脳の老化を予防しよう
生活習慣の改善が重要 男性 女性
(30日 公明新聞より) 年齢とともに人間の脳は老化していきます。
国立研究開発法人・国立長寿医療研究センターの調査結果で生活習慣を改善することで老化を予防できることが分かりました。
具体的なポイントを解説します。
人間の体の中で司令塔の役割を担っているのが脳です。
一般的な脳の重さは、成人男性で1300~1400グラム、成人女性では1200~1300グラム程度といわれていて、表面は神経細胞が密集する「灰白質」で覆われています。
私たちの脳は、老化に伴って少しずつシワが深く、大きくなります。これは、徐々に脳が萎縮しているからです。その原因は脳の神経細胞の収縮や消失です。
一般的には30代から少しずつ小さくなり始め、90歳になると60歳の脳よりも5~7%程度軽くなると言われています。また、萎縮の早さには個人差があることが分かっています。
灰白質の体積も脳の萎縮に伴って小さくなる傾向があります。そして、小さくなり過ぎると判断力や記憶力が低下し、物忘れが激しくなるなど、生活に支障を来すことになります。
同センターの調査ではこの灰白質の体積に注目し、① 食事 ② 運動 ③ 睡眠 ④ 飲酒 ⑤ 喫煙 ⑥ 社会参加――の6つの生活習慣が、脳の老化を抑える関係性について確認しました【表参照】。
調査の結果、6つの項目のうち、良い生活習慣が1点増えるごとに、灰白質の体積の萎縮が「2年間で100~200立方ミリメートル」ずつ抑えられることが分かりました。
■ (男性) タバコを吸わない、社会参加
■ (女性) バランス良い食事を心掛ける
男女別で見てみると、男性ではタバコを吸わないことと、就労を含む社会参加があること、女性ではいろいろな食品を食べていることが灰白質の萎縮の抑制と関連していました。
灰白質の萎縮を完全に止めることは難しいですが、そのスピードを緩やかにできれば、より長く若々しい脳を保つことができ、豊かな人生を送れる時間が増えます。
■ 1日の飲酒目安はビールなら500ミリ
生活習慣の改善に取り組む場合、脳の老化予防と関連している6項目から始めましょう。男性の場合は禁煙と社会参加の機会を増やすこと、女性の場合はバランスの良い食事をまず心掛けることが重要です。
特に食事に関しては、人によって食生活が偏っていることも少なくありません。穀類や緑黄色野菜、果実、魚介類、肉類など、たくさんの食材を食べましょう。
同センターが公表している「食事バランスチェックシート」に食品の項目と具体的な食材の名前が掲載されています。これを見ながら、自身の食事状況を確認してみてください【二次元コード参照】。
また、飲酒に関しては1日当たり、純アルコール20グラム程度が適正です。目安量としては、アルコール度数5%のビールなら500ミリリットル、日本酒なら1合(180ミリリットル) となります。