海水の不思議 打ち上げ花火
(2日 公明新聞「学んでみよう!」より) いよいよ夏休みが始まりました。家族で海水浴に出掛ける人も多いのではないでしょうか。
海は、地球の表面積の約7割を占めています。
海と淡水の川や池との最も大きな違いといえば、「水が塩辛い」かどうかです。海水には、食塩の主な成分である塩化ナトリウムが含まれていますが、そもそも、なぜ海水には、塩分が含まれているのでしょうか? その理由は今から約46億年前、地球が誕生したときまでさかのぼります。
誕生したばかりの地球では、大量の水蒸気が雨となって降り注ぎ、地表にたまっていきました。これが海の始まりです。
この雨には塩素が含まれていたため、海水の性質は酸性、つまり、大昔の海水は「酸っぱかった」と推測されています。その後、長い歳月をかけ、陸地の岩石に含まれたナトリウムや鉄分などが溶け出すことで、塩化ナトリウムを含んだ塩辛い海水に変化していったのです。
海水の塩分濃度は約3・4%です。1キログラム中に34グラムの塩分が含まれている計算になります。ただし、地域によって塩分濃度は変わります。気温が高いエリアでは水温が上昇することで濃度が高くなり、河口など淡水が流れている付近では濃度が低くなります。北極や南極では、氷が溶けると薄まります。
なお、海は生命の源でもあります。地球最初の生命体は、約38億年前に海の中で誕生しました。その証拠の一つに、私たち人類の血液成分と、海水の成分が非常によく似ていることが挙げられています。
皆さんは、プールよりも海の方が体が浮きやすいと感じたことはありませんか。これにも塩分が関係しています。塩分が溶けている海水は真水よりも重く、浮力(浮く力) が大きくなるため、物体が浮きやすい仕組みになっています。
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夏の風物詩といえば、夜空を華麗に彩る打ち上げ花火です。今年も、全国各地で花火大会が開催されています。
打ち上げ花火とは、ボールのような丸い「花火玉」を打ち上げ、美しい色や光を出す花火のことです。花火そのものの発祥は古代中国で、日本には16世紀に伝わりました。現在行われている花火大会のルーツは、江戸時代から続く隅田川の花火大会にあるとされています。
花火玉の中には、花火の色や光の元となる「星」という火薬の粒と、花火玉を空中で破裂させ、星を遠くに飛ばすための「割薬」という火薬、割薬に火をつける「導火線」などが入っています。
花火は、形によって幾つかの種類があります。代表的なのが「割物」と呼ばれるものです。花火玉が破裂すると星が飛び散り、菊やボタンのような大輪の花火が開くタイプです。「小割物」は、花火玉の中に入ったたくさんの小さな割物が飛び出し、小さな花火が同時にバラバラと光るのが特徴です。
「ポカ物」は、上空で花火玉が二つに割れるタイプで、柳の枝が垂れ下がるように光が落ちていく花火です。また、ハチの群れが飛び回るみたいに、シュルシュルと回転しながら光る種類もあります。
花火玉には、「2号玉」から、「40号玉」までいろんな大きさがあります。サイズによって、空に上がる高さや花火の大きさが変わります。2号玉は上空約50~60メートルまで上がり、開いた花火の直径は約50メートルです。
一般的な花火大会では、8~10号玉が使われます。10号玉は約330メートルまで上がります。最も大きい40号玉は、約700メートルまで上がり、直径も700メートルです。なお、現在でも花火玉の製造は、花火師と呼ばれる職人による手作りがほとんどです。