新型コロナの「5類」移行
制限緩和でもリスクを意識 今日の公明新聞
今日の公明新聞より、新型コロナウィルス感染症が2類相当から5類に引き下げられるとの記事。どうなる?
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大型連休明けの8日から、新型コロナウイルス感染症の感染症法上の位置付けが季節性インフルエンザなどと同じ「5類」に引き下げられる。
主な変更点や生活上の注意点について、新型コロナ関連の臨床・研究に携わる忽那賢志・大阪大学大学院教授に聞いた。
――5類への移行で何が変わるか。
今までコロナは、2類相当の「新型インフルエンザ等感染症」に分類され、特別措置法と感染症法に基づいて重症者の入院措置をはじめ、陽性者の自宅療養、濃厚接触時の待機などの外出自粛が求められてきた。
5類への引き下げで、これらの制限が緩和される。
一方、医療費の公費支援が段階的に縮小され、外来診療などで自己負担が生じるようになる。
現在、自治体と保健所が担う入院の調整については原則、診療所や病院同士で行われるようにもなる。
■接種、抗ウイルス薬など奏功し、分類引き下げ
――分類の引き下げは、感染対策が奏功したからなのか。
ワクチン接種の普及によって、重症者が少しずつ減ってきたことが一番大きいと感じる。加えて、抗ウイルス薬を早期に使用して重症化を防ぐ治療が可能となったことや、現在、流行しているオミクロン株が比較的重症化しにくいことも関係しているだろう。
■(感染対策) 流行に合わせメリハリ
――今後も感染対策を続ける必要があるか。
マスク着用が個人の判断に委ねられ、着けていない人が増えているが、感染者数が増えてきたら再び着用するなど、流行に合わせたメリハリある対策が望ましい。特に流行時は気を付けたい。
手洗いなどの手指衛生といった基本的な感染対策は、コロナだけでなく他の感染症予防にも有効だ。苦にならなければ、普段から心掛けたい。
■(症状出たら) 広げないよう検査・受診
――感染を疑う症状が出た際の対処は。
無理して学校や職場などに行かないことが大切だ。5類移行で外出自粛は求められなくなるが、感染を広げない意識は欠かせない。その上で、コロナ診療は一般の医療機関に広がるため、かかりつけ医に連絡するか、市販の検査キットを使うなどして感染の有無を確かめてほしい。
陽性なら、療養の目安として発症翌日から5日間は外出を控えるよう国が推奨している。5日目も症状が続けば、軽快して24時間程度経過するまで療養の延長を勧めている。
――同居している家族が感染した場合は。
濃厚接触者としての自宅待機は求められないものの、発症リスクは依然として高い。患者とできるだけ生活を別にして、症状が出たら、すぐ検査を受けてほしい。
■(ワクチン) 高齢者ら引き続き推奨
――高齢者や基礎疾患のある人など、重症化リスクが高い人が気を付けるべき点はあるか。
発症や重症化を防ぐワクチンの効果は、比較的早く低下することが分かっている。このため、引き続き接種することが望まれる。重症化リスクが高い人たちを対象とした無料接種は8日から先行して実施される予定だ。
――他の人も接種は必要か。
重症化しにくいとされる子どもでも、大人に比べて少ないものの感染後の死亡例はある。特にワクチンの初回接種は済ませておくのが望ましい。
初回接種を済ませた12~64歳の人は年1回の接種機会が確保される予定だが、必須とされていない。流行状況を見ながら、健康管理の一環で検討していくのが良いと考える。
――今後、危険な変異株が現れる可能性は。
オミクロン株と全く異なるような変異株が現れ、世界中に広がることは今後も起こり得る。仮に重症度が高ければ、重症者や亡くなる人が増える可能性もあるため、国は評価を行った上で、指定感染症への位置付けなど直ちに必要な対応を講じるとしている。その場合、流行規模の大きな波が来る可能性もあるため、流行に応じた感染対策が引き続き大切になる。