物価高から暮らし守る
8日(日)、公明新聞より、政府は4月26日、原油高騰対策と生活困窮者支援などを柱とする「総合緊急対策」を決定しました。
6・2兆円の国費に民間資金も合わせた事業規模は13・2兆円。
公明党は3月17日に「緊急対策本部」を設置し、全国で総点検運動を展開。
議員ネットワークの力で4300超の家計・企業の声を集約し、政府に2回の緊急提言を行いました。
同提言が数多く反映された緊急対策のポイントを解説します。
■(燃油)価格抑制へ補助金を拡充/上限35円、当面9月末まで
原油高騰対策では、ガソリンなど燃油価格を抑えるため、現在、石油元売り会社に支給している補助金を拡充。
1リットル当たりの上限を25円から35円に引き上げ、ガソリンの全国平均価格の抑制目標を172円から168円に下げます。
補助金の支給は当面、9月末まで延長。補助上限の35円を超える部分については、半額を上乗せして支援する制度を設けます。補助対象はガソリン、灯油、軽油、重油の4油種に加え、航空機燃料を追加しました。
実際の燃油価格が下がることで、車を運転する人だけでなく、バスなど公共交通を利用する人の負担増の抑制にもつながります。
また、農林水産業など原油価格高騰の影響が大きい業種への支援を推進。燃油価格が上昇した場合に補塡金を交付するとともに、負担軽減に向けて省エネルギー機器の導入なども後押しします。
■(生活困窮者)子ども1人5万円を給付/自治体独自の事業後押し
物価高の影響を強く受ける生活困窮者への支援として、低所得の子育て世帯を対象に子ども1人当たり5万円を支給します。
給付金の対象は、児童扶養手当を受給するひとり親世帯と、住民税非課税の子育て世帯(それぞれ直近で収入が減少した世帯も含む)で、6月から順次給付される見通しです。
一方、現金給付だけでなく、地域の実情に応じて、きめ細かい支援ができるよう、自治体が独自に活用できる地方創生臨時交付金を拡充し、1兆円の枠を新設。学校給食費や公共料金の負担軽減、農林水産業者や運輸・交通分野などの中小企業の支援といった取り組みを後押しします。
このほか「ひとり親家庭等の子どもの食事等支援事業」を、学用品や生活必需品も提供できるよう拡充。緊急小口資金の特例貸し付けなどは申請期限を8月末まで延長します。
■中小企業の資金繰り支援を強化
ウクライナ情勢や原油価格上昇などの影響を受けている中小企業については、資金繰り支援として、「セーフティネット貸付」の金利引き下げ幅を拡大。経営が悪化した企業向けに政府系金融機関が提供する実質無利子・無担保融資と危機対応融資の期限を9月末まで延長します。
■補正予算で不測の事態に万全の備え
財源については、2022年度予算の予備費を充てるほか、公明党が強く訴えた補正予算を編成し、今国会での成立に全力を挙げます。
夏の参院選前後の政治空白の期間中、ウクライナ危機に伴う一層の物価高騰や、新型コロナの再拡大、激甚化する自然災害など不測の事態への備えに万全を期し、機敏に対応するためです。
■先を見据え迅速に手打つ/慶応義塾大学 保田隆明教授
今必要な対策として評価できます。目下、スピード感を持って経済対策を講じなければならないのは明らかです。
昨年から続く物価高騰に、ロシアによるウクライナ侵略の影響が拍車を掛け、さらに円安が進み輸入品価格を一層押し上げています。これへの“火消し”として今回の経済対策は重要です。一方、その後につながる中長期的なコロナ禍からの成長戦略も考えていかなければなりません。
経済対策を講じた今回のタイミングは良いと思います。日本はまだ物価の値上がりの角度が欧米に比べて緩やかです。先を見据え、迅速に手を打とうとしています。消費者の生活を守ろうという気概みたいなものを強く感じます。
今、最も求められる経済対策は賃上げです。これだけ経済がグローバル化した中では、一国だけで物価を押し下げるのは不可能です。物価に対する耐性を付けるしかなく、そのためにも国内の賃金を上げるしかありません。
この30年間、諸外国に比べて日本の実質賃金は伸び悩んでいます。国際的に見た場合の日本人の購買力は低くなってしまっているのが現状です。企業努力を促進することはもちろんですが、国の支援も必要です。
日本の場合、賃上げに向けて経済成長をさせようと思うと、海外からヒト・モノ・カネを引っ張るしかありません。コロナで鎖国状態になっている今、経済成長は“棚上げ”されています。
個人的には、ウィズコロナとして、外国人観光客の誘致や、金融都市構想など、ヒト・モノ・カネを海外から引っ張ってくる従前の成長戦略の実行体制を速やかに取り戻した方が良いと考えます。
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ロシアのウクライナ侵略及び急激な円安に伴う原油や食料品などの物価高騰を受けての緊急要望(書)/2022年4月26日 <あきひログ