日本の政治進めた60年に誇り
(1日 公明新聞「主張」より) 公明党結党60年となる2024年を迎えた。
公明党の議員と党員は、昨年11月15日に逝去された党創立者の池田大作創価学会名誉会長が示された「大衆とともに」との立党精神をさらに高く掲げ、新しい党の歴史建設にまい進していきたい。
この60年で日本と世界の政治状況は激変した。そして今、時代はさらなる転機に向かいつつある。
これまでも公明党は立党精神を胸に、時代の趨勢を読み誤ることなく、福祉、教育、環境、人権そして平和の分野で日本政治を前進させてきた。
これからも厳しい現実の中で生き抜く大衆とともに歩み、「小さな声を聴く力」を発揮し、人間と政治のあるべき姿を学び取っていく覚悟である。
公明党が登場した1960年代の日本政治は、「保守か革新か」だけが問われていた。社会主義か自由主義かのイデオロギーに関心が集まり、大衆のための政治は後回しだった。
革新勢力は、自身が信じるイデオロギーによって大衆を指導するという立場であり、一方の保守勢力は、未組織の大衆の声には耳を傾けようともしなかった。
そうした時代状況の中、公明党創立者が党の前身である公明政治連盟の会合で、立党の原点となる指針を示された事実を忘れてはならない。
「大衆とともに語り、大衆とともに戦い、大衆の中に死んでいく」
大衆から学び、大衆の声を代弁していく、これこそが公明党の政治姿勢そのものである。
時代が混迷の度を深めれば深めるほど「大衆とともに」の指針を、あらゆる分野の問題解決の基礎としなければならない。
一昨年2月に勃発したロシアによるウクライナ侵略。また、昨年10月のイスラム組織・ハマスによるイスラエル攻撃から始まった武力紛争は、「国際の平和と安全の維持」を目的とする国連安全保障理事会の機能不全をあらわにした。常任理事国の拒否権の応酬などを見ていると、戦地で死の恐怖におびえる人間への思いが欠落しているとしか思えない。
また、世界的に拡大する経済格差も深刻だ。同時に、気候変動への対応も待ったなしである。さらに、権威主義やポピュリズム(大衆迎合主義) によって政治の安定も各国で揺らいでいる。こうした問題の背景として「経済でも政治でも、人間不在が最大の問題」との指摘がなされている。イデオロギーや国益よりも人間の尊厳こそが第一とされる政治を実現しなければならない。
一方で日本政治を見ると、昨年末から自民党派閥の政治資金の問題で政治不信が高まっている。主権者である国民に説明できない不透明な政治資金の存在は許されない。
清潔な政治の実現は公明党の原点だ。政治資金規正法の罰則強化だけでなく、国会議員に支給される調査研究広報滞在費の改革にも取り組みたい。実効性ある改革に指導力を発揮していく決意である。