平成22年 第1回定例会 H.22年2月15日(月)
区議会公明党の小菅千保子でございます。
平成22年第1回定例会に当たり、 5項目11点について質問をさせていただきます。区長並びに教育長におかれましては積極的なご答弁をお願いいたします。
1. はじめに「パートナーシップ」の促進について お伺いいたします。
世界同時不況の波に呑まれ、戦後、初めてのマイナス成長を記録した厳しい雇用情勢に直面し、税収も減少する財政状況の今日。
(区民の灯台である基礎的自治体として区民生活を守り、どのようにプロデュースしていくか発想力が問われている昨今、最小の予算で最大かつ最善の効果が得られる価値的な施策が求められております。)
公明党は日本を切り開く視点から中長期に亘る新ビジョンを昨年12月に発表しました。その1つの柱が「協働型福祉社会」という新しい社会像です。これは、「自助・共助・公助」がバランスよく組み合わさった「パートナーシップ」協働を軸にした福祉社会を目指す考え方です。
(地域・民間力を活用していくことが、今の時に適った視点であると私は考えております。)
厳しい時代だからこそ「パートナーシップ」で区民の方々と行政が協働し、それぞれに知恵を出し合い、身近な課題をスピーディーに解決していく力が求められております。
たとえば、本区のある町会では自主的に「お役に立ち隊」を結成し、一人暮らしの高齢の方の困りごとをお助けしようと活動を開始している町会。 また、子育て応援パスポートの実施。
先日の上野地区災害時滞留者のための訓練の実施。
区内の「建物景観100選」の総点検。その結果、27カ所の新提案をまとめあげ、まったくの手弁当でプレゼンテーショーンをしてくださった まちづくり協力会の活動。(この内容を業者に委託したら、200~300万は掛かる大変な労作業です。)
このようにしたまち台東は もとより活発で勢いがあり、面倒見のいい気風から多くの民間力に支えていただいております。
今後、さらに「パートナーシップの促進」できめの細かい区民サービスを行っていくためにはこの地域・民間力を「育て・支え・活用していく」明快なシステムづくりが必要です。
そこで区長にこの項目で 3点 お伺いいたします。
* ① ここで市川市の先進的な事例を紹介します。まず企画部にボランティア・NPO担当を組織化し、パートナーシップの促進を図る施策として「1%市民活動団体支援制度」を実施しております。この制度は納税に対する意欲を高め、市民活動団体の活動を支援し、促進していくことを目的として条例をつくり、H.17年度からスタート。「市民活動団体支援制度審査会」を設置し、地域まちづくりの主体であるボランティア団体やNPOなど、営利目的ではない自主的な活動に対して、納税者が支援したい団体に個人市民税の1%相当額を支援するものです。現在、294団体が登録し、活発に活動を展開しております。
その一歩 先を行く大阪府池田市では、「地域分権推進条例」を制定し、議会の審議、議決を経た 個人市民税の1%相当額分の予算提案権を持った住民組織による自主的なまちづくりが進んでいます。いづれの提案も地域の実情に基づいているので無駄がなく、結果的に予算節減になり、価値的な税金の活用ができております。
(私は区民と行政とお互いに栄え、双方が利益を得るウィンウィンの関係の確立が「パートナーシップ」をより円滑に促進させると考えます。)
そこで本区においても区民活動を支援できる「1%市民活動団体支援制度」のような独自の制度が必要と考えます。
区長のご見解をお伺いいたします。
*② 次に同じく市川市では「地域ポイント制度」を立ち上げ、市が指定するボランティア活動やエコロジ―活動、市のeモニター制度など、市民が楽しみながら、社会参加促進につながるなど 相乗効果が得られる制度を推進しておりますが、これについて区長のご見解をお伺いいたします。
*③ 次に本区では日頃から各種団体や町の皆様がアグレッシブに地域活性化のために、様々な活動を繰り広げていただいております。その後押しとして 行政は貴重な税金から、補助金として一部支援させていただいておりますが、この「補助金制度のあり方」についても検討会を立ち上げるなど、見直しをしていく財政環境ではないかと考えます。
(毎年、事業内容の提示を受け、ほぼ同額の補助金が支出されておりますが、)
これも年度ごとに事業内容によって一定上限額の中で増減を考慮していくことなどでより価値的な事業展開ができ、「パートナーシップ」の促進につながると考えますが、区長のご見解をお伺いいたします。
2.次に新しい働き方・雇用の創出について お尋ねいたします。
日本では従来、仕事は雇用主がいて、働き手がいる。というこの形が一般的な就労形態です。それが、一昨年のリーマンショック以降、労働環境は未だ悪化の傾向です。
(社会に広がる不安感と不信感を払しょくしていく対策を講じていかなければなりません。)
とりわけ若い世代への影響は大きく、
(社会人としてスタートラインに立った時から、働く場所が見つからなかったり、突然に職を失うなど、経済基盤がなくなるだけではなく、社会で必要とされないことへのショックや)
将来への不安を抱えて希望を見出すことが難しい現実社会で 人生設計を立てることもむずかしい現状です。
本来、人は「働けば、収入を得ることができ、生活ができる。」こんな当たり前の人間としての尊厳を守らなければなりません。
そこで最近、注目されているのが、「協同労働の協同組合」です。この「働き方」はまさに自助・共助の地域・民間力で介護、福祉、子育て、まちづくり、農業など様々な分野で新しい雇用を生み出しており、「協同労働の協同組合」は日本では今までにないまったく新しい働き方です。共に仕事に賛同した人が出資者であり、対等の立場の経営者であり、共に労働者です。
「協同労働の法制化を求める市民会議」会長の笹森清元連合会長は、「こうした働き方は様々な分野で求められていて、制度として認められれば「就職から創職へ」、雇われではなく、自ら仕事を創りだす働きが全国に広がるだろう」と話しています。「協同労働」は先進国の多くで法制化されており、(フランスやスペインでは製造業や建築業などが多く広がっています。)
昨年、日本も法制化に向けて国会で超党派の議員連盟を立ち上げ、雇用の創出が緊急課題となる中で今国会での成立をめざしております。昨年、台東区議会としてまた、東京都議会も早期法制化の意見書をあげたところです。
現在、都内では文京区、墨田区、荒川区、江東区、葛飾区、足立区など こどもクラブ、放課後こどもスクール、高齢者デイサービス、訪問介護、ニート対策、ホームレス就労支援など区の指定管理を受けて実際に多くの方々が主体者として働いていらっしゃいます。
時代のニーズに合致した雇用形態だと考えます。たとえば、保育ママも1対1ですと、躊躇される方も協同労働の形ですと、もっと働きやすい安心安全な保育ママグループで起業していくことができるようになります。本区におきましても区民の新しい雇用創出のために高齢の皆様や障害のある方、子育て中の方も豊かな気持ちで社会参画できる働き方で なかには年商2億 175人の企業などすでに多くの実績があります。
区長はこの「協同労働の働き方」に対し、どのような認識をお持ちでしょうか。また、他区の事例や成果など、参考にし、本区においても活用していってはいかがでしょうか。
区長のご所見をお伺いいたします。
3.次に予防できる唯一のがんであります「子宮頸がん」について伺います。
子宮頸がんは女性の80%が性行動などによるHPVヒトパピローマウイルスによる感染が原因のがんです。その90%は自己免疫力で消えますが約10人に1人がHPVに感染した状態で10年ほど経過してがん化するといわれております。 自治医科大学付属さいたまセンターの今野教授は「子宮頸がんは定期検診と予防ワクチンの接種で100%、根絶することができるのです。」と明言されております。この予防ワクチンはすでに世界117カ国以上で認可され、定期接種に取り組んでいる国は40カ国近くあります。特にオーストラリア、アメリカ、ヨーロッパ、アジア諸国で12歳の女子に予防ワクチン接種を義務化し、子宮頸がんを根絶するための取り組みを開始しております。
先進諸国では子宮頸がん 検診受診率を上げたことで発症が減少している中で日本では人口10万人に対し、約15,000人が発症し、そのうち、約3,500人がなくなるという増加傾向の状況です。最近では20代前半から30代の若い女性の発症が急増しており、そのピークは30代です。まさに出産年齢、子育て世代です。
公明党は一昨年から女性特有の子宮頸がん対策と同様に急増している乳がん対策に取り組み、昨年は予防ワクチンの早期承認を訴えてまいりました。
その結果、日本国内においても1種類のワクチンが昨年承認され、今年の秋にはもう1種類、承認されると聞いております。
この予防ワクチン接種の効果は
(20~25歳の女性500人を対象に2年間にわたり、)
実施された臨床試験で感染が約90%~100%抑制されることを確認し、未感染の10歳~15歳の100人を対象とした試験でも全員がHPVヒトパピローマウィルスに対する抗体を持ったことが認められました。ただこの予防ワクチンの接種費用が1回約15,000円で6ヶ月間に3回接種が必要なため、高額の負担となります。杉並区では中学1年生に入学祝として実施する予定です。 (魚沼市や明石市などで全額補助行うなど、名古屋市では、ヒブワクチンなど5種類の疾病を対象に半額助成の方向で検討しています。)
そこで区長に 3点 、教育長に 1点 お伺いいたします。
*① 昨年度は総合健康診査受診票に子宮がん検診の申し込みはがきを同封し、検診受診率向上に取り組んでいただきました。この取り組みについて 成果はいかがでしょうか。
*② 次に公明党は国へも予防ワクチン接種費用補助についても強く要望しているところですが、本区においてもまさに10年後20年後出産年齢を迎える子どもたちの健康を守るために予防ワクチン接種の公費助成の実施を提案いたしますがいかがでしょうか。
*③ 合わせてこのワクチンは(セクシャルデビュー前の)HPVに感染していない12~13歳くらいの女子が、対象となるため、まず保護者の方々にご理解を得るための講習会などを通じて周知が必要です。 区長のご見解をお聞かせください。
*④ 次に教育長のお伺いいたします。
予防ワクチン接種につきましては児童生徒への健康を守るという観点からも直接の啓発指導が必要となります。この予防ワクチン接種について教育長のご見解をお聞かせください。
22年度は「幼児教育共通カリキュラムの策定」が予算化されております。幼児期は人格の基礎を築く一番大事な心を育てる時期であり、現在、小学校1学年の学級運営に課題が多くみられることからも、その教育・養育支援が急務であります。
大正小学校初代校長の牧口常三郎先生は「いかなる教育改革も子どもの幸福こそ、第一義とせよ。」「教育は子どもの幸福のためにある。」と訴えております。カリキュラムの策定にあたり、大事な指針であると考えます。今後小学校1年生への教師の加配と同時に年長5歳児への指導を充実していかなければならないと考えます。デンマークでは年長児を義務教育の就学前学級0年生と捉え、「遊び」を通して学校生活に慣れること、人間関係の大切さを身につけることに主眼を置いています。 このことからも年長児からのスムースな移行を促す指導が重要です。年長児と1年生の一番のギャップは机と椅子があり、10、20分と着席を余議なく求められるところです。子どもにとっては急激な環境の変化で苦痛でもあります。
そこで教育長に 2点 お伺いいたします。
*①年長児の経験、体験、実感を通してひとりひとりの自覚を促す教育と「何のために」という年齢に沿った目的感・使命感を啓発する指導が、重要であると考えます。具体的には小学生の授業の様子を見学することもよい刺激になり、自然に「けじめをつける」ことを学びます。また、室内のレイアウトの工夫、テーブルと椅子の利用機会を増やす、漢字の表記を用いるなど、教諭や保育士の目線ではなく、子どもの視点に立って環境を整えることが大事で子どもひとりひとりの自覚を促す教育が必要であると考えますが、いかがでしょうか。 教育長のご所見をお聞かせください。
*② 次に「特別支援教育コーディネーター研修」について お伺いいたします。
発達障害者支援法が平成17年に施行され、今年度で5年目に入ります。本区では様々なきめ細かな対応で取り組んでいただいております。ですが、予想外に 発達障害児が多くなってきた中で未だ診断を受けていないグレーゾーンの子どもたちの療育支援が遅れることが危惧されます。この発達障害は、「早期発見・早期療育」が非常に重要です。早期療育支援を行うことで良好な親子関係が築け、よりその子らしい育ちで、まわりの理解や協力を得てスムースな就学導くことができます。
横須賀市では3カ年計画で「横須賀市療育支援ネットワーク」を整備していく方針です。21年度は市内の公・私立の幼稚園、保育園の先生を対象に「発達支援コーディネーター研修」を行い、修了者には市独自の写真付きの「発達支援コーディネーター」のネームプレートが授与されます。一枚のプレートですが、保護者からの信頼感につながります。
そこで本区におきましても「特別支援教育コーディネーター研修会」をさらに充実させていくために私立幼稚園、保育園の先生まで拡大するなど、「気になる」子どもや「お困り感」を抱えた親子を様々な角度から支援していくために高い専門性とよりそう人間性が必要であると考えます。教育長のご見解をお伺いいたします。
5.最後に 横須賀市ではこども育成部棟に療育支援センターを併設しており、相談、専門医による診断が一ヶ所で受けられるようになっています。
本区の場合は保健所、きょういく支援館、松が谷福祉会館、病院と役割分担しております。たとえば、松が谷福祉会館で病院に受診を進めた場合、この診断を受けないケースなど漏れることがないよう、受診後の療育支援内容の計画など、具体的な切れ目のない発達支援の連携体制が重要ではないかと考えます。区長のご所見をお伺いいたします。
以上で質問を終わります。ご清聴ありがとうございました。