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太陽フレア

□公明新聞 党活動 / 2022年7月30日

25年に発生がピーク/国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT) 津川卓也宇宙環境研究室長に聞く

208FF080-0F2A-49E0-98A3-95DB5D128EF3(今日の公明新聞より) 太陽の表面で起きる爆発現象「太陽フレア」。

その規模によっては、遠く離れた地球の情報通信や送電網などの社会インフラに深刻な影響をもたらすという。

太陽フレアが活発化する次のピークの2025年に向けて、国も対策に乗り出した。

日夜、観測を行っている国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT) の津川卓也・宇宙環境研究室長に話を聞いた。

■(どんな現象か) 黒点近くで起きる爆発/電磁波や高温ガスが地球上空に

――太陽フレアとは。

津川卓也室長 太陽の「黒点」と呼ばれる場所の近くで起きている爆発現象のことだ。決して異常なものではなく、太陽の自然な現象であり、小さな規模のものは頻繁に発生している。

警戒が必要なのは、地球に影響が及ぶような大規模なものだ。太陽フレアは約11年の周期で活発化する傾向にある。次のピークは2025年ごろで、徐々に大きな爆発が起きやすくなっている。注意深く監視する必要がある。

――何が起きるのか。

津川 電磁波などのエネルギーが吹き出され、三段階のステップで1億5000万キロ離れた地球に到達し、影響を及ぼす【図参照】。

まず、太陽フレア発生後8分ほどでX線や紫外線などの電磁波が地球上空に到達する。これらは、地球の大気のバリアで地上での人体に大きな影響が出ることはないが、地球上空の電気を帯びた大気(電離圏) を乱し、上空を飛び交う無線通信に障害を起こしたり、地図アプリに使われるGSP(全地球測位システム) などの衛星測位に誤差を生じさせたりすることがある。

次に、同30分から3日ほどで高エネルギーの粒子が地球上空に到達する。これは、宇宙飛行士の被ばくや、人工衛星の故障などにつながる。

そして同2~3日で、コロナガスと呼ばれる太陽の電気を帯びた高温のガスが地球上空に飛んでくる。これによって地球の磁場、地磁気が大きく乱れ、南極や北極周辺のオーロラが活発になるほか、地上の送電設備に電流が流れて障害を起こすことがある。

■(懸念される影響)無線通信や送電網に支障/9時間に及ぶ大規模停電の事例も

――過去に被害は出ているのか。

津川 2017年9月に太陽フレアの大きさを表す規模で最大レベルのX9・3の太陽フレアが起きた際には、米国など北米の広い範囲で大規模な電波障害が発生した。

カリブ海では同時期に大型ハリケーンの被害を受けており、災害救助に当たる米国当局の無線通信が途絶し、救助活動に支障が出た。

また、1989年には、大規模な太陽フレアの発生後、カナダでおよそ9時間に及ぶ大停電が起き、600万人が影響を受けた。

地球を取り巻く「地磁気」と呼ばれる磁場に乱れが生じたことで地上の送電線に強い電流が流れ、変電所などの設備が故障したためだ。

――同様の被害は日本でも起こり得るか。

津川 大規模停電のような被害は、コロナガスによって活発化する地磁気の乱れが主な原因であり、高緯度に比べて中緯度の日本ではあまり影響がないと言われていたが、100年に1度の頻度で起きるような巨大な太陽フレアが発生すれば、日本も安全とは言い切れない。

実際、観測史上最大規模の太陽フレアが起きた1859年には、日本を含む世界各地でオーロラが見られるなど、地磁気の大きな乱れがあった。

これだけ大きな規模の太陽フレアが、いつ起こるのかを事前に予測することは難しい。しかし、大規模地震と同じように、いつ起きてもおかしくないという心構えで備えていくことが重要だ。

■(必要な対策は)宇宙天気予報でリスク回避/観測を基に「注意報」など発信

――必要な対策は。

津川 気象情報を防災に活用する取り組みと同じように、「宇宙天気予報」によって、太陽フレアによる社会インフラへの影響を事前に回避、あるいは低減する仕組みが必要になる。

例えば、太陽からの電磁波やコロナガスの影響で電離圏が大きく乱れ、衛星測位に誤差が生じやすいような宇宙天気の時には、企業に対して「注意報」や「警報」を発信し、「きょうは宇宙天気が荒れるから、GPSに依存する精密な作業は控えよう」といった判断につなげるイメージだ。

航空や電力、放送・通信など、関連する全ての事業者にとって活用しやすい有益な情報の発信に努めていきたい。

――一般の人にとっては、どうなのか。

津川 太陽フレアによって有害な電磁波などが放出されても地上にいれば人体に影響はないものの、私たちの生活を支える社会インフラに多大な影響を及ぼす可能性が十分にあるということを、まずは知ってほしい。過度に恐れず、正しく理解することが重要だ。

今や多くの人の日常生活に欠かせない存在になったスマートフォンも、大規模な太陽フレアによって通信障害やGPSの誤差の増大が起こる可能性もあるので、それを想定して代替的な連絡手段などを考えておくと良い。

ただし、今月2日に発生したような一つの事業者の大規模通信障害は太陽フレアとは無関係だ。一つの事業者だけがその影響を受けることは考えにくい。

つがわ・たくや 博士(理学)。1976年北海道生まれ。京都大学大学院博士課程修了後、名古屋大学、マサチューセッツ工科大学を経て、2007NICT入所。21年より宇宙環境研究室長として、宇宙天気予報に関する研究開発・業務に従事。

太陽フレアどう備える? 総務省の検討会が“最悪シナリオ”想定し提言

太陽フレアへの対策を議論する総務省の検討会は6月21日、100年に1度の“大荒れ”の宇宙天気が起こり得るとの認識の下、「最悪シナリオ」の想定と対応策を盛り込んだ報告書をまとめた。

報告書では、100年に1回程度の頻度で発生する大規模な太陽フレアが起きた際に、▽通信・放送が2週間、断続的に途絶する▽衛星測位の精度に最大数十メートルの誤差が生じる▽航空機や船舶は世界的に運航見合わせとなる▽広域停電が発生――などの被害を想定。

その上で、国家レベルでの危機管理に向け、太陽フレアなどによる被害を災害対策法制の中に組み込み、国全体でリスクに対応していく必要があると提言。社会インフラへの被害を考慮した新たな予報・警報基準の導入なども訴えている。

1億5000万キロ離れたところから・・・28F7E833-6496-49C4-85E8-392DDC73CC7C