|| 主張 || 経験や知見、能登にも生かしたい
(9日 公明新聞より) 東日本大震災と東京電力福島第1原発事故の発生から、11日で13年を迎える。
同日、福島県が開く震災追悼復興祈念式では、県内の中学生が書いた「未来への手紙」が紹介される。
その一人、南相馬市の中学2年生、鈴木真日瑠さんは震災当時1歳半。家族の話や震災学習を通して避難生活や復興への歩みを再認識し、「忘れたい記憶も、忘れてはいけない記憶もすべて、伝えていく」と誓う。
記憶の風化が懸念される中、被災地では語り部の高齢化が進む。経験と教訓を継承していく仕組みづくりを急がねばならない。
伝承活動は自治体の伝承施設や民間団体が担っているが、維持費や活動資金の確保は見通せない。国には伝承に関する支援制度の創設に取り組んでほしい。
元日に起きた能登半島地震は、災害が時も場所も選ばないことを突き付けた。復旧と生活再建へ、3・11の経験や知見で貢献したい。
例えば、津波で膨大な震災がれきが発生した宮城県東松島市の災害ごみ対応。被災者に仮置き場に持ち込む前の分別を呼び掛け、再資源化と減容化につなげた「東松島方式」である。同県は同方式で、石川県能登町の支援をめざす。
また、被災者を伴走型で支援する災害ケースマネジメントの導入も始まっている。震災の際、仙台市が民間団体などと協働し、生活再建を支援した取り組みがモデルとなったものだ。
こうした災害対応に関する好事例を、公明党の国と地方のネットワークで共有し、防災・減災、復興を力強く推し進めたい。
一方、福島県の帰還困難区域の6町村に設定された特定復興再生拠点区域は、昨年11月末に全ての避難指示が解除された。
さらに同年、大熊町に義務教育学校「学び舎ゆめの森」が帰還し、県外から家族での転入も増えている。浪江町には福島国際研究教育機構が設立され、国内外から研究者の受け入れをめざす。移住・定住の基盤を充実させ、福島復興をリードする人材育成の環境づくりを加速させたい。
*
東日本大震災 <あきひログ