総合経済対策 公明党の主張が反映
(5日 公明新聞より) 長引く物価高を乗り越えるため、政府は2日に新たな総合経済対策を決定しました。
これには、公明党が提案した“3つの還元策” や中小企業の賃上げ促進策など数多くの対策が盛り込まれています【総合経済対策のポイント参照】。
高木陽介党政務調査会長にポイントを聞きました。
■(“3つの還元策”実現)「減税+給付」で国民の可処分所得を下支え
――総合経済対策の目的は。
物価高に負けない持続的な賃上げへの取り組みを加速させ、税収増など成長の成果を国民に還元することです。これにより、家計の可処分所得を直接下支えし、デフレからの完全脱却を確かなものにしていきます。
日本は今、コロナ禍で苦しかった3年間を乗り越え、経済状況は改善しつつあります。税収も3年連続で過去最高です。今年の賃上げ率は30年ぶりの高水準となりましたが、大企業が中心で、実質賃金は物価高に追い付いていない状況です。
そこで公明党は、物価高に負けない持続的な賃上げを強力に後押しするとともに、それが実現するまでの生活防衛として“3つの還元策” など、さまざまな施策を政府に提言、総合経済対策に数多く反映されました。
――還元策の中身は。
まず、税の増収分約3・5兆円を、現役世代や中間所得層が多い納税者本人と扶養家族(約9000万人) に対し、所得税・住民税合わせて1人当たり4万円の定額減税でお返しします。次に、物価高の影響が大きい住民税非課税世帯(約1500万世帯、約2500万人) に1世帯当たり7万円を給付します。
これらの措置が十分に受けられない“はざま”の所得層(約900万人) は「丁寧に対応」して支援することになりました。家計負担が大きい、所得が低い子育て世帯への支援と合わせ、党税制調査会を中心に検討し、早期実現を政府に求めていきます。
還元策はこれだけではありません。公明党の提案により、電気・都市ガス代、ガソリン・灯油など燃油代の補助が来年4月末まで延長され、今年冬の暖房需要に備えます。また、物価高対策のための重点支援地方交付金を増額します。公明党の議員ネットワークの力を発揮し、学校給食費軽減やLPガス(プロパンガス) 代支援など地域の実情に応じた対策を進めていきます。
■(中小企業を支援) 賃上げの原資確保へ適正な価格転嫁促す
――物価高を上回る賃上げに向けた取り組みは。
雇用の7割を占める中小企業の持続的な賃上げが重要ですが、大企業との取引で原材料費・人件費などの上昇分を価格に十分転嫁できず、賃上げの原資が確保できていません。国が主導して、中小企業に不利な長年の取引慣行を見直し、価格転嫁しやすい環境を整備することが急務です。そこで公明党は、20項目の「中小企業等の賃上げ応援トータルプラン」を政府に提案。総合経済対策に数多く反映されました。
■医療・介護・障害福祉分野の賃上げも
――反映された対策は。
例えば、人件費の価格転嫁を適切に進めるための指針を年内に国が作成することになりました。税制面では、賃上げ促進税制を強化し、赤字でも賃上げを行う企業などを対象に、企業が活用しきれなかった税額控除分の繰り越しを翌年度以降も認める繰越控除制度が創設されることになりました。
深刻な人手不足の解消や賃上げの原資を生み出す生産性向上に向けては、ロボットや人工知能(AI) の導入といった設備投資に取り組む中小企業を補助金で支援します。
このほか、社会生活を支えるエッセンシャルワーカーである医療・介護・障害福祉分野の賃上げに向けた財政措置など、業種別の支援も総合経済対策に盛り込まれました。
■(「年収の壁」解消めざし) パートなど就業調整を意識せず働ける環境に
――一定額以上の収入になると社会保険料などの負担で手取りが減る「年収の壁」対策は。
パートなど短時間労働者を中心に「年収の壁」を意識して就業調整を行っている実態があります。この解消へ、公明党は4月に党内で検討チームを発足し、具体策を取りまとめ、政府に提言。これを受け、政府は「支援強化パッケージ」を9月に発表、総合経済対策にも支援策の「着実な実行」を明記しました。
――具体的には。
従業員101人以上の企業で社会保険料を納付する「106万円の壁」対策として、手取りが減らないよう収入増に取り組む企業に従業員1人当たり最大50万円を助成。配偶者の扶養から外れて社会保険料を払う「130万円の壁」では、一時的に年収130万円超の場合、連続2年まで扶養内にとどまれるようになりました。就業調整を意識せず働ける環境をめざし、支援策の周知徹底を図ります。
■子育て・教育環境充実
――子育て・教育支援の拡充も盛り込まれています。
公明党が訴える「子ども最優先社会」に向けた取り組みが明記されました。親の就労要件を問わずに専業主婦でも時間単位で保育施設が利用できる「こども誰でも通園制度(仮称)」について、本格実施を見据えたモデル事業の開始時期を、当初の2024年度から23年度中に前倒しできるよう支援します。
また、児童生徒に1人1台配るタブレットなど学習用端末が更新時期を迎えていくことから、国の支援で都道府県に基金を設け計画的に更新します。他には、乳幼児健診の公費支援対象拡大や児童生徒の不登校対策強化なども盛り込まれました。
■今後の取り組み
――総合経済対策の実行へ、公明党はどう取り組みますか。
まずは対策の裏付けとなる補正予算を速やかに編成し、早期成立、執行をめざします。国会論戦などを通じ、対策の目的や意義が国民に伝わるよう政府に丁寧な周知を求めていきます。
低所得世帯への給付を実施する自治体との連携も重要です。一刻も早く支援策が届くよう、総力を挙げて取り組みます。
年末行われる来年度の税制改正や予算編成に向けた議論の中では、物価高を上回る賃上げが実現するまで、定額減税やその他の支援を行えるよう、合意形成を図っていきます。