公明新聞 支部会のために
(11日付け 公明新聞より) 公明党は「大衆とともに」の立党精神を胸に、現場目線であらゆる政治課題と真剣に向き合っています。
ここでは、最近ニュースで話題に上る、東京電力福島第1原発にたまる処理水の海洋放出やマイナンバー関連トラブル、防衛装備品の海外移転を巡る議論について解説します。
■(原発処理水の海洋放出) 国際的な安全基準満たす/徹底して分析・情報公開
東京電力福島第1原子力発電所の敷地内にあるタンクに貯蔵されている「処理水」の海洋放出が8月24日に始まりました。
2011年の原発事故に伴い、溶け落ちた核燃料を冷やすために注入している水などが放射性物質を含む汚染水となり、今も増えています。この汚染水を、多核種除去設備「ALPS」を使って、除去が難しいトリチウム以外の放射性物質を浄化処理したのが処理水です。
政府は、処理水のトリチウム濃度を海水で薄め、安全基準を十分に満たした上で放出しています。国際原子力機関(IAEA) は政府の計画に関して、「国際的な安全基準に合致している」と結論付け、人や環境への影響は「無視できる程度」と評価。実際、処理水を放出した海域でのトリチウムの濃度は検出限界値を下回っています。
また、処理水の安全性を客観的に証明し、透明性ある情報公開を行うため、公明党が「第三者の視点」を訴えた結果、IAEAの職員が原発に常駐し、分析する体制も取られています。
しかし、海洋放出を巡っては中国が日本産水産物を全面禁輸に踏み切り、水産業の支援が喫緊の課題に。公明党は8月31日、漁業者のなりわい維持に向けた緊急決議を政府に提出し、岸田文雄首相が同日、支援策をまとめるよう関係閣僚に指示。政府は9月4日、新たな輸出先の開拓などを支援する政策パッケージを発表しました。
■(相次ぐマイナトラブル) 11月末までに総点検完了/不安払拭と再発防止急ぐ
政府はデジタル社会を築く基盤として、マイナンバーカードの普及・利用拡大を進めています。一方で、健康保険証とマイナカードを一体化した「マイナ保険証」に別人の情報が記録されていたり、障害者手帳の情報が他人のマイナンバーにひも付けられていたりするなど各地でトラブルが相次ぎ、問題となっています。
このため政府は個別データの総点検を実施。原則11月末までの完了をめざすとともに、再発防止策として、マイナンバー登録のガイドライン作成や登録事務のデジタル化などにも取り組みます。また、マイナ保険証に関しては、岸田文雄首相は記者会見などで「(来年秋の) 健康保険証の廃止は、国民の不安払拭のための措置が完了することが大前提」と述べています。
公明党は、国民目線に立った丁寧な対応が必要だとして、信頼回復に全力を挙げるよう政府に強く訴え、総点検や再発防止策を着実に実施することで、国民の不安払拭を急ぐよう求めています。
マイナ保険証を巡っては、カードを保有していない人も保険診療が受けられるように保険証の代わりとして交付する「資格確認書」について、本人の申請に関わらずプッシュ型で届けるよう国会審議などで公明党が要請。これを受け政府はプッシュ型で一律に交付する方針を示しています。
■(防衛装備品の海外移転) 紛争抑止へルール見直し/平和国家の理念を堅持
防衛装備品の海外への移転(輸出) は国際紛争の抑止や国際社会の平和と安定に寄与し、わが国にとって望ましい安全保障環境を創出する上での重要な政策手段の一つです。防衛装備品の移転については、自民、公明の与党両党で今年4月から議論を重ね、7月には会合で出された意見を記した論点整理をまとめました。
論点整理では、防衛装備品の輸出ルールを定めた「防衛装備移転三原則」について、国連憲章の順守と国際紛争の助長の回避に大きな役割を果たしている重要性を確認したとし、三原則を変えることなく、平和国家の理念を堅持していく姿勢を示しました。
自衛隊法上の武器(直接、人の殺傷や物の破壊ができる武器) の輸出については、論点整理で「救難、輸送、警戒、監視、掃海」の「5類型に該当する活動の本来業務を行うための装備には自衛隊法上の武器に当たる場合があることや、正当防衛を可能とする武器を搭載することは可能ではないかとの意見の一致があった」と明記しました。
例えば、掃海艇を輸出するにしても、掃海艇には機雷を破壊するための自衛隊法上の武器が装備されている実態を踏まえた見解です。
公明党は、平和国家としての基本理念を堅持しつつ、厳しさを増す安全保障環境にどう対処していくか真摯に議論していきます。