能登地震3カ月
なりわい再建へ支援漏れぬよう
(1日 公明新聞「主張」より)「なりわい」とは漢字で「生業」と書くように、生活を営むために欠かせない家業や仕事を指す。突然の災害により奪われてしまった、なりわいの再建を支えることは、被災者の生活基盤を取り戻すことであり、政治に求められる重要な役割である。
能登半島地震から3カ月がたった。地震や火災、津波により事業者が受けた被害の全容は、いまだ明らかになっていない。
被災地では、住まいの確保が徐々に進む一方で、なりわいの再建はこれからだ。特に、被害が深刻な石川県の奥能登地域には、個人事業主など小規模の事業者が多い。支援の網から漏れることがないよう、政府はきめ細かな対応を尽くしてほしい。
地震に伴う大規模火災で焼失した輪島市の観光名所「輪島朝市」。先月23日に金沢市内で開かれた“出張朝市”では、全国から1万3000人が訪れる中、海産物や工芸品を売る店主らが約3カ月ぶりとなる営業再開に笑顔を見せていた。「輪島で復活する日まで頑張りたい」との声も聞かれた。
地震で被災した事業者は農林水産業をはじめ、輪島塗といった伝統産業や観光業、製造業など多岐にわたる。自宅を失い、仮設住宅や避難先で暮らしている人も少なくない。なりわいの再建に向け「早く立ち上がりたい」と思う一方で「まだ何も考えられない」という人が多いのが実情だ。
政府は被災した事業者に対し、さまざまな支援策を用意している。施設・設備の復旧を後押しする「なりわい補助金」のほか、小規模事業者や伝統産業に向けた補助金などだが、現場では浸透しきっていない。
支援策が十分に活用されるよう、政府は分かりやすい周知に努め、申請の段階から事業者に伴走して丁寧に相談に乗ってほしい。自治体独自の支援策も含め、新たなニーズに柔軟に対応していくことが重要だ。
公明党は地方議員を中心に連日、被災地を駆け回っている。「小さな声を聴く力」を事業者の希望となる支援につなげていきたい。