公明、総合経済対策で首相に提言 「年収の壁」解消し所得向上
(8日 公明新聞より) 公明党の西田実仁幹事長と岡本三成政務調査会長は7日午後、首相官邸で石破茂首相に会い、政府が策定する新たな総合経済対策に盛り込む内容を提言した。
西田幹事長は、先の衆院選を通じた現場の声に基づき、物価高対策を最優先で進める必要性を強調。「より幅広く生活者の暮らしを支援する新たな施策を練り上げていくことが何より重要だ」と訴えた。
石破首相は、提言を受け止め、与党の結束の下で野党の協力も得て、経済対策をまとめる考えを示した。
西田幹事長は、物価高対策を重視する多くの国民の声を踏まえ、短期的な支援策は低所得世帯を中心とした給付が基本との認識を示す一方、「実質賃金が安定的、継続的にプラス水準になるまでの間は、幅広い生活者の暮らしを支援する施策が必要だ」と指摘。
給付の対象にならない若者や女性も含め、新たな施策を講じるため「早急に与党プロジェクトチーム(PT)を立ち上げ、政府と連携しつつ、速やかに具体策 を立案・実行するべきだ」と強調した。
石破首相は、与党として幅広い物価高対策を検討するよう「(自民党の) 小野寺五典政調会長に指示する」と応じた。
提言では、衆院選で訴えた重点政策を踏まえ、物価高の影響を強く受ける低所得世帯や、賃上げの恩恵が及ばない年金生活者への給付金の迅速な支給とともに、電気・ガス料金、ガソリンなど燃料費への補助の支援継続を要請した。自治体が地域の実情に応じて独自で活用できる物価高対策の財源となる「重点支援地方交付金」の追加措置も提案した。
また、自動車関係諸税を巡って、税制を簡素化し、利用者の負担軽減に努めるよう要望した。
家計の所得向上に向けては、年収が一定額に達して税や社会保険料の負担が生じることで働き控えを招く「年収の壁」の解消に言及。パートやアルバイトで働く人が年収の壁を意識せずに働けるよう、「106万円の壁」や「130万円の壁」を克服するために政府が昨年スタートさせた「年収の壁・支援強化パッケージ」の着実な実行とともに、制度の抜本的な見直しを訴えた。
■ 能登半島、復興を加速
さらに提言では、能登半島地震からの復旧・復興の加速を掲げた。被災者の生活・なりわい再建のため、観光や伝統産業など能登半島の魅力を生かした「創造的復興」の推進を提唱。本格的な雪の季節の到来に向け、壊滅的被害を受けた市道・町道の復旧など、大雨による災害への対応も含めて、一体的に必要な支援に総力を挙げるよう求めた。上下水道の早期復旧なども要望した。
提言には、上田勇政調会長代理、中野洋昌青年局長、佐々木さやか女性局長、河西宏一学生局長が同席した。
■ 提言のポイント
・ 幅広い生活者の暮らしを支援する施策の立案
・実行へ与党PTを組成。低所得世帯や低所得の子育て世帯、年金生活者に給付金を迅速に支給
・ 電気・ガス料金、ガソリンなどの燃料費への支援を継続
・ 自治体が地域の実情に応じた支援を実施できるよう「重点支援地方交付金」を追加措置
・ 「年収の壁」解消へ、支援強化パッケージを着実に実行するとともに、制度を抜本的に見直し
「教育の党」「環境の党」などと社会に幅広く認識されるようになった公明党
「大衆とともに」の立党精神を一貫して体現し、「教育の党」「環境の党」などと社会に幅広く認識されるようになった公明党。
結党記念日を迎えるに当たって、その歴史を改めて確認したい。
■ 義務教育の教科書無償配布が淵源に
「未来を担う子どもたちに、教育の光を!」–。
一貫して流れ通うこの精神こそ「教育の党」と呼ばれるゆえんだ。今でこそ教育費の負担軽減を語らない政党・政治家はいない。
だが、現実的に政策を前へ進めてきたのが公明党にほかならない。その源流は、結党前年、公明議員の質疑で実現への道筋を付けた「教科書の無償配布」にある。
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1963年3月13日。新聞各紙の夕刊1面には「首相答弁 全学年の教科書無償」(朝日) などと大きな見出しが踊った。
池田勇人首相(当時) が、教科書無償配布の完全実施計画を初めて明言したのだ。この日の参院本会議。登壇した参院公明の柏原ヤス氏は、義務教育段階の教科書無償配布を政府に鋭く迫った。教科書を買えず悔し涙を流す児童を絶対に出すものか–。その熱意が政府を突き動かした。
63年度に段階的に始まった教科書無償配布は、ついに69年度に全小中学校で実現した。無償で教科書を受け取るといった今では“当たり前”の光景。それは紛れもなく、公明議員の闘いがあったからだ。
教科書の無償配布は、教育無償化の推進という国の政策の大きな「潮流」を生み出していった。公明党が99年に政権に参画してから、それはさらに加速。公明党は2006年に「少子社会トータルプラン」で幼児教育・保育の無償化を訴え、高校授業料と大学など高等教育を合わせた“三つの無償化”も前進した。
■ 子ども最優先に政策提言次々と
結党以来、公明党は子どもの幸せを最優先に、政策提言を重ねてきた。1977年には「教育基本政策・人間の復権をめざして」の要綱を発表。83年には教育政策「生命が躍動する教育を」を取りまとめ、教育改革に一石を投じた。
経済的な理由で高等教育を諦めることがないよう、奨学金制度の拡充にも奔走した。99年度には希望するほぼ全ての人が借りられるように制度を改善。少子社会トータルプランで提唱した返還不要な「給付型奨学金」も2017年度に実を結んだ。
22年発表の「子育て応援トータルプラン」では、高等教育無償化を中間層まで拡大するよう主張。その結果、24年度から多子世帯や理工農系学生の中間層に拡大され、25年度からは多子世帯の授業料などが無償化される。
作家の佐藤優氏は「子どもたちの教育環境を大切にしていく取り組みは『教育の党』を掲げる公明党しか目が行き届かない」(本紙19年1月1日付) と語っている。
■ 主な取り組み・実績
1969年 義務教育の教科書無償配布が完全実施
83年 教育政策「生命が躍動する教育を」発表
99年 有利子奨学金を拡充(希望者ほぼ全員に貸与)
2006年 「少子社会トータルプラン」発表
17年 給付型奨学金が創設
19年 幼児教育・保育の無償化スタート
20年 私立高校授業料の実質無償化、大学など高等教育無償化が開始
22年 「子育て応援トータルプラン」発表
24年 高等教育無償化が中間層まで拡大