4から民間事業者も義務化
(8日 公明新聞より) 改正障害者差別解消法が今年4月に施行され、障がい者の移動や意思疎通などについて、それぞれの障がい特性や困りごとに合わせてバリア(障壁) 解消を支援する「合理的配慮」が企業や店舗などの民間事業者に義務付けられる。
改正法のポイントと求められる具体的な対応について解説する。
■共生社会の実現が目的/本人や家族からの要望受け過重負担でない範囲で対応
2016年に施行された障害者差別解消法は、国や自治体、民間事業者に対し、障がいを理由にサービスの提供を拒むといった不当な差別を禁じるとともに、負担が重すぎない範囲で障がい者の社会参加に必要な配慮を求めている。
この配慮は合理的配慮と呼ばれ、障がいの有無にかかわらず互いに尊重し合う「共生社会」の実現に資することが目的だ。
具体的には、車いす使用者が段差を乗り越える際に補助したり、難聴者との会話に筆談で応じたりといった柔軟な対応が求められる。
こうした合理的配慮は、これまで民間事業者は努力義務にとどまっていたが、改正法では国や自治体などの公的機関と同様に義務化される。
合理的配慮の提供は、障がい者本人や家族などから、バリアを取り除いてほしいといった要望を受けた際に求められる。対応する際には、当事者の障がいの特性や重さが多様で適切な配慮もそれぞれ異なるため、個別に検討することが望まれている。
内閣府は、障がいのある人と事業者ら双方が対話を重ね「共に解決策を検討していくことが重要」と呼び掛け、要望への対応が難しい場合には実現可能な代替策を見つけるよう促している。
また、対話の際に避けるべき留意点として「前例がない」「特別扱いできない」といった理由で事業者側が拒まないことを挙げている。これは合理的配慮の提供が、障がいのある人もない人も同じようにできる状況を整えるための対応であるからだ。
必要な対応について理解を深めてもらおうと、内閣府は「理解促進ポータルサイト」と「事例データベース」の二つのウェブサイトを開設している【2次元コード参照】。合理的配慮の提供に関して、前者は障がいの種別ごとの対応を確認でき、後者は行政機関などの相談窓口に寄せられた事例について、場面などの条件を指定して検索できる。
改正法や対応方法に関して、障がい者や事業者からの相談に電話やメールで対応する「つなぐ窓口」もある。内閣府が昨年10月に開設したもので、相談内容に応じて、自治体や省庁など適切な相談先を紹介し、解決に向けて双方の意見や状況を伝えて事案を取り次ぐ。
誰もが暮らしやすい共生社会の実現を一貫して推進してきた公明党は、障がい者と意見交換を重ねた上で障害者差別解消法の成立や同法改正をリード。さらに法改正に当たっては、円滑な施行に向けて障がい者と事業者双方の相談体制の充実などを政府に求めていた。
■内閣府が事例を紹介
障がい者からの申し出に対して、どんな配慮が望まれるのか。内閣府が周知する事例の一部を紹介する。
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【ケース1】
<申し出>弱視のため、店内の商品をタブレットで撮影し拡大して確認したいが、撮影は禁止されている。
<対応>視覚障がいを補うための撮影を認めることとした。
【ケース2】
<申し出>聴覚障がいがあり、病院の待合室で呼ばれても分からない。
<対応>待合室の座席まで病院スタッフが呼びに行くようにした。
【ケース3】
<申し出>手にまひがあって、申し込み書類の記入ができないので代筆してほしい。
<対応>本人の意向を十分に確認した上で、店員が代筆による記入を行った。この際、記入内容について、後で見解の相違が生じないよう他の店員が立ち会った。
■「つなぐ窓口」
電話相談
℡0120・262・701(午前10時~午後5時)
※祝日・年末年始は除く