最も大事なのは姿勢 正しい呼吸の仕方
(23日 公明新聞より) 春は心身の調子が崩れやすい季節です。正しい呼吸の仕方を学んで、改善しましょう。東京都大田区にある、雪谷大塚クリニックの雨宮隆太院長に教えてもらいました。
呼吸は、神経や代謝など心身の機能と密接に関係して、意識して行うことで心が落ち着き、免疫力が上がるなどの効果をもたらします。
普段は無意識に行っている呼吸ですが、皆さんは鼻と口、どちらで吸っていますか。理想的なのは鼻から吸うことです。
鼻から空気を吸うことで、鼻腔の中にある鼻毛が外気から細菌や異物が体内に入るのを防いでくれます。
また、鼻水が乾燥した空気にある程度の湿気を与え、乾燥から体を守ってくれる働きもあるのです。
口から空気を吸うと、細菌や異物をブロックする手段がなく、そのまま体の中に侵入してしまいます。湿気を与えることもできないので、喉を痛めてしまいがちです。
吐く時は、鼻からの方が良いですが、口からでも問題ありません。
■胸式と腹式を好みの比率で
一般的な呼吸法には胸式と腹式という二つの種類があります。人によって比率は違うので、自分の好みで選びましょう。
肋骨を広げて胸に空気を取り入れるのが胸式呼吸です。吸う息に重点を置いていて、交感神経の働きを優位にします。これにより、臓器や各種器官の働きを向上させ、日中の生活に必要となる適度な緊張感を体に与えることができます。
一方、腹式呼吸は、胸とおなかを仕切っている横隔膜という筋肉を大きく動かす呼吸法です。おへその下にある丹田に空気をためていくイメージで吸って、おなかを膨らませます。この動作によって、副交感神経の一つである迷走神経が刺激され、気持ちを落ち着かせる効果があります。
■吸うよりも吐く時間を長くする
良い呼吸を行う上で最も大事なことは「正しい姿勢」です。
体の重心は前にかかりすぎず、後ろに倒し過ぎないようにしましょう。胸を張った状態から少し肩の力を抜いて、ストンと肋骨を落とすイメージをすると良いでしょう。体の五つのポイントが垂直になるのが理想的です【イラスト参照】。
また、難しいですが「背中で吸う」という意識を持ちましょう。脇腹付近の背中側に手を当てながら空気を吸うと、この部分が膨らみます。これは、しっかりとした呼吸ができているほど、大きく動きます。
体に良い呼吸は、空気を吸う時間よりも吐く時間の方が長いです。吸う時間と吐く時間の割合は、1対2~3が理想とされています。口笛を吹くように口をすぼめると、物理的に空気が出ていく量が減り、結果的に息を吐いている時間が長くなります。
正しい呼吸は「体がだるい」「やる気が出ない」といった春に現れる心身の不調改善に効果的です。ぜひ、実践してみてください。