身元保証や“終活”支える体制を
(10日 公明新聞) 家族など頼れる身寄りがいなくても安心して老後を過ごせる環境を整えたい。
政府は今年度から、身寄りのない高齢者の身元保証や財産管理といった生活上の課題を支えるモデル事業を開始し、現在、参加する市区町村を募集している。
モデル事業は経済状況に合わせて2種類ある。
民間サービスを利用できる余裕のある人には、市区町村が設ける相談窓口で対応し、配置されたコーディネーターが公的支援と民間サービスを組み合わせて暮らしを支える包括的な支援プランを作成、それに基づく契約もサポートする。
民間サービスを受ける経済的な余裕のない人には、市区町村にある社会福祉協議会などが対応し、入院や介護施設への入所といった各種手続きの代行や緊急連絡先の引き受け、葬儀や遺品処理などの死後の対応までパッケージで提供する。
いずれも、身寄りのない高齢者の身元保証を確保した上で希望に応じたサービスを受けられるようにするもので、老後を安心して暮らすには欠かせない。
国の推計では、65歳以上の単身世帯は2020年の738万世帯から50年には1・5倍の1084万世帯に増え、全世帯の2割を占める時代になる。
国はモデル事業を通して当事者が直面する課題を洗い出し、具体的な支援体制を構築してもらいたい。
国に先行して取り組みを進めている自治体もある。東京都豊島区では21年から人生の最期に備える“終活”に関する相談窓口「終活あんしんセンター」を開設。相続や遺言、葬儀など終活全般について相談できるとして注目されている。
最近は、身寄りのない人の身元保証を引き受ける民間サービスが増える一方、契約内容を巡って事業者と金銭トラブルになるケースも少なくない。
政府は先月、事業者が守るべき指針の案をまとめ、具体的なサービスの内容や費用、解約方法について書面で説明することなどを盛り込んだ。トラブルの回避につながるルール作りを進めてほしい。
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2つの終活支援について学ぶ(横須賀市) <あきひログ