車のシートベルト
一般道、約43%にとどまる 後部座席でも着用を
(2日 公明新聞より) このゴールデンウイーク中、車でお出掛けする人も多いのではないでしょうか。安全にドライブするためには、シートベルトの着用が欠かせません。
未着用の危険性や正しく装着するコツを、一般社団法人日本自動車連盟(JAF) 東京支部の担当者に聞きました。
2008年、後部座席でのシートベルト着用が義務化されました。
しかし、昨年、JAFと警察庁が合同で実施した調査によると、前方席に比べ、後部座席の着用率は低い状態が続いています。
特に、一般道での低さが目立ちます。高速道路の着用率が約78%なのに対し、一般道での着用率は約43%にとどまっています(23年のデータ)。
後部座席でシートベルトを着用せず交通事故に遭った場合、次のような危険性があります。
まずは、後部座席に座る人が致命傷を負う可能性です。衝突した際にシートベルトを着用していないと、前方に激しく投げ出されたり、硬いピラー(柱) 部に頭をぶつけたり、車内で全身を強く打ち付ける危険性があります。
さらに、運転席や助手席に座っている人を巻き込んでしまう恐れもあります。事故の衝撃で前に投げ出された後部座席の人と、エアバッグの間に挟まれてしまいます。頭を打ったり胸部を圧迫したりして、重傷を負う危険性があります。
後部座席でのシートベルトの未着用は、本人はもちろん、正しく着用している同乗者の命を脅かすことにつながってしまいます。
最後は、車外放出の危険性です。事故の衝撃で車が回転した場合、遠心力で横の窓から車外に放出されたり、後方の窓を突き破ってしまう可能性があります。
■時速55キロで致命傷に
JAFは、ミニバンの前方席と後部座席にダミー人形をそれぞれ2体乗せ、運転席後ろの人形のみ、シートベルト非着用の状態で、時速55キロで壁に衝突させる実験を行いました。衝突時の人形の動きと、頭部への傷害の度合いを示す数値「HIC」を計測した内容です。
その結果、後部座席の人形の頭部は、ヘッドレストを介して運転席の人形の後頭部に衝突し、シートごと押しつぶしました。その際、HICは2192まで上昇しました。HICが2000を超えると、死亡や重傷につながる致命的な頭部損傷を負うリスクが高くなります。未着用がいかに危険であるかが浮き彫りとなりました。
JAFでは、シートベルトの正しい着用方法を次のように周知しています。
■固い骨の上通す
まず、シートベルトは「固い骨の上を通す」ことが重要です。肩ベルトは鎖骨・胸骨・肋骨、腰ベルトは腰骨の上を通すように着用してください。骨盤の左右の腰骨を押さえるようにするのがポイントです。
もし、おなかの上など体のやわらかい部分をシートベルトが通っている場合、衝撃時に内臓などを損傷する可能性があります。首に掛かっていると、首を損傷してしまう場合もあります。必ず固い骨の上を通すようにしましょう。
■ねじれ、たるみに注意
ほかにも、ベルトのねじれや、たるみにも注意しましょう。ねじれていると衝撃時にねじれた箇所に力が集中し、たるみがある場合は十分な効果を発揮しないことがあります。妊娠している人は、おなかを避けるように着用してください。