「保育事業について」一般質問
令和2年9月定例会「待機児童解消対策としての保育士確保への取組等」
令和2年9月定例会での一般質問は「保育事業について」、申告により13番目、18日(金)2日目の4番目に登壇させていただき、下記の通り質問と意見、要望を行いました。
またこの日、17日間の定例会は閉会となりました。令和2年9月定例会閉会に当たってのあいさつ <市ホームページ
(1問目)
公明党議員団の吉田章浩です。私からは「保育事業について」、待機児童解消対策としての保育士確保への取り組み等について一般質問をいたします。
保育事業の環境は、公明党の主張により、“幼児教育の無償化“として、幼稚園・保育所は、昨年10月からすべての3〜5歳児と、住民税非課税世帯の0〜2歳児の利用料が無料となり、間もなく一年になろうとしています。
全国300万人以上が対象となる幼児教育の無償化は、日本の教育政策の歴史的転換点ともいうべき大改革です。
それは子育て支援であるとともに、これから子どもを持ちたいと考えている人たちにも希望を与えるものと確信しております。
事業開始後、私たちは約2万人の利用者にアンケート調査を実施、幼保無償化の評価を尋ねたところ、「評価する」、「やや評価する」と約9割の方が回答されました。
このほか、利用者に「今後取り組んでほしい政策」を聞いたところ、「保育の質の向上」、「0~2歳児の無償化拡大」、「待機児童対策」などが続きました。
アンケートの結果からも、「保育の質の向上」と「受け皿の整備」が今後の課題であることが明らかとなったわけです。
また近年は、コロナ対応が続く中で保育士の9割が、3密が避けられず、子どもや保育士に感染リスクがあることをストレスの要因として挙げているともいわれています。
子どもや保護者らが頻繁に出入りする保育所等では、厚生労働省や文部科学省などのガイドラインに沿って消毒作業が日々繰り返されており、ただでさえ多忙な職員の負担が一段と重くなっているとお聞きするところで、人員の拡充が急務だと感じます。
とりわけ、保育士は保育需要の高まりによってコロナ禍以前から不足していて、退職者など潜在的人材の活用を一層進めることが重要だともいわれています。
まだ、登園自粛が一部で続いているようで、社会経済活動を少しずつ回復させていくためにも、子どもを安心して預けられる保育所等はなくてはならない存在で、しっかりと支えていきたいと思っています。
さて、高槻市での保育・幼稚園事業の、質の向上及び受け皿の整備、また、待機児童解消については、高槻子ども未来館をはじめ、認可保育所、認定こども園、小規模保育事業所等々、子ども未来部をはじめとして積極的に進めてこられました。
また、“待機児童”の課題は、平成26年4月より、厚生労働省基準で「待機児童ゼロ」と連続して報告されており、これらについては、一定の評価をしているところです。
しかしながら、地域の方々からは、保育事業に関する課題が聴かれ、私も市民の方々から、様々なご相談をいただく中で、今回の一般質問のテーマに掲げた次第です。
特に本市では、待機児童の厚労省基準は、“ゼロ”ではあるものの、潜在的な待機児童としての“利用保留児童”といわれる基準外の待機については、本市としての大きな課題ではないでしょうか。
その内容については、臨時保育や一時保育を利用されている方々、特定の施設のみを希望される方々などが、利用保留児童として、多く待機されていると伺っています。
また、いただくご相談の中には、保育士として、これからも働くことを希望されている方からは、現在は妊娠をされていて休職中ですが、出産後、職場復帰を考える中で、高槻市に在住しているが、勤務地が茨木市のため、希望する時期に子どもが入所・入園できなければ、仕事をどうするべきか、今から不安に感じているとのお声をいただきました。
早速、保育士の仕事を希望されている方が、子どもを保育所等に申し込みをされる場合の、本市の現状の取り組み状況を確認させていただきました。
本市では、平成30年5月から「保育士等の資格をお持ちでお子様の保育所等の利用を希望される方へ」として、保育士不足の解消を目指す取り組みをしています。
お知らせには、待機児童解消対策として保育士確保に取り組むため、保護者が高槻市内の認可保育所・認定こども園及び地域型保育事業で保育士・みなし保育士として勤務している又は、勤務を予定している場合や、高槻市内の認可保育施設等で病児保育事業に従事している又は、従事を予定している場合に、一定の条件のもと、お子様が認可保育施設等の利用ができるように利用調整の加点において新たに加点項目を創設しますとなっています。
しかし、これは市内施設の勤務のみ。相談者は同じ市民でも、他市の勤務なので対象外となります。
1問目として5点お聞きします。まず1点目に保育の質の向上と受け皿の整備として、本市の平成27年から5年間を計画した“子ども・子育て支援事業計画”、また、令和2年からの“次期計画”を通しての取り組みの状況等、お聞かせください。
2点目に、 本市の保育士不足の状況はどのようになっているのか。対策とともに、コロナ禍での保育士の状況等、お聞かせください。
3点目として、“利用保留児童”の現状とその内容、市としての認識。弾力的な運営が必要だと感じますが、今後の対策をどのように考えておられるのか市の見解をお聞かせください。
4点目に、前述した“保育士等の資格をお持ちで、お子様の保育所等の利用を希望される方へ”のお知らせにある目的や加点条件、考え方などをお聞かせください。
5点目に、4点目でお聞きした保育士確保のあり方として、近隣他市の状況はどのようになっているのか、お聞かせ願います。
以上、1問目といたします。
(ご答弁)子ども未来部長
1点目
保育の質の向上と受け皿整備の取組状況等について、子ども・子育て支援新制度がスタートした平成27年度以降、「高槻市子ども・子育て支援事業計画」に基づき、その取り組みを進めているところ。
保育の受け皿の拡大について、小規模保育事業の整備促進を図るとともに、認定こども園への私立幼稚園の移行促進や、「高槻市立認定こども園配置計画」に基づく公立施設の民営化や統合による認定こども園化等に取り組んできた。
保育の質の向上については、民間園に対し、保育士の資格取得や研修に係る支援を行うほか、平成31年度に開設した「高槻子ども未来館」において、民間園の職員も対象とする研修体制の構築に取り組んでおり、市全体の教育・保育の質の向上に努めているところ。
2点目
本市の保育士不足の状況等について、既存の保育施設が定員を超えて預かる弾力入所が十分に行えないなど、公立・民間を問わず、深刻な状況が続いている。
現在、この課題に対しては、保育士資格を持ちながら保育現場で働いていない潜在保育士の職場復帰を支援する「保育士・保育所支援センター」事業の実施や、保育士の保育入所について利用調整上の加点制度を創設するなど、取り組みを進めているところ。
コロナ禍における保育士の状況は、保育所等では、毎日、保育施設内の衛生管理や子どもたちの体調管理など、平常時と違った対応が求められており、保育士の負担が生じている状況にあると考えている。
3点目
利用保留児童について、令和2年4月時点では、全利用希望者が7,387名に対し、利用児童は6,670名となっており、利用希望者の9割以上が利用可能となっているものの、1割の717名が利用保留児童となっており、依然として保育ニーズは高まっていると認識。
利用保留児童の行き先については、議員仰せのとおり臨時保育室や高槻認定こども園の一時預かり保育室などを利用されている状況。
市としては、利用希望された方により多く入所していただけるよう、引き続き小規模保育事業の整備や送迎保育ステーション事業などにより、受け入れ枠の拡大を図っていきたいと考えている。
4点目
利用調整における保育士への加点制度について、市内の保育施設で働く保育士が不足している状況の中、保育士確保に繋げ、保育の受け入れ枠を広げる取り組みとして、市内の認可施設で、保育士として勤務している、または、勤務予定となっている場合に、一定の就労時間を要件として、保育の利用調整にあたって加点を行うもの。
5点目
保育士加点の近隣市の状況は、北摂においては、各市とも本市と同様の加点制度を設けているが、そのうち、摂津市・箕面市・池田市の3市においては、市内だけでなく市外の保育所等に勤務する保育士も加点の対象としている。
なお、3市いずれも市内と市外では、その加点に差が設けられており、市内勤務者により高い加点が設定されている。
(2問目)
ご答弁から、保育の質の向上や受け皿の整備については、計画に基づき、その取り組みに努めているとのことで、引き続きよろしくお願いしたいと思います。
また、保育士不足の状況については、施設が定員を超えて預かる弾力入所が十分に行えないなどの深刻な状況が続いているとのこと。コロナ禍で、保育士の負担が生じている状況であることもわかりました。
利用保留児童としては、全体の1割に当たる717名が潜在的な待機児童であるとのことでした。ただ、利用保留児童の対策については、引き続き小規模保育の整備や送迎保育ステーション事業など、今後の事業展開に大いに期待していきたいと思います。
保育士確保の観点から、保育士資格をお持ちで、お子様の保育所等の利用を希望される方へは、市内の認可施設で勤務している、または予定している方で一定の就労時間を要件に加点制度を行っていることです。
一方で、保育士加点の近隣市の状況について、北摂地域においては、同様の市内勤務の加点制度を7市とも実施しており、そのうち、摂津市、箕面市、池田市の3市においては、市内だけでなく、市外に勤務することも加点の対象にされているとのことでした。
本来は、現地に行って詳細を伺わせていただきたいところですが、コロナ禍の状況もあり、“摂津市の担当課”に電話で確認をさせていただきました。
保育士不足の折から、民間事業者等が苦慮していることを受けて、保育士確保を目的に、市内外の勤務を対象に取り組んでいらっしゃるとのことでした。また、この事業については広域連携が必要との認識も示されていました。
大阪府では、“大阪府待機児童対策協議会“として、待機児童解消に向けて保育の受け皿拡大を進めるに当たり、保育士の子どもが待機児童となり、潜在保育士の職場復帰を阻害する要因の一つとなっているとの見解を示し、また、全国的に保育士の有効求人倍率が高まる中、保育の担い手の確保が喫緊の課題であるとされています。
そのため、保育士等の子どもを優先利用の対象にすることについて、市町村の圏域を超えた利用調整がなされるよう、必要な情報提供や、連携・調整を行い、大阪府域での待機児童解消と人材確保を目指すこととされています。
また、同協議会では、段階的な二つの目標を掲げ、府内市町村との協議を進めているとのことでした。
目標①では、保育士等の勤務地と子どもの入所する保育所等の所在地が、居住する市町村と同一の場合のみ、優先入所の取り扱いを行う自治体については、市町村の圏域を超えた優先入所が可能となるよう取り組みを進めること。
目標②では、保育士等の優先入所の取り扱いを行わない自治体については、まずは当該自治体で取り扱いが可能となるよう取り組みを進めるとしています。
本市においては、保育士確保のため“優先”との文言はありませんが、市内勤務のみ、保育士等加点が10点と設定されていることは、ほぼ“優先”に近い状況だと感じていますので、北摂7市中、3市が市内・市外を対象にしていますので、広域連携をしっかり進め対応していただきたいと思うところです。
2問目としてお聞きしますが、1点目に、“大阪府待機児童対策協議会”の考え方・目標をどのように受け止めておられるのか、見解をお聞かせください。
2点目に、同協議会は、必要な情報提供や連携調整を行うとされていますが、どのような状況でしょうか、お聞かせください。
3点目に、北摂地域の状況をどのように考えておられるのか。北摂7市での連携協議はされているのか、されているのであれば、今回の課題はテーマとして挙がっているのか、その進捗状況をお聞かせください。
例えば、市内在住でも隣接する市との周辺にお住まいで、他市の保育園などに勤務することも十分あり得ると思いますが、同じ市民であっても加点の対象にならないのはどうなのでしょう。
市の保育士を確保する事業だから市内で勤務することが前提条件との考えはあるでしょうが、他市から本市へ勤務される方もいらっしゃると思います。北摂地域の3市が取り組まれているように、市内外を対象に考えるべきではないでしょうか。
少子高齢化や自然災害等々、これからの時代を考えても、広域連携などの考え方は非常に重要だと感じますがいかがでしょう。
(ご答弁)子ども未来部長
1点目
大阪府待機児童対策協議会の目標に対する市の見解は、保育士不足が全国的な課題となっている中、保育士確保に向けて、広域的に取り組むことは有用であると考える。
一方で、市として、市内の保育所等で働く保育士の確保に取り組む必要もあるため、広域的な取り組みを進めるにあたっては、市内・市外での差別化を図る制度設計等を検討する必要があると考えている。
2点目
大阪府待機児童対策協議会における情報提供、連携調整の状況について、同協議会では保育士等に係る優先入所の取り組みについて、毎年、府下市町村に対し進捗状況の情報提供をするとともに、優先入所を実施していない市町村に対して導入の検討依頼等を行っている。
3点目
本市としては、北摂各市においても待機児の状況や保育入所の課題等がある中で、保育士等に係る優先入所の取り組みについて検討されているものと考えるが、広域的な取り組みの必要性を勘案し、北摂7市での連携協議は進めていきたいと考えている。北摂7市の事務担当者会議においても、保育士加点について議題に挙がっており、今後検討を進める予定となっている。
(要望)
最後に、強く要望として申し上げますが、利用保留児童の対策など待機児童対策に向けて、従前からの保育士不足や、コロナ禍での負担が生じている状況下で、保育事業のさらなる質の向上や弾力入所が、保育士確保によって十分に行えるような体制を、しっかり構築していただきたいと願います。
そして人を育てるお仕事として、さらなる“保育の質の向上”を目指していただきたいと感じています。
今回、課題としている保育士の確保は、本市においても生活圏を考慮しながら市内だけでなく市外勤務も加点の対象にして、広域連携をしていくことが次のステップだと感じるところです。
2問目のご答弁において、広域的な取り組みの有用性や、市内・市外の加点での差別化、制度設計の必要性にも言及されました。
そして、北摂7市での事務担当者会議においても、保育士加点について議題に挙がっていることから、今後、検討を進める予定とのことですので、できるだけ迅速に進むようによろしくお願いしたいと思います。
大阪府の考え方や北摂7市の状況、本市の考え方もわかりました。
北摂地域3市の実績より、本市も、まず隣接する茨木市と協定を結べば7市中、5市が広域連携することになりますので、全体的にも促進しやすくなるのではないでしょうか。
また、北摂地域は7市3町で構成されていますので、島本町など、さらに広域連携を行っていけば、生活圏での拡充が、より図れるものだと感じます。
どうか、これからの保育事業を、さらに充実させていくためにも、ご検討をお願い申し上げて私の一般質問を終わります。
※ご答弁の内容は一部文章を加工し簡潔にまとめています。