衆望担い次代へ前進
(7日 公明新聞より) 公明党は9月28日に第15回党全国大会を開催します。党大会の意義や議論される政策課題について石井啓一幹事長、高木陽介政務調査会長にそれぞれ聞きました。
■ (石井幹事長) “三つの政治決戦”勝利断じて
――今回の党大会の意義について。
石井幹事長 公明党は今年11月17日、結党60年の節目を迎えます。
これまで党を支えてくださった全ての皆さまへの感謝と党創立者が示された「大衆とともに」の立党精神を全議員がいま一度胸に刻み、新たな時代への前進を開始する党大会です。
来年秋までに行われる衆院選、東京都議選、参院選の“三つの政治決戦”の勝利を誓い合い、出陣していきます。
今月27日には自民党の新総裁が誕生し、自公連立政権は新たな体制で出発することになります。党大会では、自民党派閥の政治資金問題で失った信頼回復へ不断の政治改革とともに、発足から25年が経過した自公連立政権で果たしてきた公明党の役割を踏まえ、衆望を担い、現場目線、生活者目線の政治をさらに進めていく決意を訴えたいと思います。
――党大会で議論される主なテーマは。
石井 公明党は1964年の結成大会で「大衆福祉」を掲げて以来、一貫して大衆に光を当て改革を進めてきました。しかし今、わが国は人口減少・少子高齢化をはじめとする社会構造の変化に直面しています。党の強みである「小さな声を聴く力」「国と地方のネットワークによる政策実現力」をこれまで以上に発揮し、時代に合った「大衆福祉」を実現していかねばなりません。
■ 新しい福祉社会築く
――具体的には。
石井 2022年12月に「2040ビジョン検討委員会」を立ち上げ、自治体へのアンケートや有識者らとの意見交換、視察などを重ねながら、40年を見据えた社会保障のあり方を議論してきました。党大会では、その中間取りまとめの骨格を報告します。
具体的には、これまで築いてきた「全世代型社会保障」を基盤に、人々のつながりと支え合いを幾重にも創り上げる「創造的福祉社会」を新たに構築することを掲げ、その実現に向けた改革の方向性を打ち出します。40年までを「正念場の15年」と位置付け、できることから取り組みをスタートさせていきます。
――外交・安全保障については。
石井 国際社会は、戦争による人道危機や核兵器使用のリスク、SDGs(持続可能な開発目標) の進ちょくの遅れ、気候変動など人間の生命や尊厳を脅かす複合的な危機に直面しています。
こうした地球規模の課題解決に向けた道筋を示すことは「平和の党」である公明党の使命です。「戦後80年」の節目を迎える来年の春をめどに「平和創出ビジョン」を策定し、取り組みを加速させていきます。
■ 拡大力の強化、DEI推進で党改革
――党勢拡大の取り組みは。
石井 衆望に応える議員へと成長していくことが党勢拡大に直結します。そのためには、どこまでも「現場第一主義」に徹し、「議員力」を徹底的に磨き抜かねばなりません。中でも今、最も求められているのは「拡大力」です。党や議員個人を恒常的・積極的に応援してくれる「アクティブサポーター(AS)」の拡大や電子版を含む公明新聞の拡大、SNSの活用に総力を挙げます。
こうした議員活動を支えるため、党本部に党勢拡大と広報宣伝の司令塔を設置するなど党改革を進めてきました。さらに今後示す「多様性、公平・公正性、包摂性(DEI)」の指針に基づき、性別や障がいの有無などにかかわらず、全ての議員・秘書、職員が活躍できる環境整備に力を入れていきます。
――政治決戦に向けては。
石井 「新時代の公明党」の揺るぎない基盤を築くためにも“三つの政治決戦”に断じて勝利しなければなりません。統一外地方選挙も間断なく行われます。全ての選挙で全員当選を果たすため、党大会を機に全議員が総立ちとなり、一つ一つの戦いに勝ち抜いて、各地域で党勢拡大のうねりを巻き起こしていく決意です。
■ (高木政調会長) 物価高克服へ所得向上
――党大会で提示する重要政策案の方向性は。
高木政調会長 長く続いたデフレ型経済から成長型経済に移行するため、物価高を克服する持続的な賃上げと所得向上による好循環の実現が最重要です。また、少子高齢化・人口減少という課題に直面する中、持続可能で活力あふれる社会を創ることが、政治が果たすべき責任であるとの観点から、今後2年間を見据え、具体的な6本の柱からなる政策を示します。
――1番目の柱に「物価高克服へ、暮らしを守る! 所得向上!」を掲げています。
高木 円安などに伴う食料品やエネルギーの高騰が長期化し、家計が苦しい現状を踏まえ、低所得世帯や、賃上げの恩恵が及ばない年金生活者への給付を行うほか、新たな住宅手当(家賃補助) の創設をめざします。
また、中小企業の持続的な賃上げを実現する環境整備に向け、労務費も含めた適切な価格転嫁や下請法の改正を進めるほか、人手不足に対応する省力化・生産性向上を推進します。
■ 教育無償化の拡大も
――2、3番目は「子どもの幸せが最優先の社会へ、公教育の再生・子育て支援の充実」「健康・命を守る、高齢者支援」です。
高木 子どもたち一人一人に光を当て、自分らしく強みを発揮して輝いていける教育の再生とともに、高校・大学の授業料無償化や給付型奨学金などの対象拡大をめざします。出産費用の実質無償化をめざし、不登校の児童生徒や障がいのある子どもへの支援強化も進めます。
帯状疱疹ワクチンの円滑な接種や、難聴に悩む高齢者らへの適切な支援、単身高齢者らへの終身サポート事業の制度化などにも取り組みます。
――4番目は「安全・安心の防災大国」です。
高木 発災8カ月が経過した能登半島地震からの復旧・復興を加速させます。大規模災害の教訓に基づき、避難所のTKB(トイレ、キッチン、ベッド) の整備や、トイレトレーラーの導入推進など、避難生活の質の向上に努めます。線状降水帯の予測精度の向上など豪雨災害への対策強化も進めます。
――5、6番目の「活力ある地域づくり」「国際社会の平和と安定」のポイントは。
高木 地域公共交通の再構築を加速させるとともに、地方の「移動の足」確保を推進します。魅力ある農林水産業の構築、インバウンド(訪日客) の地方誘客の促進などに取り組みます。また、核兵器廃絶やSDGs(持続可能な開発目標) 達成に向けた取り組みを日本が主導するなど、積極的な貢献を後押しします。
これら6本の柱に加えて、女性の健康支援や選択的夫婦別姓制度の導入、若者が安心して将来を選択できる社会の実現などにも取り組みます。