きょうから危険運転の罰則強化
(1日 公明新聞「主張」から) 自転車は免許が不要で、身近な移動手段として生活に根付く一方、その気軽さ故に安全運転が軽視されがちだ。法改正を契機に自転車運転の安全意識を高めていきたい。
きょう1日から改正道路交通法が一部施行となり、携帯電話を使用しながら自転車を運転する「ながら運転」の罰則が強化され、「酒気帯び運転」についても罰則が新設された。
「ながら運転」は従来、各都道府県の公安委員会規則で禁止され、違反した場合の罰則は5万円以下の罰金だったが、改正法で禁止事項として明記し、6カ月以下の懲役または10万円以下の罰金とした。事故を起こした場合は1年以下の懲役または30万円以下の罰金と、さらに重くした。
「酒気帯び運転」は、これまでも禁止事項だったが罰則の対象外だった。改正法では新たに3年以下の懲役または50万円以下の罰金を科すとしたほか、自転車や酒の提供者なども罰則の対象とした。
警察庁によると「ながら運転」の事故数は、携帯電話の普及によって近年急増している。「酒気帯び運転」は死亡・重傷事故率が飲酒なしと比べ1・9倍高くなっている。いずれも危険な運転であり、重大事故に直結すると認識すべきだ。
罰則の強化で危険運転を減らしていくのと同時に重要なのは、国民の安全意識を高める取り組みだ。
改正法では2026年5月までに、交通違反に対して反則金を納付させる「青切符」を自転車にも導入する。16歳以上に適用され、信号無視や一時不停止、傘差し運転など軽微な違反を取り締まる。通学で自転車を利用する高校生らも対象になるため、学校や地域で講習を受けられる環境づくりが求められよう。
この点、公明党は先の衆院選で掲げた政策集に自転車の安全対策として、各地の自動車教習所と連携した安全講習会の開催や、小中学生が学ぶ機会を増やすことなどを盛り込んでいる。
自転車の交通ルールが守られるよう、各地で取り組みを強化していきたい。
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◎ 改正道路交通法の施行に伴う酒気帯び運転及び携帯電話等の禁止について(令和6年11月1日施行)
◎ 令和6年「自転車マナーアップ強化月間」&「駅前放置自転車クリーンキャンペーン」について <市ホームページ
発災10カ月 能登地震 能登半島地震取材班より
(1日 公明新聞より) きょうで発災10カ月を迎えた能登半島地震。過疎地域で起きた大災害で、忘れられがちな被災者が子どもたちだ。
地震や津波の恐怖は彼らの心に今も刻まれ、避難所や仮設住宅での不自由な生活によってストレスを増している。
学校の校庭には仮設住宅があり、校外で遊べる場所が少ない。窮屈な環境の中で子どもの心のケアに携わる現場を追った。=能登半島地震取材班
石川県能登町宇出津地区。10月中旬、仮装した子どもが一軒家に続々と集まってきた。ここは9月に開設された子どもの居場所「宇出津キッズ見守りハウス」。
この日は月1回の子ども食堂イベントで、2階の開放スペースではワークショップなどが催され、100人以上の子どもが楽しいひとときを過ごした。小学3年の女子は「いろんなものを作れたり、みんなと会えるのが楽しい」と瞳を輝かせた。
■ ストレス解放の場に
「発災直後、子どもが道路脇でぽつんとゲーム機で遊んでいる姿をよく見た」。宇出津キッズ見守りハウス代表の浜中淳子さんは当時を振り返る。屋外は復旧支援の車両が往来。いつも以上に気を遣う避難所や仮設住宅では、大人が子どもを叱る場面が必然的に多くなっていた。
浜中さんも母親の一人で、特別支援学級に通う小学2年の息子がいる。元日の地震の際は息子と高台に避難し、車や船が津波に流される光景を目の当たりにした。「子どもがおびえて離れられない」という親の声も多く聞いた。
炊き出しや居場所の支援など発災直後に支援に来ていた団体が月日とともに撤退していく中、浜中さんは「子どもたちが自由に遊んで、震災のストレスから解放される場所が必要だ」と痛感。地元で継続して地域を支える活動ができるよう、大きな被害を免れた自宅を改装して居場所を開設することを決めた。現在は週3日、放課後に開放し、イベント時には県内外のNPO団体などの協力を得て運営している。
■ 2次避難地域でも
居場所支援が必要なのは能登町などの奥能登地域に限らない。フリースクールを運営するNPO法人ワンネススクールの森要作代表は被災地から金沢市などに2次避難している子ども向けの居場所づくりに取り組んでいる。森代表は2次避難をきっかけに孤立して不登校になった事例を踏まえ、「子どもに支援が行き届くよう、学校と連携した情報発信の体制をめざす」と語り、関連団体とのネットワーク構築にも汗を流す。
■ 活動支援に補助金
石川県内では宇出津キッズ見守りハウスのように民間団体などが遊び場や多様な体験の場、学習支援といった子どもの居場所づくりに奮闘している。国は居場所づくりを通じて子どもの心の負担軽減や回復を促せるよう、NPO法人などに対し、最大500万円の補助金を支給。現在は34団体が補助を受けている。
■ スクールカウンセラー増員/公明、緊急要望で政府に提言
学校現場で県はスクールカウンセラーによる心のケアの授業や個人面談を実施している。
奥能登地域は元々、スクールカウンセラーの人数が少ないため、従来の体制を倍増させた上で、県内外からも上乗せして派遣。現在、奥能登で各校週3~4日程度訪問する体制で来年3月までは継続する方針だ。
公明党は1月に党「令和6年能登半島地震災害対策本部」が政府に行った緊急要望の中で、子どもの十分な心のケアや居場所の確保などを強く要請。
また、被災地に教職員やスクールカウンセラーを迅速に派遣する「被災地学び支援派遣等枠組み(D-EST」の創設を提唱してきた結果、準備が進められ、9月の豪雨災害では同枠組みとして初となる職員派遣が実現した。
■ 継続したサポートが必要/兵庫県立大学名誉教授、冨永良喜氏
能登半島地震では多くの子どもがトラウマ(心的外傷) によるストレスを覚えた。2次避難や集団避難などで親と離れ離れの生活を強いられ、新しい街で頑張っている子もいる。心のケアには基本的な日常の環境を取り戻した上で、自身のストレスを知って対処方法を学ぶ授業が大切だ。
スクールカウンセラーの派遣については、県と国が連携して体制を整えているが、来年4月以降の継続と併せて、奥能登地域に定住して支援できる体制を要望したい。ストレスを知って対処方法を学ぶ授業は平時も含め、道徳などの授業の枠で推進してほしい。子どもの心の健康を後押ししている公明党に感謝するとともに、今後の取り組みに期待している。
「189」いち・はや・く 児童相談の対応件数は過去最多
(10月28日 公明新聞より) 来月は、こども家庭庁の「オレンジリボン・児童虐待防止推進キャンペーン」期間。児童虐待の現状や相談のためのダイヤル「189」について確認するとともに、公明党の取り組みを紹介します。
■児相の対応件数は過去最多
全国の児童相談所(児相) が2022年度に対応した虐待相談件数は21万4843件で、過去最多となりました【グラフ参照】。警察による通告の増加などが原因とみられます。
児童虐待防止法が定義する虐待は、暴力などの「身体的虐待」、食事や入浴などの世話をしない「ネグレクト」、わいせつ行為などの「性的虐待」、言葉や態度などで傷つける「心理的虐待」の四つがあります。
22年度に児相が対応した虐待のうち、59・6%が心理的虐待でした。子どもの目の前で家族に暴力をふるう「面前DV(ドメスティックバイオレンス)」も、これに該当します。相談の経路は「警察等」が最多の52・3%でした。
■子どもの「サイン」見逃さず電話を
虐待を受けている子どもや、虐待している保護者には、特徴的なサインが現れることがあります【イラスト参照】。子どもの場合は不自然な「あざ」や「やけどの痕」、衣服の汚れ、表情が乏しいなどです。大人の場合は家の中や外が散らかっている、近所との交流がないなどです。
「虐待かな?」と思ったら、迷わず児相の全国共通ダイヤル「189(いち・はや・く)」に電話してください【イラスト参照】。「189」は通話料無料で24時間365日対応。匿名で電話でき、電話した人の個人情報や電話の内容に関する秘密は守られます。
こども家庭庁は、間違っていてもいいので、虐待の可能性を感じたら電話するよう呼び掛けています。また、児相は自身が虐待をしてしまいそうな保護者からの相談も受け付けています。
■公明は相談や経済的支援、「こども家庭センター」などを推進
公明党は00年に施行された児童虐待防止法を推進したほか、児童福祉法の改正を一貫してリード。児相や市区町村の体制強化、親による体罰禁止の法律への明記、児相とDV対策を担う関係機関との連携強化などに取り組んできました。
このほか、「189」の番号3桁化や通話料の無料化も推進。子ども政策の司令塔となる「こども家庭庁」の創設を訴え、実現させました。22年度からは、妊娠期からの伴走型相談支援と10万円相当の経済的支援を一体的に行う「出産・子育て応援交付金事業」が始まっています。
また、妊娠・出産から子育てまで切れ目ない支援を行う「子育て世代包括支援センター」の設置を推進。今年4月からは、同センターと児童福祉を担う「子ども家庭総合支援拠点」の機能を統合した「こども家庭センター」に改められ、876自治体に1015カ所あります(5月現在)。
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高槻市・オレンジリボン・児童虐待防止推進キャンペーン
https://www.city.takatsuki.osaka.jp/site/waiwai/104736.html