公明新聞「主張」 年齢制限の撤廃で自立を支える
厚生労働省によると、児童養護施設などで暮らす若者らは、2021年3月時点で4万2000人余りに上る。
大半が高校卒業とともに施設や里親の元を離れ、独立することを求められる。
こうした若者は「ケアリーバー」と呼ばれる。社会的養護(ケア)から離れた人(リーバー)という意味だ。
そのケアリーバーが自立に向けた支援を継続して受けられる方向になった。
今国会に提出されている児童福祉法改正案には、支援の対象となる年齢の制限を撤廃することが盛り込まれている。
原則18歳、最長でも22歳までだった施設などでの支援について、本人の意向を踏まえ、都道府県などが自立可能かどうか判断し、継続できるようにする。
公明党が昨年5月に政府に行った提言を反映したものだ。
年齢制限によって支援を受けられなくなり、孤立や困窮に追い込まれるケースが問題になっているだけに、法改正の意義は大きい。
厚労省は昨年、ケアリーバーに関する初の実態調査の結果を公表した。
23%が収入より支出が多いと回答し、施設職員や里親家庭との直接の交流が「1年に1回もない」との答えは3割を超えた。
せっかく進学しても経済的な理由で退学を余儀なくされたり、保証人がいないため住宅の賃貸契約ができないといった事例もあるという。
ただでさえケアリーバーは、社会とのつながりを上手に構築できない人が少なくないとされる。さらに、施設出身者に対する社会の偏見や差別もある。しっかり自立できるまで切れ目なく支援していくことが重要だ。
今回の改正案には、年齢制限の撤廃だけでなく支援策の強化も盛り込まれている。中でも注目されるのが、ケアリーバーのための自立支援拠点事業だ。
情報提供や相談を担う専門職を増員するとともに、就労支援や困窮者向け給付金などの利用を促すための連絡拠点を都道府県ごとに設置する。ケアリーバー間の相互交流の機会も増やす。
さまざま困難を抱えながら、独り立ちしようとする若者を支えるため、改正案の早期成立を期したい。