被災地学び支援派遣等枠組み
文部科学省は、大規模災害時の子どもの学習継続や学校の早期再開を目的として、被災地に教職員らを派遣する新たな枠組みを構築する。
名称は「被災地学び支援派遣等枠組み(D-EST=Disaster Education Support Team)」。
能登半島地震を踏まえた対応で、公明党が創設を主張。検討を進めてきた同省は8月末に中間取りまとめを公表し、2025年度予算の概算要求に関連経費計5000万円を盛り込んだ。
能登半島地震では、文科省職員のほか、被災地外の自治体から教職員が派遣され、学習継続の支援に当たった。兵庫や熊本などに設置されている「学校支援チーム」も被災地に入り、学校再開や児童生徒の心のケアに貢献。一方で学校が避難所となっていたことから学習の再開に遅れが生じるなどした。
こうした課題を受けD-ESTは、発災時に速やかに人材を派遣し、教育に関する効果的な支援につなげるのが目的。取り組みの柱は、① 同省職員の派遣 ② 学校運営をサポートする「学校支援チーム」の派遣 ③ 被災地外の教職員やスクールカウンセラー(SC) の派遣――の三つ。発災時に一体的な枠組みとしての役割を果たすため、平時からの取り組みも強化する。
具体的には、同省職員を円滑に派遣できるよう候補者リストを作成し、定期的な職員研修を実施。被災した学校施設の危険度を判定する技術職員の養成も進める。学校支援チームに関しては、既に設置している5県との連携を強化し活動の高度化を図るとともに、残る都道府県への設置も推進。このほか、被災地外の自治体などから教職員やSCを派遣するため、自治体側に候補者リストの作成を要請する。
D-EST創設を巡って公明党は、教員や心理学の専門家、大学、NPO法人など官民連携による支援チームを被災地に派遣する枠組みを作るよう政府に提唱。今年2月の国会質問で稲津久衆院議員が取り上げ必要性を訴えたほか、6月に党文部科学部会(部会長=浮島智子衆院議員) が盛山正仁文科相に申し入れていた。
■公明提案、具体化後押し/党文科部会長 浮島智子衆院議員
能登半島地震では被災地以外の自治体から派遣された人材が活躍したが、支援までに時間を要したのが課題となった。
D-ESTは、大規模災害時に迅速に支援を届けるだけではなく、そのために必要な備えを平時から整えておくものだ。能登地震で寄せられた被災地の声を踏まえた公明党の提案であり、今後の具体化を強く後押ししていく。
各自治体では、被災時に支援を受けることを想定した計画策定も重要だ。一方、教職員らを派遣する自治体についても、学校の働き方改革による教職員らの日常業務の負担軽減を進めるといった目配りが必要だ。
災害はいつ起こるか分からない。だからこそ、被災地の子どもたちの学びを保障するための取り組みをさらに強化していきたい。