安全で快適な道路空間の創造について
令和5年6月定例会の最終日 皆さまの声を届ける一般質問
14日(金)、高槻市議会・令和5年6月定例会の最終日。市民相談を通じて、皆さまのお声を市政に届けるため今回は「 安全で快適な道路空間の創造について」と題して一般質問を行いました。
公道と私道、道路の重要性を鑑み、私道の補助金制度等を提案(要望)、奈良市の「私道整備事業補助交付金制度」等をご紹介。
傍聴など、ライブ中継などご覧いただきました皆さま、ありがとうございました。また後日、録画中継でもご覧いただけます。
(以下、この日の質問、回答、要望内容をご紹介。正式には後日、会議録にて確認できます)
【1問目】
公明党議員団の吉田章浩です。今回は、「安全で快適な道路空間の創造について」と題して一般質問を行います。
本市の都市機能・交通機能の充実を図る幹線道路の整備実績においては、新名神高速道路の整備に伴う大阪府の高槻東道路、都市計画道路十三高槻線の整備へ。
市では、原成合線、都市計画道路南平台日吉台線のほか、萩之庄梶原線も進行中。また、富田地域での富田芝生線、富田丘町西交差点の拡幅や右折レーンの設置など。
市中心部では、安満遺跡公園周辺の幹線道路として高槻駅緑町(みどりちょう) 線の開通など。
このように、都市機能の充実を図る幹線道路は着実に進んでいるところで、「安全で快適な道路空間の創造について」の取り組みは、私たちも国とのネットワークを生かしながら取り組んでいますが、濱田市長におかれましてもリーダーシップを発揮され、市職員等が一丸となり、何度も国土交通省等に足を運びながら、高槻市の道路行政発展に向け取り組んでいただいておりますことに、まずは高く評価を致します。
ただ一方で、老朽化が進む道路や危険性が潜む道路、通学路、大型公園付近の通り抜けなど市民の方々から日々、安全・安心を願う中でのご意見、ご相談をいただき、関係する原部・原課には適切に対応していただいているところであります。
高槻市における道路は、令和4年4月1日時点で、国道13キロメートル、府道81キロメートル、高槻市道911キロメートルと、今後も新設・更新、延長される中での、幹線道路の創造や適切な維持管理とともに、生活道路として、市において管理される高槻市道と、管理されない「わたくし道(みち)」のあり方について。
市民の生活目線に立った道路とは、公道と私道(わたくしみち) を合わせた空間との認識のもとで、改めて質問と確認、そして市民の声をお届けさせていただきたいと思いますので、宜しくお願い致します。
1問目は、本市の第6次高槻市総合計画より、公道として、高槻市が目指す「安全で快適な道路空間」と「安全性の維持確保」について、そして2問目以降では、道路法(第2条第1項および第3条) による、一般交通の用に供する道、高速自動車国道、一般国道、都道府県道、市町村道以外の道路、私道(わたくしみち) についてお聞きしていきたいと思います。
以降も、道路法による高槻市の認定道路を高槻市(し) 道、管理されない道路を私道(わたくしみち) と表現させていただきますので宜しくお願い致します。
本市は第6次高槻市総合計画より、令和12年度・2030年度に向けて、安全で利便性の高い道路空間・交通環境の創造において、歩行者、自転車、車等の多様な道路利用者が共存する、安全・安心な通行空間の創出を目標とし、めざす姿としています。
その上で、現状と課題について、市内の都市機能の充実及び交通機能の強化を図るためには、交通ネットワークを形成する幹線道路の整備が必要であり、国・大阪府が事業主体となる道路においては、更なる整備促進が図られるよう取り組む必要があり、併せて、本市も都市計画道路等の整備を行い、交通環境の向上とともに多様な道路利用者が安全・快適に通行できる道路環境の整備を引き続き推進する必要があると謳われています。
また、社会経済情勢の大きな変化の中、年々、道路ストックが増加し、高齢化・老朽化をはじめ、多種多様な市民ニーズへの対応が求められ、そのため、国の長寿命化基本計画及び公共施設等総合管理計画の考え方を踏まえ、国土交通省(平成26年度・2014年度) から発出された定期点検要領に基づき、道路やその付属物の長寿命化、ライフサイクルコストの縮減等が図れるよう道路施設に関する長寿命化計画を策定し、計画的な更新・修繕を行っています。
さらに、新名神高速道路の高槻・神戸間の開通に伴い、交通が分散し、名神高速道路・中国自動車道等の渋滞が緩和され災害時のリスク分散につながり今後、八幡京田辺・高槻間の開通により、交通の利便性が更に向上すると期待をされています。
そして、自転車レーン等、安全利用に関しても、交通事故における自転車事故の割合が高いことから「自転車安全利用条例」を基本に安全意識の向上と事故の低減を図る必要性を謳われており、これら総合計画策定より2年が経過したところです。
施策の方向性として示されている、国・大阪府が事業主体となる道路については、更に整備を促進し、本市においても経済情勢を踏まえて都市計画道路などの適切な見直し、必要な幹線道路事業を行い、必要な交差点改良等を実施しながら交通の円滑化、渋滞対策、交通事故対策など、市域の道路ネットワークの強化を図るとされています。
まず1点目は、第6次高槻市総合計画からの進捗状況とその効果と評価、今後の目標や計画をお聞かせ願います。
また、維持管理については、老朽化した道路施設の安全を確保するとともに、新たな社会ニーズへの対応、更新、修繕を適宜行うとし、長寿命化、更新時期、予算の平準化、ライフサイクルコストの縮減を図るとされています。
私のところへも市民の方々から国・府・高槻市道に関する凹みや亀裂、水溜まりの解消など、数多くのご相談をいただき、その都度、道路課や管理課をはじめ関係機関の皆さまには適切に対応していただいているところで、市民の声に寄り添う姿勢に、日々感謝の思いでいます。
市のホームページにも、市が管理する道路や街路樹、カーブミラー、ガードレールなどの道路附属施設を良好な状態で管理しつつ、道路陥没や老朽化した構造物を適切に補修しています。また、新たな社会ニーズにあわせて改築や更新を行っていますと、アスファルトのひび割れや災害復旧、バリアフリーの対応、通学路安全対策への対応等、ビフォー・アフターの写真とともに紹介・案内がされているところです。
国土交通省のホームページにおいては、平成26年に社会資本整備審議会・道路分科会より提言された「道路の老朽化対策の本格実施に関する提言」に、「最後の警告-今すぐ本格的なメンテナンスに舵を切れ」では、「今後適切な投資を行い、修繕を行わなければ、近い将来大きな負担が生じる」と繰り返し警告してきたとあり、道路メンテナンスの重要性を痛切に感じた次第です。
そこで、2点目として、本市としての維持管理の考え方や取り組み状況についてお聞かせいただき1問目と致します。
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【都市創造部長】
第6次高槻市総合計画における道路整備に関するご質問にご回答いたします。
1点目の令和元年度からの道路・街路事業の進捗状況等についてですが、国道に関しては、野田交差点及び富田丘町西交差点の改良事業が完成し、国道171号の渋滞解消につながるものと大いに期待しております。
次に、府道については、高槻東道路延伸部や十三高槻線2期区間などの整備を、大阪府と連携しながら取り組んでいるところです。また、高槻市道については令和2年度末に富田芝生線、令和3年度末には高槻駅緑町線が開通するなど、市域の交通環境の改善が図られています。
また、新名神高速道路の整備については、NEXCO西日本が八幡京田辺から高槻間について、令和9年度を開通目標として整備を進められており本市においても、その整備効果を最大限に活かすため関連道路の整備促進に取り組んでおり、本計画における施策の方向性に沿った整備が着実に進められ都市計画道路の整備率は、令和4年度末で67.7%となっています。
今後についてですが、国道に関しては171号の南芥川町交差点の改良ならびに桃園町交差点から柳原交差点間の歩道拡幅及び無電柱化について国と協議しながら進めてまいります。
府道に関しては、長年の課題であった大畑町交差点以北の萩谷西五百住線について現在、大阪府が事業実施に向けて、都市計画変更等の手続きを進めており、引き続き大阪府と連携・協力しながら早期の事業着手に向け取り組んでまいります。
また、高槻市道については高槻駅前線、大手八幡線の無電柱化事業などを進めてまいります。
これら幹線道路を整備率の目標達成に向け計画的に整備することで、安全で利便性の高い道路空間・交通環境の確保を図ってまいります。
次に、2点目の道路施設の維持管理の考え方等についてですが、道路施設は橋梁などの大規模施設からカーブミラーなどの小規模施設まで、多様な設備で構成されていることから、各施設の特性に応じて、その重要性や必要性を総合的に判断しながら、適切な管理手法を選定・実施することで道路施設全体の長寿命化や予算の平準化、ライフサイクルコストの縮減が図られるよう、平成29年3月に策定した高槻市道路施設長寿命化計画に基づき、計画的・効率的な道路施設の維持管理に取組んでおります。
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【2問目】
ご答弁をいただき、高速道路や幹線道路による都市・交通機能の充実は非常に重要な取り組みであると思います。ただ、都市計画道路の整備率が令和4年度末で67.7%とのことで、今後、国道や府道、高槻市道について、これら幹線道路の計画的な整備率の目標達成と安全で利便性の高い道路空間・交通環境の確保をお願いしておきます。
また、令和5年度施政方針でも示されている通り、「道路施設長寿命化計画」に基づく、道路施設の定期点検や修繕工事を行い、適切な維持管理やライフサイクルコストの縮減を図れるようお願い致します。
本市の道路行政の発展に向けての取り組みを理解致しましたが、日常生活を支える身近な生活道路の適切な管理も市民目線からは至って重要な課題です。
さて、2問目となりますが、生活道路としての私道(わたくしみち) などについて、お伺いさせていただきます。
私道(わたくしみち) は事実上、公道と同等の使用がされているところが多くあり、通行権などの法的な取り扱いがされているものや、事実行為として、広く近隣住民に使用されているものなど多様です。
過日、生活道路が経年劣化し、やせ細る状況で雨水管など突起し、通行にも危険な状況であるとの道路補修要望のご相談をいただきました。担当課に相談すると私道(わたくしみち) と判明。いわゆる私有地であり、市としての対応は基本的には不可であるとの見解でしたが、どこまでできるかはわかりませんが、寄り添う姿勢を示していただいています。
私道(わたくしみち) については、概ね昭和50年以降は、原則、一定の基準のもとで市への寄付を求めていますが、それ以前の基準を満たしていない道路については現状、寄付したくてもできないころも多くあると思います。
所有者が、私有地として私道(わたくしみち) のメンテナンスをしていくのか、寄付により高槻市道として管理してもらうのか費用面や周辺の同意、寄付条件など、困難な事例も多くあると仄聞するところです。
また、住居等に関わることなどで、高槻市道か私道(わたくしみち) かどうかは、市役所担当課において確認はできると思いますが、一般的には、そこまで考慮されず、業者任せにされることが多いのではないでしょうか。ちなみに今回知ったことですが、市のホームページには、高槻市道路認定図の閲覧ができるコーナーの掲載があり、一般的にも簡単に、道路法による高槻市道かどうかを判別ができるようになっています。但し、道路法の適用を受けずに、市が管理している道路があることも聞いています。
2問目の1点目に、お聞きしますが、道路法の適用を受けずに市が管理している道路かどうかを確認する方法や、私道(わたくしみち) のメンテナンスは誰の責任で行うのか。
また、昨年、市民からの寄付に関する相談の件数と寄付に至った件数、また、適切な維持補修は行われてきたのか、お聞かせ願います。
さらに、法的または、事実上の公道と同等の機能を果たしている私道(わたくしみち) の管理を、所有者の負担だけで行うことは、経済的にも負担が大きいと思います。特に、事実上の通行権として使用されている私道(わたくしみち) は、個人だけの財産ではなく、誰もが自由に往来できる道路として永続的に管理されることが望ましいと思います。
しかし、私道(わたくしみち) を市に寄付して管理を引き継いでもらいたいと所有者が希望する場合でも、その要件に該当せず、個人の財産として管理を続けなければならない事例も多いと聞きます。
そこで、市が寄付を受けることは困難であるが、私道(わたくしみち) の維持補修に対して補助金等を支給することにより、インセンティブが働き、所有者が私道(わたくしみち) を主体的に維持管理することができ、ひいてはそれがバリアフリー化や災害復旧といった共生社会や防災都市の創造につなげる観点から、市民の生活道路として地域に根付いている私道(わたくしみち) の安全で快適な道路空間の創造につながらないものかとの思いに至ったところです。
2点目として、私道(わたくしみち) を市に寄付する場合の基準や条件など、改めてお聞かせいただき、また、不特定多数の市民が利用する私道(わたくしみち) の維持管理費用に対して市の支援はあるのか。
災害等で通行権が認められる私道(わたくしみち) が被害に遭った時、道路機能を回復する場合の市の支援をどのように考えるのか、それぞれ市の見解をお聞かせ願います。
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【都市創造部長】
道路に関する2 問目にご回答いたします。
1 点目の道路法の適用を受けず市が管理する道路の確認方法や寄付の相談件数等についてですが、高槻市道以外の市が管理する道路か私道の確認は、直接管理課に問い合わせいただくことで確認することができます。 寄付の相談件数等ついては 、令和4 年度においては 、寄付の事前協議は15 件 で、寄付に至ったのは7件でございます。
また、道路の維持管理については、私道の場合は土地所有者の責任において実施していただいており、寄付された道路は市が適切に維持管理を行っております。
2点目の私道を寄付する場合の条件等についてですが、その道路が 一般交通の用に供されており、道路の一端が高槻市道等の公道と接続していることや有効幅員が4 メートル以上であること等が前提条件となります。
その上で、私道を構成する土地所有者全てが無償での寄付に同意していることや、所有権以外の権利が登記されていないこと、道路部分が分筆されていることなどの登記上の条件と側溝等による排水機能の有無などの構造上条件を、現地調査や、私道の利用状況、これまでの経過等も踏まえ個別の判断を行っております。
また、本市では私道の維持管理に対する費用の支援制度はございませんが、災害発生時などにおいて、交通機能が阻害された場合は、緊急性や不特定多数の方が利用に供していることなどの利用実態に鑑み、必要に応じ 、市で適切に対応しております。
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ご答弁より、寄付に至った道路については、市が適切に維持管理を行っているとのことですが、令和4年度における寄付に至った割合は約5割、道路の有効幅員や、土地所有者全員の同意、側溝等による排水機能の有無など、簡単ではない要件にその進度の困難さを感じるところです。
今回の質問を契機に、私道(わたくしみち) に対する他市の状況、補助制度の取り組みなどを調べてみました。
多くの自治体で具体の取り組みを知ったところで、中でも特に奈良市に注目しました。ここで少し、お時間をいただきご紹介をさせていただきたいと思います。
奈良市では、令和4年度より公道以外の道路、私道(わたくしみち) の整備を促進し、個別対応する窓口「私(し) 道なんでも相談窓口」を開設されています。
バリアフリーの観点からも、市民により身近な私道(わたくしみち) の整備を見直し、車いすの方や高齢者の方も安心・安全に通行できるような私道(わたくしみち) の補修にも補助金を支給できるよう「私(し) 道整備事業補助交付金制度」の要綱を改正・運用されています。
市民の私道(わたくしみち) に関する様々なお困りごとをお聞きし、電話や対面で制度活用や改善方法についてわかりやすくご案内する私道(わたくしみち) 整備の相談窓口とのことです。
補助制度を平成29年度より開始され、要件緩和などを行い、これまでの補助対象は、自動車が通れる1.8メートル以上の私道(わたくしみち) から自動車は通れないが、車いすが通れる0.9メートル以上の私道(わたくしみち) も補助対象にされました。まちの優しさが伺えます。
また、私道(わたくしみち) に関するご相談に個別で対応し、補助制度についてもご案内されているそうで、穴ぼこや傷みがひどく、車の運転が危ない。お年寄りや車いすの住民が増えたけど道が通りにくい。雨が降ると道路が水びたしになってなど、ホームページでわかりやすく例示もされています。
また、スマホ等で通報する「道路損傷等通報システム」も令和2年度から運用されており翌年度には366件の通報より、私道(わたくしみち) は25件あり、好評を得ているとのこと。充実しているように思います。
また一方では、私道(わたくしみち) は様々なケースがあり、対応困難な事例もあったようで、補助金交付制度の要件に合わず、補助対象に至らなかった案件もあったそうでが、さらに活用しやすく、効果的な補助金交付制度を目指し、過去に複数件あったものについては、申請の門戸を広げ、補助制度の活用促進につながる内容に見直しをされたとのことでした。
他にも、私(し) 道整備原材料支給制度などのサービスもあり感心したところで、地域性の違いはあるとは思いますが、本市にも期待をしていきたいと強く思うところです。
しかし、本市では、私道(わたくしみち) の維持管理に対する費用の支援制度はないとのことでした。
さらに、他の自治体についても神戸市や京都市、横浜市など。近隣市においても豊中市や吹田市、寝屋川市なども私道(わたくしみち) の助成制度を実施されていました。
要件として、公道に面していることから、幅員の違い、不特定多数の人に利用されていること。所有者などが整備・補修することを承認し、付近住民も要望していること。袋小路の場合、5軒以上隣接していること。また、管理者が明確でないことや、地震、風水害、その他の災害によって損壊した通行不可になった私道(わたくしみち) 等の復旧など、各自治体で特徴があります。
私自身が今まで市民の方より受けたご相談、市民の声より、私道(わたくしみち) については、不特定多数が通行する広範囲な道路で舗装が傷んでいるところや、複数軒の戸数を有する袋小路の住宅では舗装されておらず雨の日には大きな水溜まりができ排水できない環境。また、戸数が少数の上、袋小路で寄付ができない道路など、大きな負担が伴うことから実行できずに放置されている状況がありました。
1問目で触れた幹線道路の充実は、市政発展に欠かせないインフラ整備であることは言うまでもありませんが、高齢化・老朽化は道路の宿命であり、今後も安全で快適で計画的な取り組みを期待するところです。そして、市民にとっての生活道路、私道(わたくしみち) も同じくらい重要な道路です。
どうか、市民が日々、生活する生活道路での課題ある声もしっかりと受け止めていただきながら、市民の主体的な取り組みを促し、支援による市民協働の取り組みなど、安全で快適な道路空間の創造につなげていくため、多くの課題があると思いますが、高槻市としての私道(わたくしみち) の補助金制度等、創設への検討を進めていただけますよう強く要望させていただき、私の一般質問を終わります。