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赤字ローカル線を考える視点

2022年8月24日

国交省・有識者検討会 先送り許されぬ危機的状況

E4F768CD-B981-4008-8D70-2E719BA348A7(今日の公明新聞より) 国土交通省の有識者検討会が先月下旬、採算が悪化したローカル鉄道の存廃やバスへの転換など、持続可能な地域モビリティのあり方について協議する場の設置を柱とする提言をまとめた。

JR西日本、東日本などが赤字路線の収支を公表し、厳しい経営状況が明るみになる中、地域住民の移動手段をどう確保していくか。

検討会の座長を務めた

■先送り許されぬ危機的状況

ローカル鉄道は、少子高齢化や沿線人口の減少、自動車の普及などで利用者が大幅に減少。さらにコロナ禍が大きな打撃となっている。

鉄道各社は、都市部などで得た利益により不採算路線の損失を補う内部補助でローカル鉄道を維持してきたが、こうした仕組みによる路線維持も難しくなりつつある。

こうした現状を踏まえ、検討会の提言は「コロナが収束しても、危機的状況が解消されるものではなく、これ以上の問題の先送りは許されない」と指摘。

「人口減少時代にふさわしい地域公共交通に再構築していくという観点から、地域モビリティの刷新に取り組んでいくべきである」と強調した。

■自治体、事業者らで協議する枠組み提案

具体的には、利用者が少なく危機的状況にあり、都道府県にまたがるなど広域調整が必要な区間について、自治体や鉄道事業者ら関係者間で運行見直しの協議に入る枠組みの創設を提案。

名称を「特定線区再構築協議会」(仮称) とし、事業者か自治体が要請して国が設置する。

JRの場合に対象となる区間は、平常時の1キロ当たりの1日平均利用者数(輸送密度) が1000人未満といった目安を設定した。

JR東海を除く5社が公表した、19年度に輸送密度が1000人未満の路線は、その後廃止された路線などを除くと全国で61路線に上る【表(上) 参照】。2000人未満となると、事業者の経営努力だけでは路線維持が困難とされている。

一方、通勤や通学の利便性も考慮し、ピークとなる1時間に隣接する駅の間で乗客が500人を上回る場合は除外する考えも提示。

また、拠点都市を相互に連絡する特急や、重要な貨物列車が走行している区間も、地域振興などの観点から対象外とした。

協議会では、地域の活性化を見据えながら、路線を存続させるか、廃止した上でバスに転換するかを含めて話し合い、最長3年以内に何らかの結論を出す。利便性や持続可能性の向上が見込まれる場合には、バスや線路跡を専用道とするバス高速輸送システム(BRT) のほか、自治体が線路などの施設を保有して事業者が運行する「上下分離方式」の活用なども選択肢となる。

さらに提言は国に対し、赤字路線の収支改善を促すため、協議会での合意を条件に、国が認可する運賃の上限を超えた値上げを認める仕組みの導入や、鉄道の利便性向上に向けた規制の見直し、追加投資への支援などを求めた。

* 

竹内健蔵・東京女子大学教授に聞く

■「存続」「廃止」を前提にせず/論点は地域に最適な交通手段

――ローカル鉄道を巡る厳しい現状をどう見ているか。

竹内健蔵教授 JRが国鉄の時代から赤字路線はあった。しかし、当時は生産年齢人口も多く、新幹線や大都市の黒字路線の収益で赤字路線を維持するというビジネスモデルが成立していたわけだが、人口も減り大都市の利用者も減少傾向にある。

そういう状況下で、コロナ禍が追い打ちをかけ、いよいよビジネスモデルが維持できなくなってきて、存続が危ぶまれる路線も出てきている。

これ以上悪化を放置すると、地方の交通、移動の足が奪われかねない。

――これまではどう対応してきたのか。

竹内 著しい利用者減や災害の影響などから、自治体と鉄道事業者が協議し、バスに転換した例もあれば、路線を維持している例もある。

しかし、自治体、事業者双方が同じテーブルについて協議することが難しい場合もあった。

自治体側の考え方は、鉄道を残すことを前提にしてしまっている側面があり、一方の事業者は、JRも民間であり、単純に公共性だけでは済まされず、収益性や経営のことを考えないといけない。

本来なら、地域の足をどのように確保するか、まちづくりや地域全体の活性化に向けて鉄道をどう使うかという視点で考えないといけないわけだが、思惑の違いが対立を招き、協議できない現場もあった。

それによって問題が先送りされてきた経緯がある。

――提言のポイントは。

竹内 提言では、事業者か自治体の要請を受けて国が協議会を設置できるとした。この議論は路線の「存続」や「廃止」を前提とせずに、双方が同じ方向を向いて問題意識、危機意識を共有し、協力し合って地域のために最適な交通手段を問い直す議論をしていこうというものである。

重要なのは、まちづくりの中で鉄道をどう位置付けるかという思想だ。地域の実情に応じて最大公約数で結論を導き出して、真摯に対応してもらいたい。

選択肢の一つとして、バスやBRTへの転換なども示しているが、一長一短がある。例えばバスは、通学需要のように一定の時間帯だけ利用客が増える地域があれば、多くの車両や運転手が必要になる。その場合は大量の乗客を輸送できる鉄道の方が適するかもしれない。

そうした意味でも、地域によって協議の結論は変わるし、各地の事例を単純に当てはめることが必ずしもそぐわないことを頭に入れておく必要がある。

■3年以内にプラン練り実行を/国は議論の後押しに努めよ

――JR区間の協議会設置について目安を示しているが。

竹内 目安として輸送密度が1000人未満と提示したが、あくまで客観的な物差しとして出したものだ。1000人を超えたから、わが地域は安心であるとか、1000人を下回ったから大変だという次元ではないことをよく理解してほしい。

輸送密度が1500人でも2000人でも赤字であり、自分たちの地域のために、より良いやり方を見いだしたいと思ったら、ぜひ協議をしてくださいというのが、われわれのメッセージだ。

協議を最長3年としたのは、先送りせずに結論を出すことを求めたからだ。先送りすれば、その間に選択肢がなくなり、人口が先細って最後は廃線以外に手段はなく、バスの代替すらできないという事態に陥ることもある。

よって、明確なプランを練って実行に移してもらいたい。

――国の果たすべき役割は。

竹内 検討会では、国の役割は何かということも大きなテーマだった。自治体と事業者の建設的な議論を促すため、国が積極的な役割を果たすよう求めているが、あくまで地域の問題であるので主体は地元になる。

国が前面に出るのではなく、両者の接着剤として議論を後押しする存在であるべきだ。協議の過程では、自治体と鉄道事業者の双方が必要なデータを開示することが重要になるが、場合によってはその点で国が支援をすることもあるだろう。

さらには、財政的支援が必要になったとしても、国には赤字部分を補てんするような支援ではなく、社会実験の手助けをするとか、経営のインセンティブ(動機付け) を刺激するとか、利用客が増大するような方策に積極的に補助する支援を望みたい。

*

たけうち・けんぞう 1958年福岡県生まれ。一橋大学大学院商学研究科博士後期単位取得満期退学。オックスフォード大学経済学部大学院修了。長岡技術科学大学工学部助教授、東京女子大学文理学部社会学科教授などを経て現職。専門は交通経済学。国土交通省交通政策審議会会長代理などを歴任。

*

本市ではJR西日本、阪急電鉄の鉄道が東西に走り多くの方々に利用されています。一方、高槻市内には、1954(昭和29)年に誕生し、近畿圏では数少ない公営バスの一つとなっている、“市バス” が高槻市民の足として、通勤・通学・暮らしを支えてきた歴史から、現在も市域に路線網を広げています。

市営バス事業者としても、サービス向上への改善の取り組みを継続的に行いながらも、現在の課題として、少子高齢化や自然災害、新型コロナ感染症の拡大等、市バス利用者の減少などによる収支の課題が挙げられています。

これから迎える時代に向け、本年の施政方針の重点施策について、「都市機能が充実し、快適に暮らせるまちに向けた取り組み」の一つとして、“持続可能な公共交通を確保するため、今後の地域公共交通の在り方を示す計画の策定に向け、最適な交通手段の検討等に引き続き取り組みます。” と示されました。

迅速な計画の策定、また一日も早い実現に期待を寄せながら、私自身も地域の「声」をお聴きしながら本年の“3月定例会” において「持続可能な公共交通について」一般質問してきました。

これからも地域と行政の接着剤になれるよう、しっかり取り組んでいきたいと思います。

*

「私の一般質問」

持続可能な公共交通について/交通部/都市創造部/市長/2022年3月25日

令和4年3月25日 持続可能な公共交通について (会議録)

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