ごう
(13日 公明新聞「主張」より) スマートフォン(スマホ) は生活の必需品だ。
モバイル社会研究所の調査によると、携帯電話所有者のうちスマホの比率は2010年に約4%だったが、24年時点で97%まで普及した。
高機能化により便利になる一方、これまでになかった問題も起きている。スマホは賢く使いたい。
誰もが使うスマホだが、持ち主が突然亡くなり、故人が契約していたサービスによって、遺族の知らない負担が発生する–。
このような「デジタル遺品」の管理を巡るトラブルが目立っており注意したい。
国民生活センターは先月、「今から考えておきたい『デジタル終活』」を発表し、万が一の場合に備えた対策を行うよう呼び掛けている。
例えば「父が契約していた通販サイトの有料会員を解約したいが、IDやパスワードが分からず会員情報を得られない」「夫が利用していた決済サービスの残高に10万円あるが、ロックの解除ができず詳細が確認できない」といった事例が報告されている。
高齢者の相談が多いが、年齢を問わず起こり得る問題だ。
故人が契約したサービス内容を家族が把握するには、パソコンやスマホに保存された情報を確認することが重要だ。しかし、故人しか知らないパスワードやロックが掛かっていることが多い。
また、ネット証券などサービス内容によっては解約に、契約者が死亡した事実や相続人であることを証明する書類が必要だ。ただ、近年は実店舗がないネット事業者もあり、郵送での書類の受け渡しに想定以上の時間がかかり、手続きの完了まで費用が発生し続けることもある。
思いも寄らない費用負担を回避するには、日常の備えが重要だ。同センターは、パスワードを紙に記入し大切に保管する工夫も必要だとしている。さまざまな判断や手続きを進める際に家族が参考にする「エンディングノート」に情報を残しておくことも有効だ。エンディングノートは法務省が無料公開している。積極的に活用したい。