気になる! ニュース 自転車にも“青切符” 警察庁が導入を検討
(17日 公明新聞より) 道路交通法(道交法) 上、自動車やバイクの“仲間”として「軽車両」に位置付けられる自転車。
その安全な利用を促そうと、警察庁は自転車の交通違反に対し、反則金の納付を求める「交通反則通告制度(青切符)」の導入を検討している。
背景や同庁の有識者検討会で議論されている見直し案のポイントをまとめた。
■違反行為に交付、反則金警察による自転車の主な取り締まりには、刑事処分の対象となる交通切符「赤切符」と、軽微な違反に注意を促す黄色の「指導警告票(イエローカード)」の交付がある。
赤切符は悪質な違反を対象とし、検察から起訴されて有罪になると罰金が科され前科が付く。
警察官らの捜査を経て、起訴されるのは検挙件数の1~2%とわずかだ。
2015年6月から、信号無視や酒酔い運転などの危険行為を行い、3年以内に2回以上検挙された場合に、自転車運転者講習の受講が義務付けられたが、悪質な交通違反は後を絶たず、十分な抑止につながっていない。
一方、イエローカードは罰則がなく交付にとどまるため、交通違反を抑止する実効性が課題となっている。
そこで導入が検討されているのが青切符の交付制度だ。自動車やバイクなどの駐車違反といった比較的軽い交通違反には既に適用されており、反則金を納めれば、刑事罰が免除される。
自転車の法令違反は、重大な事故につながる可能性があり、各都道府県警察には、住民から取り締まりの要望が多く寄せられている。警視庁によれば、特に「信号無視」「一時不停止」「歩道通行」「右側通行」に関する違反行為が多いという。
違反抑止に向けて警察庁は今夏、自転車の取り締まりのあり方などに関する有識者検討会を発足させ、これまで4回議論を重ねてきた。来年1月下旬にも報告書を取りまとめ、法改正を視野に必要な見直しを促す見通しとなっている。
■16歳以上を対象に
検討会で示された案では、青切符の対象年齢を16歳以上としている。電動キックボードの運転が可能で、原動機付き自転車やバイクの免許を取得できる年齢のため、交通ルールについて最低限の知識があると判断したという。
想定する違反行為は、信号無視や一時不停止、右側通行(逆走) など約115種類。現在は都道府県公安委員会規則で禁止されている、携帯電話を使用しながらの運転も新たに道交法で違反行為に定めて対象とする方針だ。
警察の警告に従わなかったり、歩行者に危険を生じさせたりした場合など、悪質性と危険性の高さを判断して交付するとしている【上の図参照】。
一方、酒酔い運転や妨害運転など極めて悪質な違反行為二十数種類については、引き続き刑事処分対象の赤切符を交付する。現行は罰則規定がない自転車の酒気帯び運転についても法改正し、赤切符の対象とする方向だ。
マナー向上に向けた交通安全教育の充実については、自転車利用に運転免許が必要なく教育を受ける場が限られるため、警察が自治体や事業者などと連携し、幼児から高齢者まで各ライフステージに応じた教育を受けられるようにする方針も示された。
■増える取り締まり件数/「信号無視」が5割超
警察庁の統計によると、22年に自転車が絡んだ交通事故は6万9985件だった。過去10年間で半数近くまで減っているが、交通事故全体の件数に占める割合は23・3%に上っている【グラフ参照】。
自転車の取り締まり件数は増加傾向にあり、昨年の検挙件数は2万4549件と、10年前の約4・6倍に伸びた。違反別では「信号無視」が最多の1万2498件で5割超を占めた。
一方、昨年の自転車が関係した死亡・重傷事故は7107件起きており、その約4分の3は自転車側に法令違反が認められている。警察庁は、交通ルールが順守されていれば、悲惨な事故の防止につながった可能性を強調しており、交通ルール順守の大切さを呼び掛けている。
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自転車の安全利用 <あきひログ