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神奈川県茅ケ崎市 視察報告書

視察・研修会 / 2017年7月17日

産学官協働による都市防災について(路面下空洞調査)

2017-07-17 (2)2017(平成29)年7月6日(木)に、茅ケ崎市を会派視察をさせていただいたことは、以前の“あきひログ”でご紹介させていただきましたが、視察内容をまとめましたので、ご報告をさせていただきます。

茅ヶ崎市ご担当の職員の皆様、その節は本当にありがとうございました(写真は茅ヶ崎市のホームページから。サザンオールスターズで有名ですね)

テーマは「産学官協働による都市防災について(路面下空洞調査)」です。

社会インフラとしての“道路”のあり方は、交通網としての機能充実や災害時の輸送経路等、その重要性を強く感じているところですが、近年、老朽化や陥没事故等が社会問題となっています。

しかし、予防保全としての長寿命化対策や陥没防止対策などは、予算化をはじめ多くの課題があるのも現実ではないかと感じています。安全第一、生命第一を考えると、現状把握や今後の維持管理、事前対策をどのように考えるのか重要な課題です。

茅ケ崎市では、東日本大震災での経験から改めて実態的な議論が進められている災害時の道路通行機能の確保について、東京大学と自治体及び民間企業の、産官学三者共同研究の一環として検討を進めてこられました。

《まずは、地震時の陥没事例 新聞等の報道を紹介》
「路面下空洞 宮城で多発」(日本経済新聞 2012.1.6)、「仙台 地下鉄駅上の道路陥没」(河北新報2011.5.18)、「道路空洞化 補修進まず」(毎日新聞2011.9.9)

《市としての目的は》
路面下の実態調査から災害時の影響評価を行い、地域防災計画地震対策や道路・下水道などの計画的予防保全対策の一環として、災害時の道路機能確保に向けた仕組みを検討する。

《期間は》
平成27年1月21日から8月31日まで

《体制として》
◎産=民間企業=陥没実態の整理集約、現地調査及び検討・分析(茅ケ崎市と災害協定締結)
◎学=東京大学=計画手法の構築、インフラの老朽化を踏まえた影響評価手法の検討、陥没対策の検討
◎官=茅ケ崎市=所管データーの提供、防災計画を踏まえた対策促進体制の検討

《共同研究の内容》
◎災害時の道路機能確保に関する研究
 新たな視点=インフラの機能確保を二つの側面から議論、災害時の道路交通機能の確保について
 維持管理(老朽化対策)の観点を入れて検討

《共同研究の成果》
茅ケ崎市の防災の取り組みとして、道路陥没対策も加わった災害時の道路機能確保がスタート

各者の成果
◎民間企業=はじめて自治体防災としての陥没防止体制づくりに参画
      モデルとなる経過観察調査を実施
◎東京大学=新しく、大規模地震後の道路機能確保の課題として陥没に着目した研究を開始
      実態調査データーに基づく新たな分析手法を確立
◎茅ケ崎市=災害時の道路機能確保に向けた仕組み
      道路陥没対策の庁内実務体制を新たに構築

共同研究(東京大学)のまとめ
◎潜在的な空洞は存在する。今後、急増する。
◎地震時の路面陥没による活動支障が生じる
◎道路陥没による道路断絶は、建物倒壊による道路閉塞に対して無視できない
◎今後の調査データーの蓄積を通して災害時の状況像を精度高く把握する必要がある
◎災害時の調査・修繕により、災害時の陥没数を一定以下(応急補修能力)に抑える必要がある

《道路陥没・空洞の発生について》
なぜ陥没が起こるのか? そのメカニズムは…
①空洞の芽が発生
②段階1、地盤内の崩落(空洞が上方へ拡大)
③段階2、舗装の破損(舗装下まで空洞が拡大、舗装の耐力限界で破壊→陥没)

地中の空洞が拡大して「陥没」に至る
地下水の動き(老朽化・ゲリラ豪雨)・地震
◎地下鉄・共同溝などの大型地下構造物周辺
◎老朽化した下水管周辺
◎地震の揺すり込みによる地盤の変形・破壊

《空洞調査結果》
全国平均より多いことが判明

《経過観測調査》→《陥没危険度評価》→《中間報告》→《空洞補修報告》

早期発見・早期補修でPDCAサイクルによる道路機能確保を実現

平時から陥没事故を予防し災害時の道路機能を確保
①スケルカ調査・診断
②地元建設業者の開削と注入補修
③スケルカによる補修・補強後の確認と定期的なモニタリング
※スケルカ=民間企業のマイクロ波を活用した調査車
道路、護岸の空洞を発見/橋梁床版の劣化箇所を発見/埋設物の形状・位置確認

補修カルテの整備

大規模地震時の道路機能の確保の基礎検討(東京大学)
大規模地震時の路面陥没現象を考慮した主要道路通行確率の算定

《今後の課題》
◎管材、地質の考慮
◎調査データーの蓄積、管材、敷設年数、埋め戻しに使われた土質
◎地域の応急補修能力の把握
◎致命的な空洞の定義とその把握、重点調査・重点整備地域の特定

《陥没対策実施と庁内体制》
◎防災上の視点とインフラ維持保全=計画的予防保全としての路線選定
◎陥没対策実施 施工フロー(庁内体制)
◎補修カルテの整備(計画的・効果的な維持保全へ)

《平成28年度までの調査業務について》
茅ケ崎市が管理する道路延長は約670km、今回、路面下空洞調査を計画するにあたり緊急輸送路を補完する道路、下水道長寿命化計画及び幹線道路維持保全計画に位置付けられている道路延長64km(路線延長128km)を対象とし、3か年で調査していくよう計画。49・7kmを調査済、空洞発見。

空洞の判定=範囲が広く、発生深度が浅い
      危険度S、A、B、C

今年度中に陥没危険度S及びAは、下水道管の異常の有無を確認次第、開削工法またはモルタル充填にて処理。
平成30年度、31年度で残りの調査延長約90kmの調査を実施予定。

《感想》
まず、インフラ整備としての地域特性が感じられたこと。そして、市としての現状把握から防災・減災対策としての位置づけは重要。しかも官民で災害協定を締結されたことや民間の技術力による調査結果、大学としての研究データー等が事業の根拠となっていることも重要。“産学官”が一体となって計画的に進められた実行力は素晴らしいことだと感じました。

◇◆◇◆◇

茅ケ崎市は神奈川県の南部に位置し、東京から50kmあまり、藤沢市、相模川をはさんで平塚市、相模湾に面するまち。面積約36平方kmで、気候は温暖、夏は涼しく冬は暖かい、明治時代後半から戦前にかけて湘南有数の別荘地とのことです。

市制施行 昭和22年10月1日(今年70周年)
人口 239,891人/世帯数 99,583世帯(平成29年4月1日現在)
平成29年度当初予算 1,430億8,975万円