公明新聞 ||主張|| 一層の防災・減災進める契機に
あすは「防災の日」の淵源となった関東大震災から100年という節目に当たる。
一人一人が“地震大国”に生きていることを再確認し、一層の事前防災に取り組む契機としたい。
関東大震災はマグニチュード(M) 7・9とされる地震によって建物の倒壊や火災、津波などが起きた。
約10万5000人という死者・行方不明者数は、明治以降の自然災害で最悪の被害である。
火災による死者が9割近くを占め、住宅の全壊による死者も約1万人に上るほか、津波や土砂災害など、さまざまな要因で人的被害が発生した。
この災禍を機に、翌年には建築物の耐震基準を世界で初めて策定。
また阪神・淡路大震災や東日本大震災などの教訓から、住宅の耐震化、延焼リスクの高い密集市街地の解消、津波避難施設の整備といった対策が進められてきた。
政府は今後30年以内に、M7程度の首都直下地震が70%程度、M9級の南海トラフ巨大地震が70~80%の確率で発生すると推定している。
7月に策定した新たな国土強靱化基本計画を踏まえ、防災インフラの整備を戦略的に推進するとともに、地域防災力の強化に向けて、自治体の避難所運営への女性の参画や防災教育などを進める必要がある。
東京都は昨年、首都直下地震の新たな被害想定を公表し、被害が最も甚大な都心南部直下地震での死者を約6100人と見込んだ。住宅の耐震化や木造住宅密集地域の解消などが進み、2012年の前回想定から被害は4割程度減少した。
近年は都市部を中心に高層ビルやタワーマンションが急増し、長周期地震動の影響も懸念されている。気象庁は2月から、強い長周期地震動が予想される場合にも緊急地震速報を出す運用を始めた。高層階では特に、身の回りの安全確保に生かしたい。
対策を進めた分だけ、命が守られることを肝に銘じたい。各家庭においても、家具や本棚を適切に固定したり、備蓄品を確保するなど、平時のうちに備えておくことが大切だ。