高槻市 濱田市長の施政方針より
令和6年3月定例会において、令和6度の施政方針が発表(3月28日) され、代表質問等を経て、3月25日に成立しました。
この4月から新規政策を含め、新年度の事業がスタートします。市長の施政方針説明と、その思いより、どのように取り組んでいくのか、市ホームページ「令和6年度施政方針大綱」(全文)からご紹介をいたします。
令和6年度の施政方針
はじめに、私は、4期目となる市政運営に当たり、将来にわたり全ての方が幸せを実感できるまちづくりを進めるとともに、高槻の輝く未来を創造する3つの柱として「次世代への積極投資」「成長基盤の強化」「健全財政の堅持」を掲げ、安心と希望を次世代に引き継ぎ、市民の皆さんと共に育んできた我がまち高槻を更に成長させていくことをお約束しました。
この実現に向け、令和6年度におきましても市政の発展に全力で取り組んでまいります。
具体的には、都市機能の分野では、JR高槻駅南地区の再整備に向けた取組を支援するとともに、高槻城公園周辺においては、歴史と文化を感じられる街並みの整備を進めます。
安全・安心の分野では、災害対応の総合拠点となる「(仮称) 総合防災センター」の整備に向けて検討を進めます。
子育て・教育の分野では、小学校・中学校の給食費無償化に続き、子ども医療費の完全無償化に向けた取組を進め、子育て・教育のトップランナー都市にふさわしい施策を推進してまいります。
健康・医療の分野では、全ての市民が健康でいきいきと暮らすことができ、質の高い医療・介護が受けられる「健康医療先進都市」を推進するため、施策の更なる充実と、その積極的な発信に取り組んでまいります。
そして、令和2年度に移転が正式決定されて以来、日本将棋連盟が準備を進めてきた新関西将棋会館が、いよいよ本年秋に開館を迎えます。「将棋の聖地」である同会館のオープンに合わせ、JR高槻駅周辺においては、官民連携により、「将棋のまち高槻」としての環境整備を進めます。
この将棋文化振興の取組は、将棋文化の振興はもちろんのこと、広く本市が日本古来の伝統文化を尊重し、その継承に取り組む自治体であることを市内外に示すこととなり、さらに、品格ある都市としての知名度向上とシビックプライドの醸成につながるものと確信しています。
一方、市民生活や地域経済においては、新型コロナウイルス感染症の影響は少なくなったものの、物価高騰が市民生活や地域経済に、今なお大きな影響を及ぼしています。この物価高騰に対し、これまで、水道料金基本料金の無償化など、市民・事業者に対する支援を実施してまいりましたが、引き続き、市独自の第6弾プレミアム付商品券の発行など、市民・事業者の皆さんに寄り添う支援策に取り組んでまいります。
令和6年度の重点施策について
⑴ 都市機能が充実し、快適に暮らせるまちに向けた取組
JR高槻駅南地区については、中核市高槻の玄関口として、風格と魅力あるものとなるよう、市街地再開発準備組合による再整備に向けた取組を支援します。
富田地区については、多世代交流機能を有する(仮称) 富田地区複合施設等の基本計画を策定するとともに、引き続き、豊富な歴史・文化などをいかした本市西部の都市拠点としてふさわしい、にぎわいあふれるまちづくりを進めます。
富寿栄住宅については、2期住宅棟の建設に着手するなど、令和8年度の事業完了を目指し、PFI事業者による効率的かつ効果的な建て替え事業を推進します。
地域公共交通については、「総合交通戦略」の改定に合わせた一体的な計画の策定に向け、市民意識調査や課題整理などを行います。また、山間部の地域特性に応じた適切な交通手段の導入について、地域住民と意見交換を重ねた上で、実証実験に向けて取り組みます。
民間建築物の耐震化を促進するため、戸建て木造住宅の除却補助額を増額するとともに、官民連携による耐震化の補助制度の周知や啓発活動を積極的に行います。
JR高槻駅北については、上宮天満宮へ向かう高槻駅前線において、防災性の向上や快適な道路空間の確保と、本市の玄関口にふさわしい風格と魅力ある景観形成を図るため、無電柱化と美装化を推進します。また、安全で快適な移動を確保するため、駅舎内エスカレーターの更新を行います。
JR高槻駅西口周辺については、新関西将棋会館のオープンに合わせて、地下通路の美装化や休憩施設の整備を行います。また、駅中央口から西口周辺までの間において、「将棋のまち高槻」にふさわしい空間整備に取り組みます。
高槻城公園へのアクセス道路である大手八幡線及び野見八幡線については、安全で快適な道路空間を確保するとともに、公園と調和した景観形成を図るため、無電柱化と美装化を推進します。
府内唯一の公営バスである市営バスについては、市民の生活に欠かせない重要な社会インフラとして、「市営バス経営戦略」に基づく取組を推進するとともに、事業を取り巻く環境の変化に対応するため、更なる経営基盤の確立・強化に向けた取組を推進します。
大規模災害に備え、「水道事業基本計画」に基づき、基幹管路等の耐震化や大冠浄水場の段階的な更新など、安全で安心な水道水の安定供給を堅持するための取組を着実に推進します。
水需要の減少など、経営環境が一層厳しさを増す中、将来にわたり安定した経営を行うための方策について、水道事業審議会での審議を踏まえ検討を進めます。また、管路更新の必要性や経営の見通しについて、市民の関心・理解を深めるため、より積極的な情報発信を行います。
下水道施設については、排水機能の停止や道路陥没等を未然に防止するため、「下水道ストックマネジメント計画」及び「下水道総合地震対策計画」に基づき、点検調査や更新工事など、老朽化対策・地震対策を推進します。
⑵ 安全で安心して暮らせるまちに向けた取組
頻発する自然災害への備え等に資する施策を効果的に推進し、強靱なまちづくりを進めるため、「国土強靱化地域計画」に基づく取組を着実に実行するとともに、次期計画を策定します。
自助・共助力の更なる向上に向けて、市民防災協議会の活動を支援するとともに、同協議会と協働で各地区の防災活動のサポートや新たな防災リーダーの育成を行うなど、災害に強いまちづくり・人づくりを推進します。
淀川等における大規模水害時に、より実効性のある避難体制を確保するため、令和5年度に策定した淀川広域避難タイムラインに基づく避難の方法や適切なタイミングを市民へ周知啓発するとともに、浸水想定区域内において、新たに「洪水時緊急安全確保施設」の指定と表示看板の設置を行います。
防災意識の向上と災害対応力の強化を図るため、市内北西地区において市民避難訓練を実施します。また、防災関係機関や事業者等と連携し、淀川広域避難タイムラインに沿った警戒体制や発災後の対応を確認する地域防災総合訓練を実施します。
総合防災力の向上を図るため、平常時には防災の普及啓発、研修等、自助・共助力を強化するための拠点となり、災害時には危機管理機能の総合拠点となる「(仮称) 総合防災センター」の整備に向けた検討を進めます。
消防団員の能力や資質の向上を目的とした全国的にも数少ない多機能型消防団等訓練施設の整備と中消防署富田分署の建て替えについては、本年10月の運用開始に向けて工事を進めます。
119番通報の受信体制の強化や相互応援体制の迅速化による市民サービスの向上を図るため、高槻市島本町消防指令事務協議会において消防指令システムを整備するなど、令和7年度に開始する消防指令事務の共同運用に向けた取組を進めます。
増加している特殊詐欺被害対策として、市民の防犯意識の高揚を図るため、令和5年度に創設した特殊詐欺被害防止サポーター制度に基づく講座受講者をサポーターとして認定するとともに、同制度の周知等を目的とした啓発イベントを開催します。また、引き続き、詐欺電話対策機器の無料貸出を実施します。
⑶ 子育て・教育の環境が整ったまちに向けた取組
将来にわたって適切な集団保育を実施するため、「第2次市立認定こども園配置計画」に基づき、保育所・幼稚園の認定こども園化に向けた取組を進めます。また、令和7年度から3年保育を開始する公立幼稚園5園の改修を行います。
子育て中の保護者の経済的負担を軽減するため、子ども医療費助成については、引き続き、18歳までを対象として実施します。また、更なる負担軽減を図るため、令和7年4月診療分からの完全無償化に向けて取り組みます。
学童保育については、高学年児童の受入確保と待機児童の解消に向け、民間学童保育室の設置を促進するため、引き続き、開設や運営に要する経費の一部を助成します。
小学生の放課後の居場所づくりを推進するため、「(仮称) 見守り付き校庭開放」を小学校5校で実施します。
全ての妊婦に対する健診の費用助成回数を拡充するとともに、健診の受診回数が多い多胎妊婦に対する追加助成を新たに実施するなど、安心して子どもを産み、育てることができるよう、全国トップクラスの妊婦健診費用助成制度を実現します。
小中学校の学校給食費については、無償化を継続するとともに、食物アレルギー等を理由に給食を喫食せず、弁当を持参している児童生徒の保護者に対して、新たに給食費相当分の補助を行うことにより、子育て世帯の家計への負担軽減を図ります。
義務教育9年間の一貫性・連続性のある教育活動を通じて、学力向上や豊かな人間性の育成を目指すため、新たに学校教育審議会を設置し、義務教育学校について、検討を進めます。
学校体育館の空調設備については、令和7年度までの全校設置に向けた整備を着実に進め、教育環境の更なる向上を図ります。
学校図書館については、確かな学力と豊かな心を育むため、蔵書を計画的に増冊するとともに、新たに各中学校区に校区学校司書を配置し、読書環境の充実を図ります。
目標に向けて学習する経験を通して、児童生徒の自信を育み、学習意欲と登校意欲の向上を図るため、3つの中学校区で漢字検定に取り組みます。
不登校支援の充実を図るため、不登校等支援員を増員するとともに、中学校に加え、全小学校に校内適応指導教室を設置し、学校での居場所づくりに取り組みます。
学校運営の方針を保護者や地域と共有し、学校と地域が協働して教育の質の向上を図るため、新たに4つの中学校区で学校運営協議会を設置し、コミュニティ・スクールの導入を進めます。また、導入中学校区に学校と地域をつなぐ地域学校協働活動推進員を配置します。
⑷ 健やかに暮らし、ともに支え合うまちに向けた取組
全ての市民が健康でいきいきと暮らすことができ、質の高い医療・介護が受けられる「健康医療先進都市」を推進するため、関係機関と連携し、講演会の開催など、本市の充実した医療環境や先進的な取組について、情報発信の強化に取り組みます。
「第4次・健康たかつき21」に基づき、健康寿命の延伸に向けた取組を推進し、全ての市民が健やかで心豊かに暮らせるまちを目指します。
がん検診については、早期発見・早期治療に向け、引き続き各種検診を無料で実施します。また、がん治療による外見の変化を受けた方に対して、ウィッグや胸部補整具等の購入費用の一部を助成する「がん患者アピアランスケア助成事業」を新たに開始し、がん治療と社会生活の両立を支援します。
白血病などの血液疾患の治療に必要な骨髄移植及びドナー登録を促進するため、市内在住ドナー及びドナーを雇用する市内事業所に対する助成制度を新たに創設します。
歯科口腔保健の推進を図るため、通院が困難な高齢者や障がい者を対象とした訪問歯科健診を新たに開始します。
令和5年度に診療日数を拡充した口腔保健センターにおいては、引き続き、地域の歯科診療所では診療が困難な障がい児者の受入体制を確保します。
令和6年度を始期とする「感染症予防計画」に基づき、平時から感染症の発生及びまん延防止に向けた取組を進めるなど、市民の命と健康を守る健康危機管理対策の強化に取り組みます。
地域共生社会の実現に向け、複雑化・複合化する支援ニーズに対応するため、「第4次地域福祉計画・地域福祉活動計画」に基づく事業を推進するとともに、コミュニティソーシャルワーカーを増員し、多機関協働による包括的な支援体制の更なる充実を図ります。
「(仮称) 地域共生ステーション」については、基本計画に基づき、にぎわいや交流の拠点となるよう整備を着実に進めます。また、魅力ある地域共生社会モデルとなるよう、地域と連携し、気運醸成に取り組みます。
認知症高齢者や知的・精神障がい者の権利擁護支援を推進するため、地域連携ネットワークの機能強化に取り組みます。また、障がい者虐待防止対策の更なる強化のため、市民への意識啓発や施設職員等に対する研修の充実を図ります。
高齢者を含む全ての世代が互いに支え合い、心が通い合う、やすらぎの社会の実現を目指し、「高齢者福祉計画・介護保険事業計画」に基づく各種施策に着実に取り組むとともに、介護保険制度の安定した運営を図ります。
子どもから高齢者まで手軽に楽しむことができるグラウンド・ゴルフを通じ、高齢者の健康づくりや多世代交流を推進するため、新たにグラウンド・ゴルフ場の整備に着手します。
「第2次障がい者基本計画」及び「第7期障がい福祉計画」に基づき、障がい者が住み慣れた地域で安心して生活できるよう、障がい者施策を着実に推進します。
⑸ 魅力にあふれ、にぎわいと活力のあるまちに向けた取組
街のにぎわいを創出するため、「BOTTOたかつき」を始めとする観光プロモーションにおいて、創意工夫による魅力的なコンテンツを提供し、交流人口及び関係人口の拡大を図ります。
定住人口の増加に向け、著名人をアンバサダーに起用するなど、東京圏及び関西圏への定住促進プロモーションを一層強化し、若年層の転入促進と転出抑制を図ります。
市外来訪者の増加を図るため、観光協会や商工会議所等との連携の下、集客イベントや多彩な観光プログラムを提供する「オープンたかつき」の更なる充実を図ります。
国史跡に指定された芥川城跡については、「芥川城跡保存活用計画」の策定に着手するとともに、史跡指定地の公有化に向けて測量を進めます。
高槻城公園については、かつてあった高槻城を偲ばせる歴史的景観に配慮した施設となるよう、北エリアの一次開園に向けた実施設計に着手するとともに、姉妹都市交流センターの跡地を北エリアと一体的に整備し、人々の交流と地域の活性化を促す新たなシンボルエリアの創造に向けた取組を進めます。
摂津峡青少年キャンプ場については、街のにぎわいと地域の活性化につながる施設を目指し、リニューアルに向けた検討に取り組みます。
芥川緑地においては、本年3月に開園する関西最大級の健康遊具数を備えた健康づくり広場(愛称「アクトレ」) を中心に、芥川緑地全体の利用促進が図られるよう、管理運営に取り組みます。
JR高槻駅西口前の駒音公園については、新関西将棋会館と調和し、将棋文化が感じられる、本市の玄関口にふさわしい魅力的な空間となるよう、令和7年3月の開園に向け整備を推進します。
芥川公園については、インクルーシブ遊具や乳幼児用遊具などを備えた、誰もが共に遊び楽しめる公園となるよう、再整備に取り組みます。
農業経営基盤強化促進法の改正に伴い、市街化調整区域内の農地の集積・集約化等に向け、地元との協議を踏まえた上で、各地域の農地利用の考え方を定める地域計画を策定します。
農林産物の生産者による地域資源を活用した加工・流通・販売等の取組や市内事業者とのマッチングを推進するなど、関係団体とのネットワークを活用した6次産業化の取組を促進します。
水源涵養や土砂災害の防止等の森林が持つ多面的機能を発揮させるため、森林環境譲与税を活用し、台風により被災した森林の復旧を始め、間伐や植林等、大阪府や大阪府森林組合と連携した森林整備に取り組みます。
物価高騰の影響を受けている事業者や市民の家計を支援し、地域経済の活性化を図るため、市独自の第6弾プレミアム付商品券を発行します。
生産年齢人口の増加を図るため、「社宅等整備促進補助金制度」を拡充するとともに、市内外の法人に対する積極的な周知に取り組みます。
創業・個店支援事業補助金制度や商工会議所との共催による創業セミナー等の実施により、市内の起業・創業環境を整備・醸成することで、魅力ある店舗の新規出店を促進し、雇用機会の拡大や地域経済の活性化を図ります。
⑹ 良好な環境が形成されるまちに向けた取組
市域の温室効果ガス排出量を削減し、地球温暖化の防止を図るため、エコハウス補助金等により、市民が取り組む創エネ機器設置や集合住宅の省エネルギー改修、事業者が取り組む省エネルギー設備等導入を支援します。
「第2次環境基本計画」に示す望ましい環境像の実現を図るため、市民・事業者・団体と共に「エコ&クリーンフェスタ」を開催するほか、環境保全活動の担い手を育成する「たかつき市民環境大学」を引き続き開講します。
自然環境・生活環境・景観の保全と災害の未然防止を図るため、太陽光発電施設の設置に係る条例を制定し、適正な設置を誘導します。
阪急高槻市駅前の公衆トイレについては、誰もが快適に利用できるバリアフリートイレにリニューアルするため、設計を行います。
⑺ 地域に元気があって市民生活が充実したまちに向けた取組
コミュニティ市民会議や各地区コミュニティが取り組む、地域に根ざしたまちづくり活動や防災活動を支援し、市民との協働による住みよいまちづくりを推進します。
パスポートセンターについては、市民の更なる利便性向上を図るため、旅券切替時の電子申請を導入します。
犯罪被害者等の支援については、新たに条例を制定し、見舞金の給付など支援制度を創設します。
「第2期文化振興ビジョン」に基づき、市民一人ひとりが文化芸術に親しみ、心の豊かさを感じられるよう、各種施策を総合的に推進します。
市を挙げて誘致に取り組んできた新関西将棋会館のオープンを契機として、「将棋のまち高槻」の全国に向けた発信に一層注力するとともに、産業界とも連携して地域経済の活性化を図ります。
将棋の振興については、将棋まつりやタイトル戦を引き続き開催するとともに、将棋文化の更なる裾野拡大に向け、新入学児童全員への高槻産木材で製作した将棋駒の配布や、棋士による出前授業等を実施します。
「第2期スポーツ推進計画」に基づき、スポーツを通じて市民の活力を増進するため、市民がスポーツに親しむことができる取組を推進します。
⑻ 効果的・効率的な行財政運営が行われているまちに向けた取組
「第6次総合計画」に基づき、まちづくりの目標となる8つの将来都市像の実現に向け、各種施策を推進します。
自治体DXを推進するため、「DXアドバイザー」の専門的知見を活用し、ICTガバナンスを強化するとともに、DX推進の中核を担う職員の育成に取り組みます。
「デジタル市役所」の実現に向けて、国のマイナポータルや市の電子申請システムを活用し、引き続き、市民がデジタル化の利便性を実感できる行政手続のオンライン化を推進します。
ふるさと寄附金については、魅力ある返礼品の拡充を行うとともに、新たな寄附申込サイトやサイト独自のポイント制を導入するなど、新規寄附者及びリピーターの獲得を推進することで、更なる受入額の増加に努めます。
公共建築物については、「公共施設等総合管理計画」及び「個別施設計画」に基づき、長期的な視点を持って、更新・長寿命化などの最適化を行うことにより、将来の財政負担を軽減し、次世代に良質な資産を引き継げるよう取り組みます。
税外収入の確保を図るため、環境科学センター跡地の売却に向けて引き続き取り組むなど、公有財産の貸付けや売却を積極的に推進します。
市政の推進に当たって
本市の財政状況は、40年にわたり連続して黒字を達成するとともに、基金残高の多さと市債残高の少なさは中核市の中で上位に位置するなど、健全な財政を維持してきました。しかし、生産年齢人口の減少、高齢化の進行、公共施設の老朽化への対応など、本市を取り巻く課題は山積しており、今後の財政見通しは非常に厳しい状況です。さらに、物価高騰など新たな社会情勢の変化にも適切に対応していく必要があります。
そのため、引き続き、「『みらいのための経営革新』に向けた改革方針」に基づく取組を推進することで、これまでの健全財政を堅持しながら、市民サービスの向上、さらに、高槻の将来に向けて、次世代への積極投資、成長基盤の強化を着実に進めてまいります。
また、組織面では、昨年8月に機構改革を実施し、組織体制の見直しや推進官等の配置を行い、子ども施策や学校教育など、各分野の課題解決に向け、積極的に取り組んでまいりました。引き続き、多様化・複雑化する行政課題に柔軟かつ迅速に対応し、主要施策を力強く推進してまいります。
以上の取組を通じ、市民の皆様が将来に対して夢と希望を持てる輝く未来の実現に向け、引き続き市政運営に邁進してまいります。
これら、ご説明申し上げました市政運営の方針に則りまして、議員各位を始め、市民各界各層のご意見、ご要望なども勘案しつつ、編成いたしました令和6年度の予算の総額は
一般会計で 1,404億1,098万7千円
特別会計で 1,112億8,518万1千円
合わせまして、 2,516億9,616万8千円
とし、一般会計につきましては、対前年度6月補正後の予算比で2.5%増の予算編成といたしております。
むすびに、本市で7番目に国史跡の指定を受けた芥川城は、戦国時代の大名三好長慶が全盛期に本拠としていた城郭です。
戦国時代、群雄は割拠し、政治の中心であった京においても私益を図るための政争や武力衝突が後を絶たない中、長慶は、統治能力を失った室町幕府に代わり、芥川城において畿内を掌握し始めます。
長慶は、畿内の大名、国人衆、寺社勢力、商人、農村など、当時の社会を代表する各勢力のそれぞれの立場や利益などをできる限り尊重し、それらを包摂するという方法により畿内を治めていきました。
このような長慶の政治・行政手法は、社会の融和を図るという当時としては極めて穏健な方法であり、華々しいものではなかったが故に、その功績は歴史に埋もれていましたが、近年は、当時、民衆が熱望していた泰平が畿内に訪れ、その後に続く天下泰平の礎を築いた長慶の功績が再評価されるようになりました。
芥川城は、長慶が泰平のための政治・行政の本拠とした天下の政庁です。その存在は、いわば幸福の象徴ともいえ、我がまちに、日本の歴史に残る功績を象徴する史跡があることは大いに誇るべきことです。
ところで、本年元日、能登半島において大地震が発生し、多くの方が亡くなられました。現在も多くの被災者が避難生活を余儀なくされています。翻って本市も、約6年前、大阪の歴史上初めて震度6以上を記録した大阪府北部地震で、まさに震源地として地震災害を経験しました。
これに引き続いて到来した台風第21号も史上まれにみる強大な台風であり、本市は局地激甚災害に指定されるほどの被害を受けました。
そして、令和2年に日本に上陸した新型コロナウイルスの感染拡大は猖獗を極め、想定をはるかに超える社会経済活動の停滞により、市民生活に大きな打撃を与えました。
その影響は今も続いています。さらに、世界の各地では戦争が頻発し、多くの民が苦しみ、日本においても物価高騰等の影響が国民の生活を直撃しています。
ここにおいて、この数年に我が国を襲った災いは、私達に、日常生活を何事もなく平穏に守っていくことの大切さを痛感させました。また、自然災害を始めとするこれらの災いは、私達が関知できない領域で無慈悲に起こり得るという点で、平穏な日常生活を維持継続していくことの難しさも痛感させられたのです。
言うまでもなく、平穏な日常生活の維持継続は、市民の幸福、まちの発展・成長のための大前提です。
それ故、行政の第一義的な使命は、まさにこの市民の平穏な日常生活を守ることにあります。それは、いつの世の政治・行政においても、変わらぬものであるということを改めて認識しなければなりません。
しかし、平穏な日常生活を守る仕事には華々しさはなく、注目されることもない極めて地道な営みです。その仕事の成果は、市民の平穏な暮らしが維持されることであり、市民からすれば至極当たり前のことですから、性質上、その努力と成果は市民に認識され難いものだからです。
しかし、三好長慶を始めとする先人達が示すように、また、近年の災いで私達自身が痛感したように、市民一人ひとりの平穏な日常生活の維持継続こそが最も大切なものであり、そのための仕事がたとえ市民に認識され難くとも、市民の平穏な日常生活を守るべく全力を尽くさなければなりません。そのことこそが行政の王道であり、政治の王道でもあります。
私は、このような認識の下、「大阪の高槻」から「日本の高槻」への更なる飛躍のためには、その大前提として、虚飾に奔らない地に足を付けた堅実な行政が必要不可欠であるという新たな決意を持って、引き続き、我がまち高槻を発展成長させるべく、市政に全力を尽くしてまいります。
引き続き、より一層のご理解、ご協力を賜りますようお願い申し上げ、私の施政方針の説明とさせていただきます。