これからの危機管理について
6月定例会の最終日20番目
25日(金)、「これからの危機管理について」一般質問をいたしました。原稿をもとに質問と答弁を紹介させていただきます。長文になりますがどうかご容赦願います。
後日、会議録として市議会ホームページに掲載されます。
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〔1問目〕
公明党議員団の吉田章浩でございます。
通告により「これからの危機管理について」を一般質問させていただきます。2021年度3月、施政方針として発表されました、濱田市長直轄の危機管理室が、その必要性、重要性から今年度、発足いたしまた。
今回の質問として「庁内体制について」、「防災、減災対策の課題整理について」、「取り組みへの期待と課題について」、「全庁的な危機管理、リスク管理について」、それぞれ、これからの市民の安全・安心の構築に向けて期待を込めながらお聞きしていきたいと思います。
一般質問の通告をした日は、奇しくも、6月18日で大阪府北部地震発災より3年目を迎えた日でありました。
改めて、尊い命を亡くされた方々に哀悼の意を表するとともに、被災された方々、今も復興に至っていない皆さまにお見舞いを申し上げます。3年前の教訓を私たちは忘れない、決して風化させてはいけないと痛感しています。
この3年間、地震や風水害等より、本市の防災・減災について、私たちは多くの取り組みを行なってきました。公助としての公共施設の耐震化をはじめ、民間への耐震化施策、ブロック塀の撤去等々、また、共助への防災訓練、防災セミナー、市民への情報提供のあり方など。
これらの経験より危機管理の重要性、自助・共助の意識向上が図られてきたものと感じています。
自然災害は、全国的にも地震や台風、豪雨による土砂災害、河川の氾濫による洪水の被害等々、自然の脅威を感じるところです。
災害発生時には、市民の生命と財産を守るべく、市議会としても市と呼応するため、多くの議論を重ね、先例集に「高槻市議会災害時等初動及び平常時等における行動マニュアル」として、地震・風水害対策の行動編及び感染症対策の行動編の構成で追記することができました。また、防災研修会や防災訓練も積極的に実施されているところです。
また、先の一般質問でもありましたが、現在は、新型コロナウィルス感染症の収束を目指し、「密閉・密集・密接を避ける」「人と人との距離の確保」「マスクの着用」「手洗いなどの手指衛生」などの感染対策を行いながら、国が発出した、3回に渡る緊急事態宣言を経験してきました。
蔓延防止等重点措置へ移行され、厳しい状況は続きますが、皆さんとともに乗り越えていきたいと思います。この取り組みにも危機管理の重要性を感じています。
今日までの様々な防災、減災対策の取り組みに評価をしながら、今年度、機構改革された市長直轄の危機管理室としての本格的なスタート、縦割りでない、組織横断的な機構改革に大きな評価と期待を寄せているところです。
本年3月定例会での公明党会派の代表質問より、危機管理部門を市長直轄とし、安全安心に関する施策のさらなる充実、危機事象に対する迅速かつ的確な対応を図るとの姿勢に期待を寄せながら、今まで、業務が災害時、非常時だけではなく、日常も相当な業務量になってきている体制の強化は必至で、機構改革によって課題の解消をどう考えていくのか等、質問をされました。
市長からは、毎年、全国各地で発生する地震や豪雨による自然災害、新型コロナウィルスの感染拡大などの危機事象の発生状況に鑑み、事前に取り組むべき施策の更なる推進を図るため、全庁一丸となった体制の強化が必要であり、有事の際には、速やかに的確な判断と対応が求められるため、日頃から、組織横断的な施策の研究や立案に取り組み、知識の蓄積や対応力の向上を図るなど、職員の能力向上が必要であるとのご答弁をいただきました。
また、今年度の機構改革では、危機管理室を総務部から独立させ、市長直轄の危機管理に特化した専門部局として発足されたところです。
危機管理室では、自然災害をはじめとする危機事象に対して、より迅速で的確に対応できる組織機構とし、トップマネジメントの充実を図っていくとのこと。機構体制では他部の職員を兼務・併任させ、安全で安心に暮らすことができるまちの実現を目指すとされました。
【質問①】
4月に発足したところですが、この約2か月間の取り組みや、これからの危機管理について、改めての質問になりますが1問目、お尋ねいたします。
まず、危機管理室としての役割や目標。また、事務分掌の内容、庁内体制と庁内連携、役割分担のあり方をお聞かせ願います。
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〔1問目答弁〕
本市においては、大阪府北部地震を始めとするこれまでの災害の経験を踏まえ、国土強靭化地域計画や地域防災計画、業務継続計画等の防災諸計画の策定や見直しなどに取り組んでまいりました。
これらの計画を着実に実行するとともに、南海トラフ地震の発生が切迫していることや台風の大型化等に伴い激甚化している災害の発生状況を踏まえ、危機管理室を中心に、組織横断的な体制の下で施策を進めていく必要があり、この4月の機構改革において、危機管理室を市長直轄組織とするとともに、危機管理室の兼務併任職員として、各部の部長代理級職員12名を防災対策官として位置付け、新たな組織体制を構築したところです。
防災対策官については、市の危機管理全般を所管する危機管理室職員としての役割を担うと同時に、各部の防災政策を推進する役割を担っております。
次に、危機管理室の事務についてですが、平時においては、「防災、防犯その他危機管理の統括に関すること」及び「防災に係る計画の推進に関すること」と定めており、また、災害時においては、災害対策本部を立ち上げるなどの災害対応の中心的な役割を担っております。
今後の防災施策の立案や実施に向けては、全庁的に取り組む必要があることから、4月以降、危機管理室内に防災対策官会議を設置し毎回開催することにより、組織横断的な防災課題を共有するとともに、課題解決に向けた検討を進めるなど、市全体としての危機管理能力のレベルアップと防災施策の充実に向けた取組を進めているところでございます。
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〔2問目〕
ご答弁をいただき、現危機管理室の体制と役割がよくわかりました。市全体としての危機管理能力のレベルアップと防災施策の充実に向けた取り組みについて期待をしています。
公明党議員団としても、今日まで防災、減災対策に関する多くの取り組み、要望を重ねてきました。
最近では、水防法が改正されたことによるハザードマップの見直し、全戸配布での周知、避難所の見直しをはじめ、避難所看板の変更による防災情報を確認できるQRコードの付加、スマートフォンでQRコードを読み取ることによりアクセスできる防災ポータルサイト「高槻防災」など、市民が求めるドアトゥドアの情報のあり方に、少しでも近づいていると評価したいと思います。
先日、3年目を迎えた「大阪府北部地震」、2018年6月18日7時58分発災、震度6弱の直下型地震が発災、被害状況は死者2人、負傷者40人、全壊11件、半壊247件、一部損壊22,515件、ブロック塀の倒壊等。
また、風水害による被害では集中豪雨や甚大な被害をもたらした台風21号など、未だ復興できていないところもある現状で、これからの危機管理体制が重要です。
2問目は、市長直轄の危機管理室として、事前に取り組むべき施策の更なる推進と、有事の際には、速やかに的確な判断と対応について質問していきたいと思います。
まず、「事前に取り組むべき施策の更なる推進として」、1問目で、ご答弁をいただきました「国土強靭化地域計画」や「地域防災計画」についてなど、お聞きします。
令和3年度の施政方針で市長が示された「まちづくりの3本柱の推進」の一つに、 「強靱なまちづくり」があります。「国土強靱化地域計画」に基づく、事前防災・減災に資する取組を推進する重要なテーマであります。
国は2021年から「防災、減災、国土強靭化のための5カ年加速化対策」を進めています。その趣旨は、近年、気候変動の影響により気象災害は激甚化、頻発化し、また南海トラフ大地震をはじめ大規模地震の発生も切迫している状況。
高度成長期以降に集中的に整備されたインフラが今後一斉に老朽化することから、維持管理、更新を着実に実施する必要があるが、未だ予防保全型のメンテナンスサイクルは確立できておらず、適切に対応しなければ、わが国の行政、社会経済システムが機能不全に陥る懸念があると言われています。
本市も今年2月に「高槻市国土強靭化地域計画」として修正されたところで、基本目標として、国の基本計画を踏まえて、1.人命の保護が最大限図られること、2.市及び社会の重要な機能が致命的な障害を受けずに維持されること、3.市民の財産及び公共施設に係る被害の最小化、4.迅速な復旧復興などとされています。
この目標に対して、公助の取り組みを中心とした具体的な取り組みが示され、また、本市が進める計画には、大阪府北部地震を踏まえ、修正された地域防災計画があります。
地域防災計画では、公助として災害が発生した場合に備えた業務継続計画や受援計画などの位置付けに加え、自助・共助の促進についても位置付けられています。
これらのことから、「高槻市国土強靭化地域計画」での公助の取り組みに加え、地域防災計画に位置付けられている自助・共助を推進するとともに同時に進めなければならないとされています。
次に、「有事の際には、速やかに的確な判断と対応について」感じることは、特に、「新型コロナウィルス感染症対策」について、何人かの議員からもご質問をされました。
我が会派の五十嵐議員から詳細にありましたので、多くは触れませんが、国、府、及び市独自の支援策に一定の評価をしながら、コロナワクチンの対応についても、当初は、ワクチン供給量が少なかったことから、希望される高齢者の方々に対して受付での混乱もありましたが、市民の声や、公明党議員団として要望する支援策や、円滑なワクチン接種に向けて6回に渡り「緊急要望」を行い、これに対して日々、改善をしていただき、市長はじめ、職員の皆さまにも頑張っていただいております。
特に、医師会等の関係者の皆さまの、ご協力には感謝の思いです。
高齢者接種の7月末完了、64歳以下の皆さんへの接種の11月末完了を目指し、今後も、課題解消を図りながら、どうかよろしくお願い申し上げる次第です。これからが正念場だと思います。
64歳以下の方は高齢者に倍する対象者で、接種に関しては、混乱なく円滑に、安全で迅速に進めていただけるようお願いをしておきます。また、副反応等への対応も適切にお願いいたします。
【質問②】
さて、2問目の1点目は、事前に取り組む施策として、「高槻市国土強靭化地域計画」の計画策定の目的の中に、災害予防、災害応急及び災害復旧対策に関し、関係機関が処理すべき事務または大綱を定め、「高槻市地域防災計画」を策定し、防災活動の総合的かつ効果的な実施を図るとしている考え方について
2点目に、大阪府北部地震での総括、特に市民への意識啓発や具体の取り組みについて、3点目に1点目、2点目の質問について、今後の課題と組織横断的な危機管理室の課題について、それぞれお聞かせ願います。
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〔2問目答弁〕
まず、1点目についてですが、高槻市国土強靭化地域計画は、「致命的な被害を負わない強さ」と「速やかに回復するしなやかさ」を持った「強靭な地域」をつくりあげることを目的としており、本市を強靭な都市とするため、主に公助を中心に、平時からの取組を幅広く位置付けた、都市づくりの方向性を示すものです。
一方、地域防災計画については、災害予防対策も含めておりますが、主に発災後の組織体制や関係機関との役割分担、地域防災力の向上などの自助共助の取組を含めた対応策をとりまとめたものです。
2点目の大阪府北部地震の総括についてですが、被災以前も地域防災計画の策定を始め、各種マニュアルの整備や防災関係機関との連携、市民への啓発や防災訓練の実施など、災害に対する備えを実施してきたものの、大規模には至らない災害への対応など、想定していなかった課題や検討するべき対策が浮き彫りになりました。
被災以降、避難所運営マニュアルの策定を全地区で取り組むなど、市民や地域との連携調整に係る課題を始めとする各種課題の解決に取り組んでおります。また、地域防災計画や業務継続計画等の見直しを進め、速やかな災害対応が図れるよう、計画の充実にも取り組んでいるところです。
3点目についてですが、災害の被害を最小限に抑えるためには、自助・共助・公助それぞれの対応力を高めることが必要です。まず、公助の取組として、発災時において円滑な災害対応を図るためには、平常時の行政機構において、事前の備えをいかに充実させるかが重要であると考えています。
また、南海トラフ地震の発生が切迫していることや激甚化する風水害に備え、高槻市地域防災計画と高槻市国土強靭化地域計画を本市の防災政策の主軸に据えて、両計画を適切に組み合わせながら、事前に取り組むべき施策をさらに推進する必要があります。
さらに、自助共助の取り組みとしては、生活必需品の備蓄や避難所場所の確認など市民自らの意識の高揚に加え、自主防災組織を中心に関係団体との連携を図り、コミュニティ防災への展開につなげるなど、地域の支援をさらに強化し、地域防災力の向上に取り組むことで、市民等と一体となった取組を進めていく必要があります。そのためには、地域において積極的に防災活動に取り組む団体を統括する組織の必要性も認識しております。
これらを実現するため、防災対策官会議を通じて防災意識を共有するなど、平時から全庁的なリスク管理を充実することで、有事の際には迅速な災害対応体制への移行を可能とするとともに、職員の危機管理能力を始め的確な判断力と対応力を向上させ、本市の危機管理体制のさらなる強化を図り、災害に強い強靭なまちづくりを推進して参ります。
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〔3問目〕
ご答弁をいただき、本市の国土強靭化地域計画では、本市を強靭な都市とするため、平時からの取り組みを幅広く位置付けたこと。また、地域防災力の向上などの対応策を取りまとめられたこと。
大阪府北部地震の総括では、大規模に至らない災害への対応などを想定していなかった課題や検討すべき対象が明確になったことなど。
今後の課題については、被害を最小限に抑えるための、自助・共助・公助の対応力の向上、平時の事前の準備と計画のさらなる推進、備蓄、避難所、自主防災組織等の連携、市民と一体にとなった取り組みを挙げられ、こちらも着実に進めていただけるように期待をしています。
最後3問目は意見と要望といたします。
ここまで、市長直轄の危機管理室としての「これからの危機管理」としての取り組みに、重要性と期待を込めながら質問してまいりました。
横断的な組織体制において、市長のもと危機管理監を中心に、それぞれの防災対策官の皆さんが使命感を持って、市民の安全と安心を築いていただきたい。ともに築いてまいりたいと思っています。
特に、今後の計画策定が重要である「国土強靭化地域計画」についてお聞きしてきました。改めて、これからの危機管理について、原点である「自助・共助・公助」の大切さを感じる次第です。
その上で、公助には限りがあることから、これからの自助・共助の取り組みを地域との連携をしっかり図っていただくことをお願いしておきます。
当初の市長のご発言にもあり、今回、危機管理監からも「防災諸計画を着実に推進するためには、危機管理室中心に、全庁一丸となった体制のもとで、各種施策を進めていく必要がある」とご答弁いただきました。
私は、危機管理として事前に取り組むべき施策、また、有事の際には、速やかで的確な判断と対応として、自然災害への対応も勿論、重要な課題でありますが、本市全体の危機管理は幅が広く、安全・安心へのまちづくりも見過ごせないことだと思っています。そして、全庁が一丸となって取り組んでいただいているものと感じています。
1問目のご答弁では、防災対策官については、市の危機管理全般を所管する危機管理職員としての役割を担うと同時に、各部の防災施策を推進する役割を担っているとありました。
改めて危機管理について考えてみますと、一般的に事業の目標達成や事業継続を脅かすような危機が発生した際に、その影響を最小限にとどめると共に、危機的状況からいち早く脱出し、正常状態への回復を図るための管理活動、ここで言う、有事の際の速やかで的確な判断と対応が大切なことです。
一方、近い将来から遠い将来まで、これから発生するかもしれないリスクを洗い出し、整理し、それらのリスクを回避するための管理活動を、事前に取り組むべき施策とし強力に進めていただけるようお願いいたします。
ここから少し、安全・安心なまちづくりと全庁的な幅広い観点から、「これからの危機管理について」考えてみますと、私が思うリスク管理、事前に取り組むべき施策では、例えば、出水期に入り、台風の影響による河川や土砂等の点検、避難所の整備、ハザードマップでの危険個所確認など。
また、熱中症対策についても、以前、駅前にドライ型ミストを設置していただきましたが、今夏に向けても消防救急体制の取り組み、整備が重要です。
水道事業でも、一部浄水場等での水道水の市民への開放や、給水車の整備など、災害に向けての取り組みができています。
水分補給の大切さから今後、移動式の給水スポットやマイボトルに給水できるウォータークーラーなど公共施設に設置することも大事な取り組みになってくるものと考えています。
さらに、市営バスも除菌対策など、新型コロナ感染拡大の対策などが行われています。今後も継続してお願いしたいと思います。また、交通安全対策や防犯活動も大切な取り組みです。
まだまだ、他にもたくさんありますが、どうか「備えあれば憂いなし」をどこまでも目指していただきたいと思います。
また、危機管理としての、有事の際の速やかな対応においては、特に消防活動など、市民の生命と財産を守る取り組みを日々、行っていただいております。引き続きよろしくお願いいたします。
教育現場においては、児童生徒の教育向上に取り組みながら、いじめや不登校問題、学校生活ガイドラインに基づいた感染症対策、さらに2月にありました、小学生が体育の授業中に亡くなられたことなど、心より、ご冥福をお祈り申し上げます。経緯はお聞きしましたが、結論はまだ出ていません。ご遺族に寄り添いながら、今後もしっかりと再発防止を含め対応に当たっていただきたいとお願いするものです。
「これからの危機管理」として、危機管理室としての役割、それぞれの現場での役割、行政全体としての役割、全庁一丸となって、市役所は市民の役にたつ所としての日常と並行して、危機に直面しないような事前の対策、直面した時の適切な対応などよろしくお願いしたいと思います。
最後に改めて、市長直轄の危機管理室として、事前の取り組み「国土強靭化地域計画等」を着実に進めながら、全庁的に本市の危機管理事象の様々な課題に対して、どこまでも安全・安心が構築できることを目指して、取り組んでいただけますことをお願いして一般質問を終わります。
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このほか、3日目(24日)の本会議では、議員提出議案として「高槻市議会会議規則中一部改正について」を議会運営委員会の総意より、委員長として提案し採決の結果、可決されました。
6月定例会は25日、閉会となりました。令和3年6月高槻市議会定例会の閉会に当たって、濱田市長が本会議場で述べた内容