参加しやすい環境整備について
2024(令和6) 年 市議会9月定例会の一般質問
高障連の皆さまとの懇談会を経て、要望書を受け取り、本市行政に届る使命と責任を感じ、「参加しやすい環境整備について(障がい福祉について)」と題して一般質問を行いました。
関係者の皆さま、お世話になりました。ありがとうございました。
この日、17日間の9月定例会は閉会となりました。
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皆さま、こんにちは。公明党議員団の吉田章浩でございます。
今回の一般質問は、高槻市障害児者団体連絡協議会の皆さまと公明党議員団とで8月20日に懇談会を行い、要望書を受け取らせていただきましたことから、皆さまのお声としての「現行制度の改善と共に生きる社会づくりに向けて」に共感し、本市行政に届る使命と責任を感じ、「参加しやすい環境整備について(障がい福祉について)」と題して一般質問させていただきます。
昨日も一部、同じ趣旨のご質問が強田議員よりありました。重なる項目については、宜しくお願い致します。また、この後は、高槻市障害児者団体連絡協議会の名称を「高障連」と略しての表現とさせていただきますこと、ご容赦をお願い致します。
はじめに、9月8日、日本勢のメダルラッシュが続くパリ・パラリンピックの全競技を終え閉会式を迎えました。障がいのあるアスリートの、限界に挑む姿が感動を呼ぶとともに、多様性を認め合うことの大切さを世界に発信されました。
これを機に、日本でも障がい者がスポーツに参加しやすい環境の整備を一段と進めていただきたいと思います。
障がい者にとってスポーツは、まだ身近とは言えない現状があると言われています。スポーツ庁の2023(令和5) 年の調査では、効果として、ストレス解消、体力・身体的機能の向上、行動範囲の拡大、自信がついた、友人が増えたなど、心身だけの効用だけでなく、社会参加を促す上でも大きな役割を果たしていると思います。
しかし一方では、健常者・障がい者を問わず20歳以上でスポーツを週1回以上行う割合は52.0%で、障がい者に限ると32.5%に留まるとのことで障壁なく、十分に活動できているとの回答が17.4%に過ぎず、国や自治体は、障がい者のスポーツ参加に向けた取り組みを一層強化して、「参加しやすい環境整備」を進めていただきたいと思うところです。
そして、共に生きる皆さまの、それぞれの価値ある人生が、様々な形での社会参加により、人生の金メダルが輝くよう、共助・公助による「環境整備」を応援し、前進していくことを期待致します。
現在、厚生労働省の発表による障がい者総数は1,164万6,000人で、人口の約9.3%に相当し、そのうち身体障害者は423万人、知的障がい者は126万8,000人、精神障害者は614万8,000人になっています。 また、この内、在宅の方については、身体障害児者が98.3%、知的障害児者が89.9%、精神障害者が95.3%となっており、年齢別でも65歳以上の方が身体障がい児者で73%、知的障がい児者が15%、精神障がい児者が36%となっています。
(1問目) まずは、本市における障がい児者数等をお聞ききします。
さて、2024(令和6) 年8月28日付けの「高障連」会長名の要望書が濱田市長に届けられました。社会環境の深刻化から障がい者の人権についても配慮されてこなかった状況が明らかになってきたとの訴えとともに、「障害者総合支援法」の国でのサービス利用者は150万人、施行から17年が経過し当初の3倍となってきましたが、マンパワーは不足している状況に触れられ、本市においても、障害福祉サービス等の提供体制及び自立支援給付等の円滑な実施を確保することを目的とする「第7期障害福祉計画」が4月より実施され、目標の達成や根源的問題についての議論も十分に行っていただき反映されることを期待されているところです。
しかしながら、この要望書については、現行制度の改善、差別解消法の本市としての条例化、共に生きる社会づくりに向けて、高障連の皆さまの決意をもって提出されたことに敬意と共感、そして応援していきたいと公明党議員団としても懇談会に臨みました。
そして要望書に対する回答書も求められており、各部局においては十分な検討と前向きな取り組みに期待をし、ご回答とともに本市との十分な協議ができますよう何卒、宜しくお願い申し上げます。
「私たちのことを私たち抜きで決めないで」を合言葉に、「障がい者の権利条約」が、世界中の障がい当事者が参加して作成され、2006年に国連で採択されました。そして、日本政府は2014(平成26) 年1月に批准をしています。これは、障がい者が生活を行う上での様々なバリアは、障害そのものに原因があるのではなく、社会との関わりの中で障害が生まれるという「障害の社会モデル」の考えを取り入れています。
高障連の皆さまの、要望書の取り組みが「私たちのこと。私たちの声」であります。
次に要望書より、求められる全体の課題についてお聞きします。
1点目に、本市における「障害者差別解消法について」、大阪府では、障がいを理由とする差別のない、共に生きる大阪の社会をめざし、「大阪府障がい者差別解消条例」を制定しました。障がいを理由とする差別をなくすことは、すべての人にとって暮らしやすい社会につながり、条例では相談と解決の仕組みをはじめ差別をなくすために必要で大事なことを定めています。
しかしながら、市内、事業所での虐待事件が報じられ、府下でも死亡・傷害などの事件が発生している現実があります。
また、本市も含めて公共施設での不適切な対応が続いているとの訴えより、府の条例だけでなく、「合理的配慮の提供」の義務が民間企業にも拡大される今、官民が一体となった、本市としての条例化を求められています。府条例の責務第4条では、市町村との役割分担が示されていますが、市の責務や市民等の役割は示されていません。本市の見解をお聞かせください。
2点目に、「高槻市手話言語条例」についてです。
これまで、公明党議員団として推進・要望し、令和2(2020) 年4月に、手話やろう者への理解と手話の普及を進めていくために、知っておいていただきたいことなどをまとめ、市の責務や市民のみなさん、事業者のみなさんに担っていただきたいことなどを定め、市の考えを推進するために必要な施策などを実施しながら、地域共生社会の実現を目指す「手話言語条例」が制定されました。高く評価をしています。
条例制定から4年が経過しました。ご要望にもありますが、市民の皆さまのご理解、手話は言語であることの理解と普及するための市民の皆様への直接のアプローチ等、現状の取り組みと目指していることなどをお示し願います。また、JCOMなどとの協力でテレビ放映を通じてお知らせすることなど、ご検討をいただければと思いますが、いかがでしょう。啓発活動全体のご見解をお示しください。
3点目に、「高槻市障がい者福祉センター」ゆうあいセンターについて
1989年・平成元年の開設から35年(定礎:平成元年10月) が経過しょうとしています。障がい者や家族、また支援者等、市民活動としての活発な活動の拠点となっています。
しかしながら老朽化も目立ってきているようで改築等のご指摘・ご要望もあります。
6月定例会での遠矢議員のご質問に対するご答弁では、施設の適切な維持管理及び老朽化対策については、関係法令に基づく建築物の定期点検結果の内容を踏まえた修繕のほか、外壁改修やエレベーターの更新等の大規模な工事や、空調設備の部品取替えなどの簡易な修繕など、計画的な維持管理に努めていること。
トイレの改修等につきましても、利用者の状況やセンター全体の設備の改修等の優先度を検討する中で、対応していくとのご答弁でした。
私も先日、ゆうあいセンターを視察させていただきました。関係者の皆さま、ありがとうございました。白かっただろう壁の色や、(視覚障がい者のための) 通路の点字シートなど、施設の老朽化を感じました。特に来館者等の皆さまが利用されるトイレなどが気になりました。急ぎ改修の必要性を感じますが、市のお考えをお聞かせください。
以上を1問目とし、ご答弁をお願い致します。
(ご答弁 健康福祉部長) 障がい福祉に係る参加しやすい環境整備についてのご質問にご答弁いたします。
まず、本市における障がい者の人数等に関するお尋ねですが、令和6(2024) 年3月末日現在の障がい者手帳所持者の総数は2万1,554人で、市内人口の約6.2パーセントに相当し、内訳としましては、身体障がい者が1万2,918人、知的障がい者が4,063人、精神障がい者が4,573人となっております。
それぞれの障がい者手帳所持者のうち65歳以上の方々の割合は、身体障がい者が約75パーセント、知的障がい者が約5パーセント、精神障がい者が約16パーセントとなっております。
次に、本市における障害者差別解消の条例化の要望についてですが、国における「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律」に加え大阪府においても、障がいを理由とする差別のない社会を目指した、障がい者差別解消条例が制定されており、これらに相談と解決の仕組みをはじめ、差別をなくすために必要な事項等が定められていることから、本市では新たに条例を定めず、これらの法と条例に基づき相談と啓発の両輪で差別解消の取り組みを進めております。
相談の取り組みについては、福祉相談支援課に障がい者基幹相談支援センターを置き、社会福祉士等の専門職を配置して相談者に寄り添った相談対応に努めており、関係機関で構成された「高槻市障がい者虐待防止・差別解消連絡会議」において情報共有、意見交換を行っています。また、庁内各課においても差別に関する相談へ対応できるよう対応要領を定めるとともに、障がい者差別・障がい理解に関する職員研修を実施しております。
啓発についての取り組みでは、法改正により全国的に義務化された事業者に対する合理的配慮の提供について、広報誌及びケーブルテレビによる特集を行ったほか、本市と日本郵便株式会社との包括連携協定に基づき、市内全ての郵便局に相談窓口を記載した啓発カードの配架や、市営バスの車内広告、市図書館における啓発コーナーの設置などを実施しました。
今後も、障がい者の差別解消に向けた取組ついては、適切な相談体制を確保するとともに、各関係機関等と協力し、様々な機会を捉え市民・事業者への啓発に努めてまいります。
次に、「高槻市手話言語条例」に基づいた取組等についてですが、令和5年度は、広報誌「たかつきDAYS」において手話特集の掲載をはじめ、市内全小学校に手話言語条例の啓発パンフレットを配布するとともに、出前講座やゆうあいセンター施設見学を通じた、小学生向け手話講座の実施のほか、手話講習会や研修会、講演会を実施いたしました。
また、委託事業である「障がい児者社会参加促進事業」において、手話をテーマにした学習会や講演会の開催、コミュニケーション支援ボードの作成や配布を行うなど、本市と障がい者団体等との連携した取組も実施しております。今年度は、ケーブルテレビ広報番組において、手話に関する内容の紹介を企画しております。
今後も、障がい者団体等からのお声を聞く中で、取組を進めるとともに、多様な取組のもと、市民、事業者等とともに連携を深めながら、手話及びろう者に対する理解並びに手話の普及を促進し、市民ひとり一人が地域社会を構成する一員として尊重し合い、支え合いながら共に暮らし、働き、学び、憩えるまちの実現を目指してまいります。
最後に、障がい者福祉センターにつきましては、開設およそ35年を迎え、建物や設備等の老朽化が進んでいると認識しており、適宜修繕や改修工事、設備の更新等を行ってまいりました。特に、センター内のトイレについては、老朽化が著しく、修繕の機会が増加しております。また、利用者や利用団体から、トイレのより快適な仕様を求める声も多く、トイレの改修等につきましては、重点的な取組として、今後も検討を進めてまいります。
(2問目) ご答弁より、「障害者差別解消」に基づく「大阪府障がい者差別解消条例」を踏まえての本市条例の制定についての見解として、国の法律に加え府条例が制定されており、差別をなくすために必要な事項等が定められていることから新たな市条例を定めないが、これらの法と条例に基づき、相談と啓発の両輪で取り組んでいる内容をご答弁いただきました。
また、合理的配慮の提供について、各種の啓発活動、啓発コーナー設置などを実施し今後も、関係機関と協力し、市民・事業者への啓発に努めていくとのことでした。
しかし懇談会などでお聴きする中には、今も「ひどい言葉をかけられた」など具体の取り組みと現実のギャップを感じます。さらなる相談体制の強化とポスター掲示等、全体の啓発活動を望むところです。
私が思うところでは府条例にない、市の責務や市民等の皆さまに担っていただくことなどを明確にし、私たちが目指す共生社会を共に構築できるよう、環境整備を前進させることが重要だと考えます。引き続き、ご検討をお願い申し上げます。
障害者差別解消に関する条例の制定状況を調査したものとしては、内閣府「障害者差別の解消に関する地方公共団体への調査結果(令和6(2024) 年3月内閣府障害者施策担当)」によりますと、令和5(2023) 年4月1日現在で、都道府県が39団体、指定都市が8団体、中核市等が15団体、一般市が72団体、町村が50団体、合計184団体が制定済みとしています。
平成30(2018) 年4月1日現在では、都道府県が27団体、指定都市が5団体、中核市等が9団体、一般市が21団体、町村が12団体、合計74団体が制定済みとしており、4年間で110団体と大幅に制定団体が増加しており、その重要性・必要性がわかります。
同じ、中核市である東京都八王子市では「障害のある人もない人も共に安心して暮らせる八王子づくり条例」を制定。第1条には、障害者に対する市民及び事業者の理解を深め、障害者に対する差別をなくすための取組について、基本理念を定め、市、市民及び事業者の責務を明らかにするとともに、当該取組に係る施策を総合的に推進し、もって市民が障害の有無にかかわらず、相互に人格と個性を尊重し合いながら共に安心して暮らすことができる社会の実現に寄与することを目的としています。
私は、相互に人格と個性を尊重し合いながら共に安心して暮らすことができる社会の実現に寄与することが大切であると感じます。どうか、様々な角度からご検討をお願いしたいと思います。
次に、「手話言語条例」については、各種啓発活動の実施や「障がい児者社会参加促進事業」等、講演会の開催など、これまでの取り組みを理解しました。また、今年度のJCOMでのケーブルテレビでの広報等、市民への直接のアプローチについて宜しくお願い致します。
そして手話の普及促進について、市民一人ひとりが支え合いながら共に暮らし、働き、学び、憩えるまちの実現に大きな期待をしていきたいと思います。
手話は言語であるとの取り組みが重要であり、市民の皆さまと情報共有し、さらなる思いやりのまちづくりが必要だと思います。条例の市の責務第4条には、手話及びろう者に対する理解並びに手話の普及の促進、情報発信、学ぶ機会の確保に関することが示されています。引き続き宜しくお願いし、さらなる環境整備に期待致します。
改めて、ポスターの掲示等、啓発事業の積極的な推進を求めさせていただきます。要望書の中に、2025(令和7) 年9月23日に手話言語の国際デーのブルーライトアップをしての映画「咲む(えむ)」の無料上映会の開催を希望されています。他市では開催されていることもお聞きしますが、本市もステキな高槻城公園芸術文化劇場などで開催されてはいかがでしょう。期待しています。
ゆう・あいセンターについては、“YOUとI” “あなた”と“わたし”の意味や、漢字では、友を愛する友愛の意味など、多くの方に愛され、多くの方が交流できるセンターです。35年の歴史より老朽化を感じるところで、全体的にも計画的な改修をお願いしたいと思います。トイレの改修については重点的な取り組みとして検討を進めるとのことでした。来館される皆さまが「参加しやすい環境整備」に期待しています。
さて、2問目となりますが、約1か月前の8月8日の午後に起こった、宮崎県日向灘沖において、震度6弱の地震が発生し、気象庁は南海トラフ巨大地震の可能性が高まった際に出す「臨時情報」を発表しました。そして、1週間後の15日、午後5時に呼びかけは終了しました。
国は南海トラフ巨大地震が起きる確率は今後30年以内に70パーセントから80パーセントとされ、いつ大規模地震が起きてもおかしくないことを意識し、ふだんから地震への備えを進めるよう呼びかけています。
災害時要援護者支援について、要望書に記されていますが、障がい者を含む要援護者の避難・誘導が円滑に進められることが肝要であります。地区コミュニティや福祉委員会等との連携は大丈夫でしょうか。現状とこれからの取り組みをご説明ください。
また、福祉避難所などの体制はどのようになっているのか。防災・減災対策も市民全体に関わりますので、お聞かせいただきたいと思います。
次に、要望書の項目からすべてについて、お聞きしたいところですが、時間の関係もあり、特に注目している項目、「手話通訳者の配置」や「遠隔手話通訳サービス」、「人工内耳」、「紙おむつの配布」についてお聞きします。
まず1点目に「手話通訳者の配置」について、聴覚障害者と健聴者をつなぐ専門家で、聴覚障害者のコミュニケーションを支援する役割を担っています。適切な配置や、研修等の現状をお聞かせください。特に公共施設や病院等で困ることがあると伺っています。
2点目に「遠隔手話通訳サービス」です。QRの二次元バーコードを、お持ちのスマートフォンで読み込むだけで、遠隔手話通訳を利用できます。本市での取り組みをご教示ください。
特に高齢者はスマートフォンに不慣れな方もいらっしゃると思います。良いサービスがあっても活かされません。対策などは講じているのかお聞かせください。
3点目は、「人工内耳」についてです。人工内耳は、現在世界で最も普及している人工臓器の1つで、聴覚障害があり補聴器での装用効果が不十分である方に対する唯一の聴覚獲得法と言われています。
2016(平成28) 年3月定例会において、難聴児親の会の方からご要望をいただき一般質問において要望を致しました。2018(平成30) 年度の施政方針の中で、濱田市長より、新規事業として、「高度難聴児に対し人工内耳装置の購入費用等を助成」の発表がありました。“補聴器では聴力の改善が見込めない難聴児の言葉の発達等を支援するため、18歳未満の人工内耳装用児に対し、人工内耳装置の購入費用等を助成します。”と表明いただき、子育て施策として助成事業を実施していただく運びとなりました。感動の瞬間で今も高く評価をしています。
あれから6年、当時14歳だった方は現在、20歳になられています。助成事業が決定した頃、ご両親の負担を気にしながらも人工内耳を装用し聴こえる喜びにお手紙をいただきました。「私は韓国のアイドルグループの音楽を聴くことが好きです」との一文は、今も脳裏に刻まれています。現在は社会に出られ、手話通訳としても活躍されているそうです。
現在の、人工内耳の申請状況をお聞かせ願います。また、18歳になると助成が受けられません。聴こえる喜びについて拡充すべきと考えますがいかがでしょう。市の見解をお示しください。
但し、補装具事業において人工内耳装置の修理代は18歳以上も支給されていることは承知しています。
4点目は、「紙おむつの配布」についてです。知的障がい者にもおむつを求める連絡会の皆さまからも「日常生活用具の支援制度に知的障がい児者も紙おむつ給付対象にすることを求める要望書」が提出されました。
要望内容は、自分で排せつの管理が困難で、毎日おむつを使用している知的障がい児者は多くいます。生活に必要不可欠なものです。茨木市では支給対象です。また、所沢市の要綱の目的には、重度の身体障害者及び重度の知的障害者等に対して、紙おむつを支給することにより、その福祉の増進と経済的負担の軽減を図ることを目的とする。と記され、対象者に身体障害者だけでなく常時、失禁状態にあり、紙おむつを必要とするものと記されています。
このように、おむつが必要な知的障がい児者が補助制度の利用ができるようにしてくださいとありました。
これは、国の地域生活支援事業における日常生活用具事業で、身体障害者等の方を対象にされている事業です。要望書に対する本市の回答は、先天性の疾患に起因する身体障がいや難病によって排尿、排便機能に障がいのある方や脳性麻痺等の脳原性(のうげんせい) 運動機能障がいにより排便等の意思表示が困難な方等を対象として、知的障がいの有無に関わらず給付しています。府内のほとんどの市町村も本市と同様の要件による支給を行っており、国や他市の動向等を注視しているところで、現時点では本市において、知的障がいのみを要件とした支給については予定していないとのことでした。
現在の予算規模はどのくらいでしょうか。
紙おむつを使用している知的障がい児者は多くいらっしゃるとの状況が要望書に記されています。一方で、自立に向けた訓練が大切であるとの意見も聞きますが、市では把握されていないようですが、国の資料では在宅は約9割とのことで、本市では約3,700人と推察します。家庭での介護や老々介護の状況など、訓練などの気持ちの余裕はないように思いますが、この状況をどのように感じられますか。
お隣の茨木市や所沢市の取り組みが紹介されていますが、知的障がい児者を対象としている自治体を把握し検討などされた実績・記録はありますでしょうか、お聞かせください。それぞれのご答弁をお願い致します。
(ご答弁 健康福祉部長) 障がい福祉に係る参加しやすい環境整備についての2問目に関して、内容が一部他部局にまたがりますので、調整のうえ、私の方からご答弁申し上げます。
まず、障がい者をはじめとした災害時要援護者の円滑な支援に向けましては、支援に携わる民生委員児童委員、地区福祉委員会、地区コミュニティ組織等へ災害時要援護者名簿を提供するとともに、訓練や研修会、出前講座等の様々な機会を通じて、各地域の実情に合わせた助言等を行うなど、日頃から地域で支え合い、助け合う関係づくりが定着するよう取組を進めております。
令和3年度からは、地区内の各種団体や福祉サービス事業者等の参画を得た防災ワークショップを、順次、各地区で開催し、団体間での相互理解や協力体制を深めるなど、地域一丸となった体制づくりを進めているところです。
また、福祉避難所につきましては、災害時の円滑な開設を目的として、令和4年度には、市の全域大防災訓練にあわせて、開設・運営に係る情報伝達訓練を実施するなど取組を進めており、引き続き、協定締結施設との意見交換などを通じて、連携・協力体制の充実を図る中で、福祉避難所の確保等に努めてまいります。
次に、手話通訳者の配置についてのお尋ねですが、本市においては、聴覚、言語機能などの障がいのため、意思疎通を図ることに支障がある障がい者に意思疎通を支援するために手話通訳者や要約筆記者を派遣する意思疎通支援事業を実施しております。
また、手話通訳や要約筆記以外に特別な意思疎通の支援が必要な障がい者が医療機関に入院した場合、医療機関従事者との意思疎通を行う支援者を派遣する入院時コミュニケーション支援事業を実施しております。
職員に対する研修については、毎年度、聴覚障がい者及び視覚障がい者に対する正しい理解と認識を養うことを目的として、「手話・点字研修」を実施しております。全8回の研修で、手話実技や視覚障がいのある当事者を講師とした点字実習、聴覚障がいのある当事者市民との手話を用いた交流会などを行いました。
研修参加は、公募制ですが、市民応対を中心とする窓口業務がある部署の職員には、強く受講を働きかけることで、令和5年度は、これらの職員を中心に15名の職員が受講しました。
また、他にも、職員の障がい者理解を促進するため、新規採用職員を対象に、様々な障がいのある当事者を招いた交流会を実施したほか、新任主査級職員研修では、障害者差別解消法に関する講義を行うなど、機会を捉えて、障がい者に対する正しい理解と認識を学ぶ研修を実施しております。
次に、遠隔手話通訳サービスについては、他団体等と協力し取り組んでおり、スマートフォンが不慣れな聴覚障がい者向けにスマートフォン講座を開催し、電子申し込み申請や利用登録の方法、遠隔手話で使用するアプリの追加方法、オンライン会議システムの使用方法等を学ぶ機会を提供しております。
次に、人工内耳に関するお尋ねですが、人工内耳装置等購入費助成事業における令和5年度の実績件数は9件で、補助実績額は、21万8,525円となっております。また、本市では、補装具事業において人工内耳装置の修理代を支給しており、令和5年度の申請件数が4件ございました。なお、事業の拡充については、国の動向や他市の支給状況等を研究してまいります。
最後に、日常生活用具事業における紙おむつの支給についてのお尋ねですが、まず、紙おむつの予算規模につきましては、令和6年度で約2,700万円となっております。紙おむつを使用している知的障がい児者が多数おられ、老々介護など厳しい状況にあることなどについては、障がい者団体や関係者等からのお声をお聞きする中で認識しております。
他の自治体の状況につきましては、一部の近隣他市および中核市にあっては、身体障がいを伴わない知的障がい者に対して、一定の条件を付して給付していることを確認しており、今後も、引き続き国の動向や他市の状況等の調査研究を行ってまいります。
(3問目) 2問目のご答弁より、障がい者をはじめとした災害時要援護者の支援については、関係機関への名簿の提供とともに、日頃から地域で支え、助け合える関係づくりの定着や、協力体制を深める環境整備を進めていただいているとのことでした。
福祉避難所においても、連携・協力体制の充実を図りながら福祉避難所の確保等を進めていくとのことで、南海トラフ巨大地震発生の確率が上がる今、さらなる共助・公助の取り組みが重要です。宜しくお願い致します。
個別の取り組みについてですが、「手話通訳の配置」は、意思疎通を支援するため適切な配置を実施していただいていることはわかりました。医療機関などでは、「入院時コミュニケーション支援事業」や市職員に対する研修、「遠隔手話通訳サービス」等、環境整備をしていただいています。只、先に申し上げた「障害の社会モデル」が課題であり、社会との関わりの中で障害が生まれることを配慮しなくてはなりません。
障害者差別解消法の基、官民ともに「合理的配慮の提供」、接遇等のあり方を考えますと、改めて市条例の必要性、啓発活動の「環境整備」の重要性を感じます。
そして、人工内耳つきましては、今後の拡充など、国の動向、他市の状況等、研究していくとのことでした。18歳以上の拡充に向けて「環境整備」の検討に期待を致します。
最後に、知的障害児者などの紙おむつの支給につきましては、今後も、引き続き国の動向や他市の状況等の調査研究をしていくとのことでした。高障連の皆さまとの懇談の折、年金生活での負担は大きく、例え3,000円でも支援をいただけると助かるとのお声がありました。ご検討をお願いしておきます。
つくば市がこの4月から知的障害者おむつ購入費助成の取り組みをはじめられました。知的障害で療育手帳を取得しており、在宅生活上、紙おむつを必要とされる方が対象とされています。
年度での取り扱いで、4月から6月に申請すると、助成券2,500円×24枚、7月から9月だと18枚の交付。以下、10月から12月は12枚、1月から3月は6枚となり、市費で賄われているとのことでした。
現在、人口約23万人のつくば市の知的障害者人口は約1,500人。4月からの申請数は600人とのことでした。市民から助成のご要望があり、事業をはじめられたそうです。参考にしていただければと思います。
今回の質問・要望以外に、高障連の要望書より、課題はまだまだ多くあります。本市では、地域福祉計画の基本理念である「高槻市に住むすべての人々が、夢を育み、安心して暮らせる自治と共生のまちづくり」のもと、高齢者、障がい者施策等を進めているところです。
また、障がい施策・第2次高槻市障がい者基本計画は、同計画の基本理念のもと、「個人としての尊厳の尊重」「地域における生活支援の充実」「自立と社会参加の促進」「人にやさしいまちづくりの推進」の4つの施策展開の基本的な方向性を掲げ、障がい者施策を総合的・計画的に推進しています。
朝、バス停で会う青少年の皆さま。お父さんやお母さんが支援学校へ向かうバス停までお見送りされ、子どもたちも笑顔でグータッチをしてくれます。支援学校を卒業した青年はいつも笑顔で送迎バスに乗って作業所に向かわれます。彼らをはじめ多くの皆さまに頑張っていただきたい。そんな思いです。
そして、これからの高槻の未来に向けて大切だと思うことは、障がいのある子どもと障がいのない子どもが共に学び、多様な子どもたちが排除されずに教育を受けられる仕組み、インクルーシブ教育の充実にもあると思います。
障がい児者が安心して暮らせる環境の整備について、障害の有無にかかわらず市民、誰もが相互に人格と個性を尊重し支え合う「共生社会」の実現を目指していきたい。
そして、障がい者福祉制度の現行の見直し、改善とともに、差別がなく、それぞれの人生の価値観の中で、誰もが「参加しやすい環境整備」をお願いして、私の一般質問を終わります。(40分間)