千代田区と浦安市を視察
昨日と今日、福祉企業委員会として行政視察をさせて頂きました。下記の通りご報告をさせて頂きます。
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【東京都千代田区】
江戸城の別名“千代田城”(現在の皇居)の千代田を区名に…
平成27年10月1日現在の千代田区資料から 人口:58,457人 世帯数:32,844世帯 面積:11.66平方km
別資料から 老齢人口比率(高齢化率):19.16%
超高齢社会が進展する中、平成26年(2014年)6月に成立した「地域医療・介護総合確保推進法」による大きな枠組みのもと、平成27年(2015年)4月から、いくつかの大きな変更が加えられた「改正介護保険法」が施行されました。
資料によると、「介護保険の介護予防サービス」の利用者にとっての重大な変更点は、これまで全国一律で設定されていた「要支援者向けサービスの一部」が、市町村の地域支援事業に移行すること、そして、市町村の地域支援事業に移行されるのは「介護予防訪問介護(介護予防ホームヘルプサービス)」・「介護予防通所介護(介護予防デイサービス)」のサービスで、今回、先進的な取り組みをされている千代田区を視察・学習させて頂きました。
《調査内容》
テーマ:介護予防・日常生活支援総合事業について(平成27年11月9日 13:30~)
介護予防・日常生活支援総合事業は、基本チェックリスト等により事業対象者と判定された方や要支援認定を受けた方の中で、日常生活上の援助が必要と判断された方が対象となり、また、この事業は介護予防・生活支援サービス事業と一般介護予防事業で構成され、高齢者の方の日常生活の自立や介護予防について支援することを目的とされています。
要支援1・2と判断された人⇒介護保険の介護予防サービス
今後、要支援や要介護になる可能性が高いと判断された人⇒介護予防・生活支援サービス事業
自立した生活を送っている人⇒どなたでも参加できる介護予防事業
*申請⇒訪問等⇒総合事業対象者の決定・通知⇒介護予防サービス計画の作成⇒サービスの利用開始
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現時点での実績
(4月~8月)
介護給付予防訪問介護…699人/介護給付予防通所介護…482人/総合事業予防訪問サービス…167人/総合事業予防通所サービス…121人/総合事業(訪問A)自立支援訪問サービス…4人/総合事業(訪問・通所C)短期集中サービス…186人
区民への説明会と意見
広報紙、介護保険ハンドブック、高齢者サービスのしおり、地域包括支援センター職員の訪問による説明、介護保険だより
職員の体制
26年当初からPTで実施内容を検討、高齢介護課介護事業指定係11名で事業実施、短期集中型サービス及び一般介護予防事業は在宅支援課予防係で実施
介護予防・生活支援サービス事業の多様なサービスの創設に当たっての取り組み、また、単価の設定
訪問型サービスA(自立支援訪問サービス)は平成27年4月から実施、990単位/月(15%相当控除)、訪問型サービスB(多様なサービス)は平成28年度中に基盤整備、通所サービスAは平成28年4月から実施予定
一般介護予防事業の見直し有無
総合事業実施前と大きな変更なし
課題等
実施事業者等への事業主旨・内容の周知、介護予防・生活支援サービス事業の単価設定、チェックリスト活用による事業対象者のサービス利用有効期間の設定、多様なサービスの基盤整備等
《質問》
各委員からも積極的な質問がありましたが、私からも、地域包括支援センターの規模・役割等を確認させて頂きました。
「高齢者あんしんセンター」、麹町と神田の2箇所、対応は基本7名のところ14名配置されているとのこと、また、介護予防サービス計画の作成とサービス提供者に連絡、6ヶ月ごとに見直しを行う。委託で実施。
さらに、顔の見える取り組みをされているそうですが、オートロックのマンションが多く、訪問しても会いにくい状況にあることが、大きな課題との印象を強くもちました。
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【千葉県浦安市】
漁業が主産業で、魚浦の安泰を祈願して浦安村から。三方を海や河川に囲まれたベッドタウン、海面埋め立てにより市域は4倍に拡大、東京ディズニーリゾートがある。
人口:164,877人 世帯数:71,624世帯 面積:17.3平方km 合計特殊出生率:1.11%(別資料)
《調査内容》
テーマ:子育てケアプランについて(平成27年11月10日 10:00~)
妊娠中から妊婦さんの不安なことや心配事などの相談にのり、出産後も子育てのお手伝いができるように、子育てケアマネージャーと保健所が中心となり①妊娠時、②お子さんの誕生前後、③1歳のお誕生日前後の3回の時期に子育てケアプランを作成。妊娠期の過ごし方や子育ての目標、受けられる市のサポートなどについて、子育てケアプランを通じて一緒に考えていく取り組み。また、出産前後やお子さんの1歳のお誕生日前後の時期に、子育てケアプランを作成した保護者の方に支援ギフトを贈られている。
《ご説明》
浦安版「ネウボラ」の構築~切れ目ない支援目指して~
平成27年度の子ども部組織
子ども部は部長、次長と3課・1室・7係から構成され、課は子ども課、保育幼稚園課、青少年課からなっている。中でも室は、少子化対策室が新規発足し特長的。また、保健師1名と子育てケアマネージャーが14名となっている。
地域の概要
東京湾、旧江戸川を隔て東京都江戸川区と対峙し千葉県市川市と隣接している。元々の市域は4.43平方kmが埋め立てにより現在は16.98平方kmの4倍に発展。元々あった、元町、中町、新町の生活圏域に区分され地域の特性にあったまちづくりをされている。
人口・世帯数
総人口:163,719人(H27.4)、世帯数:75,191世帯(H27.4)、平均年齢:39.9歳(H26.4)、高齢化率:15.51%(H27.4)、転出入が多く若いまち
出生数・出生率
年間出生数:1,332人、合計特殊出生率1.09(H26)
妊娠届出時の母の年齢:若年初産(19歳以下)平成21年度0.1%⇒平成26年度1.0%/高年初産(35歳以上)平成21年度15.8%⇒平成26年度24.3%
他市に比べて女性の数は多いが、産む子どもの数は少なく産む年齢も高い
未就学児の推移
平成16年度に1万人を超えてから9年ぶりに1万人を下回る、以降、毎年減少。
核家族化の進展
全国:83% 千葉県86% 浦安市95%
年齢別未婚率
平成17年と22年を比較すると男女とも30代から50代の未婚率が上がっている。
浦安市の子どもや子育て家庭を取り巻く課題(まとめ)
子育て世帯の9割が核家族世帯、ひとり親家庭の増加、晩婚・晩産傾向、未婚率が高い⇒子育てについて相談すべき身近な人がいない、養育する親が肉体的・精神的不安定になる、子育てに対する経済的な負担感
フィンランドのネウボラ
フィンランドのネウボラを参考に。ネウボラ:Neuvoはフィンランド語でアドバイス、la(ラ)は場所、母子の健康や子育てに関する傾聴や相談、育児パッケージまたは母親手当の贈呈、無料、800箇所以上の設置
浦安市少子化対策~浦安版ネウボラ構築を目指して~平成26年から
浦安市の少子化対策、適婚・適産に関する情報の周知、婚活支援、妊娠・出産から子育てにわたる切れ目ない支援、少子化対策基金の創設、平成26年度に30億円を積立、平成26年度少子化対策基金事業(子育てケアプラン、子育て支援ギフト、産前産後サポート事業、産後ケア事業、子育てモバイルサービス予防接種スケジュール作成支援事業)平成27年度からさらに追加(男性不妊治療費等助成事業、不育症治療費助成事業、理由を問わない一時預かり事業等々)
子どもプロジェクト事業
子育てケアプラン(3回)、こんにちはあかちゃんギフト等(2回目)、ファーストアニバーサリーチケット(3回目)
子育てケアプラン作成
*予算は26年度で約1千500万円で26件、27年度は2千300万円で27件
1回目(妊娠届出時)
健康センター内に「こんにちはあかちゃんルーム」、相談窓口の明確化・可視化
1回目作成の実績は、961件(月平均96件)平成27年8月末、保健師とケアマネージャー、ケアプランに追記できる欄も、冊子「ひとりじゃないよ(みんなで子育てハンドブック)」とのリンク
2回目(出産前後)
1歳の誕生日を迎えるころまでの約1年程度のケアプラン、「こんにちはあかちゃんギフト」市内協賛事業、予算との兼ね合いでワンパターン(オーガニック)、年度ごとにデザイン変更(横のつながり)衣類11点、4万円相当
実績は519件(月平均129件)
3回目(1歳誕生日頃)
2歳になるまでの1年程度のケアプラン、「ファーストアニバーサリーチケット」贈呈(1万円分・500円×20枚)
実績は267件(48.1%)(月平均66件)
この後は検診等で補完されるとのこと
子育てケアマネージャー
子育て・家庭支援養成講座の3級及び2級の認定者のうち子育てケアマネージャー養成集中講座を受講し修了した方、現在14名
うらやす婚活応援プロジェクト事業
市職員や婚活事業者、ホテル等のブライダル関係者、地域で活躍する市民で構成、26年度実績、191名中カップル成立41組、27年度は214名中34組
子育てモバイルサービス予防接種スケジュール作成
スマートフォン、携帯電話、パソコンから登録、予防接種の種類が増えているので忘れないで助かる、登録無料、通信費は自己負担、27年3月末登録数は557件
産後ケア事業
宿泊型、日帰り型、宿泊型は27年3月末で登録23名、利用12名、費用1日30,000円(本人負担1割)、日帰り型、登録12名、利用者12名、1回4,000円、食事代含む
《所感》
浦安市では、未来を築くための“切れ目のない”取り組みとして、出会い(婚活)から結婚、出産、子育て、定住への期待と積極的にまちの課題に対して取り組まれていました。特には少子化対策室まで設けての取り組みには強い意志を感じた次第です。高槻市も未来を築くべく子育て施策や定住人口増加策に力を注いでいるところですが、財政的なことも含めて、しっかり研究・検討を重ねて頂きたいと感じます。
以上、ご報告申し上げます。
追伸、千代田区、浦安市の職員の皆様、ご多忙の中、視察を快くお引き受け頂き誠にありがとうございました。また、福祉企業委員会委員の皆様、各部長、議会事務局の皆様、お疲れ様でした。