平成22年3月 予算特別委員会 総括質問 

区議会公明党の小菅 千保子でございます。

平成22年度予算特別委員会にあたり、22年度予算について賛成の立場から総括質問を行います。

区長並びに教育長には積極的なご答弁をお願いし、早速、質問に入ります。

 1、   始めに区庁舎などの行政コストの削減について伺います。

長引く景気低迷の中、21年度に引き続き、22年度は特別区交付金の19億円の減額、特別区税の減少と財源が不足し、基金の取り崩しも行なった厳しい予算です。そして納税者である区民の皆様の(奥歯をかみ締めるような)思いをどれだけ真摯に受け止めて予算編成をしたのか。いかに歳出を価値的に削減し、限られた財源をどのように有効活用していくのかが大事な取り組みです。

台東区ではまず、(H.14年にはISO14001を早々取得し、)低炭素社会へのCO2削減などの環境配慮行動に率先して取り組むことで区庁舎などの光熱水費や事務用品の行政コストの削減を推進し、成果を上げてまいりました。

そこで区長に伺います。

①      一つ目は女性用トイレの擬音装置の設置と手洗いの自動水栓の設置について伺います。

女性はトイレを利用する際、音が気になりましてどうしても水洗の2度流しをする傾向があり、1回に約10リットル前後の水を無駄に流すことになります。庁舎内でも以前から擬音装置が設置されているところもありましたが、昨年8月末には全ての女性用トイレに設置していただきました。その結果、

1ヶ月間で約120mlの節水につながり、5~6万円のコスト削減ができたと伺いました。小さな一歩ではありますが、水そのものが限りある資源だという観点からも取り組んでいく効果は大きいと考えております。

そこで区内の公共施設においても女性用トイレに擬音装置設置を進めていただきたいと思いますがいかがでしょうか。

また、手洗いの自動水栓についても庁舎内で1部設置していますが、最近は感染性の高いインフルエンザなどの流行も懸念される時代です。公共施設は不特定多数の人の利用があります。特に高齢の方、お子さん連れや障害のある方々には安全性・利便性の向上からも

(、また、幼稚園、保育園、小・中学校など昨年からの新型インフルエンザの発生状況を見た場合、)

また、自動水栓の設置は衛生面からも感染予防になると考えます。また、流しっぱなしが無くなりますのでコスト削減の面からも必要な改善であると考えますがいかがでしょうか。エコで清潔な環境整備について区長のご見解をお伺いいたします

②      2つ目は 区庁舎などの通信費削減への取り組みについて伺います。

  先日の予算委員会で本庁舎内の電話台数と通信経費についてお伺いいたします。

現在、庁舎はNTTの交換機を使用しており、固定電話台数は412台、これにはファックも含まれていますが、その通信経費は20年度の通話料と内線などの専用線使用量も含めて約2,359万円の歳出となっております。行政の通信機能については言うまでもなく、特に災害時の通話回線の安心・安全な対応機能などが担保されることが、一番肝心なポイントだと考えます。(現在、使用している固定電話の設置個数の見直し。)

今や通信業務の取り扱い企業の自由化に伴い、多くの企業が参入しています。(NTTに義務付けしている全国一律サービスの制度を将来的には見直す総務省の方針もあるようですけれども、区民の血税で区政運営に取り組んでいるのですから、)

区庁舎内の通信費のコスト削減について取り組みについてもH.18 年に見直しをしたことは伺いましたが、通信技術なども日進月歩ですので、通信業務を行っている対象企業のプレゼンテーションを開催するなど、柔軟性を持って積極的に通信費の行政コスト削減に取り組むお考えはありませんか。区長のご見解をお聞かせください。

 2、   次に「心といのちのゲートキーパー」の育成について伺います。

現在、本区では特別区民税、国民健康保険、介護保険など徴税事務を一元化しております。また、滞納整理指導員の配置や電話や文書による催告など、様々な手法で収納率を上げるために種々努力していただいていることは私も評価をいたしております。

徴収については収納課あげて徴収にあたり、最前線の 現場を歩いていただいておりますが、様々な現状を見ていらっしゃる中で言うに言えない 歯がゆい思いをなさることもしばしばだと推察しております。ここ数年は、多重債務などにより、相談もできず、行き詰った結果として自ら命を絶つ事例も年々多くなっております。

 東京都ではその対策の一つとして「東京こころといのちのゲートキーパー」の育成研修をモデル実施しております。

そこで本区の徴収員の方や庁舎で窓口対応担当の方々にはこの研修でスキルアップしていただき、ますます前向きな現場の対応をお願いしたいと思いますがいかがでしょうか。区長にお伺いいたします。

3、   「就学支援ノート」の活用について伺います

2004年時の数字ですのでちょっと現状とはやや違うかとは思いますが、ニートの現状で中学卒業のみの方が最大グループで40数%である。そのニートと言われる中には多くの発達障害をもった青少年が存在しています。そのような青少年をどのように育成支援をしていくのかが、大きな課題です。以前の質問の中でも申し上げた「個別ファイル」は一人のお子さんの人生をサポートしていく位の意義を込めております。本区においてまずは、未就学時と就学後の学校生活をつなぐ大事な「就学支援ノート」を作成してくださったことはまず感謝申し上げます。どのようにそのお子さんに寄り添った支援シートにしていくか。その意味ではこれからの使い方が重要です。予算委員会で21年度は21名のお子さんに配布し、17名分が活用している。又、22年度は30名に配布予定と伺いました。

これについて今後はある程度、強制力を持った形で活用していかないと「就学支援シート」の本来の目的が果たせないと思いますが、この点についての教育長のご見解をお伺いいたします。

 また、千葉県では自閉症児者の方々がなど医師・歯科医師などの受診がスムースにできるように医療機関へ受診に当たって受診者の特性などを明記し、配慮していただきたい事項などをまとめた「受診サポート手帳」を作成しております。

これについては検証していただきたいと要望いたします。

(4歳6ヶ月健診の実施について

次の世代をいかに健康的に育成していくのか。これは大人の責務であり、体制を整えていくのは行政の責務であると考えます。)

 4、   「子どものいのちを守る」取り組みについて伺います。

 悲惨な乳幼児の虐待事件が相次いでいます。

3月3日、奈良県の5歳の男児が食事を与えられず、6キロで1

歳児の平均にも満たない状態で死亡。この男児は生後10カ月以降、最後に乳幼児健診を受けていなかった。市役所の健診担当課は電話などで両親に受診を促したが、それ以上、立ち入ることはなく、虐待の担当課にも連絡をしていなかった。翌4日には埼玉県で2年前に4歳の男児を衰弱死させた。泣き声や「お水をください。」と哀願する声が聞こえたそうです。

 このところ相次いで発覚した事件は、氷山の一角かもしれません。何れにしても虐待を防ぐための連携態勢が、いまだ不十分であることを示しているといえます。

 江戸川区の海渡君のケースも、A.区の子ども家庭支援センターへ歯科医から情報提供があった事実。B.学校側は「もう2度としない」という親との約束を頼みにセンターからの問い合わせに対し、「虐待の認識はなかった」ともみ消すような対応。C.その後も虐待を疑うポイントはあったが、センターへの報告を怠り、学校だけの判断で状況を軽視した。D.センターも学校任せで周辺の情報を民生委員に確認していなかったなど、連携体制はあったが、担当し、関わった人の判断で連携されていなかったことも結果として一因となったのです。厚生労働省が作った専門家の検証委員会によると、虐待死事例の6割近くは関係機関と何らかの接点があったとしています。情報が迅速に共有され、有効に対処できていれば、幼い命を救えたはずだと考えます。

そこで3点について伺います。

①一つ目には本区においては日本堤子ども家庭支援センターが児童虐待の相談窓口となり、様々な対応をしていただいておりますが、児童虐待の本区の実態について区長にお伺いいたします。

②二つ目に2008年4月に改正児童虐待防止法が施行されました。児童相談所の家庭への立ち入り権限が強化され、警察官の動向も求めることができるようになりました

そこで日本堤子ども家庭支援センターが中心になって連携を取り、行政や警察、保健所、医療機関、幼稚園、保育園、こども園、小学校、地域、民生児童委員の方などの連携はしっかりと取り合って解決にむけてのサポートや見守りに取り組んでいただいていると思いますが、先ほど、申しましたように

連絡しっぱなしではなく、必ずどう対処をしたか、きめ細やかな情報の共有化、連携体制の強化が重要だと考えますがいかがでしょうか。

 ③三つ目に亡くなったお子さんたちのためにも本区では絶対に防止していくとの決意で地域の方々に、虐待を伺わせるような事態を見かけた時の協力の仕方や対処法の周知について再確認することがのぞましいと考えますがいかがでしょうか。

区長のご見解をお示しください。

 5.   高(幸)齢者住宅について2点伺います。

 公明党では高齢者の高を幸福の幸に置き換えてみんなで支える「幸齢社会を目指して」います。今回は幸齢者住宅について伺います。

先日21年度のシルバーピアの応募状況を伺いました。227世帯のみなさんが応募してくださいましたが、単身世帯で16,7倍。世帯向けで9.7倍という難関の中、今年の当選者は13組の方々が当選されました。ご存じのように23区で1・2位を争う元気幸齢者人口が多く在住している地域です。潜在的な住宅需要はこの応募数よりもはるかに多いのではないかと推測いたします。一番、社会的にもご苦労をされてきた人生の先輩方が、「大好きな台東区で元気に住み続けたいと願う」思いに現行のシルバーピア施策の進展ぶりでは申し訳ない状況であると考えております。

そこで伺います。

①  一つ目に本区にはワンルームなどの賃貸マンションがありますが、たとえば、この賃貸マンションを幸齢者対応の改修工事を行った場合、その物件をシルバーピアとして借り上げ、それを供給することはできるのでしょうか。

一人暮らしの方や幸齢世帯の場合、生活や身体の状況変化による不安定感が常に背中合わせであります。その意味ではシルバーピアは多少なりとも心強いでしょうし、いざという時の対応が速やかだと思います。

品川区では22年度、見守り機能付き高齢者住宅を発表しました。これは高齢者住宅と成年後見制度を組み合わせた住み替えの仕組みです。現行のシルバーピアでは自立生活が原則ですので万が一、生活などの状況が変わり、要介護支援を要する場合は退室していただくことになります。ところが、この品川式ですと、入居後 介護が必要となっても要介護3までは住み続けることができ、在宅で必要なケアを受けることができます。これからはこのようなより幸齢者の方々に寄り添い、支える施策が重要であると考えますがいかがでしょうか。

②  二つ目に東京都ではH.19年から「高齢者住宅支援員」の研修事業をおこなっております。民間の集合住宅における見守り機能を強化するため、管理会社の職員などを対象としており、入居者の安否確認や日常的な生活相談などの基本的な知識を身につける研修です。「高齢者住宅支援員」の研修事業を不動産関係の企業に周知していただき、活用していただくことで企業にとっても新たな人材育成の場を確保できることになるのではないかと考えますがいかがでしょうか。区長のご所見をお伺いいたします。

6.次にがん検診 について 2点お伺いいたします。

はじめに22年度予算ではがん検診予算の増額と検診期間を拡大したことに対し、一言御礼を申し上げます

日本人は(3人に1人が がんで亡くなり、)2人に1人が がんになるといわれております。決して他人ごとではありません。世界でがん患者が最も多い国でありながら、なんの対策もありませんでした。そこで公明党は強力に提案し、国は「がん対策基本法」を策定しました。それに基づき、都は「東京都がん対策推進計画」を平成20年に策定し、職域検診も含み がん検診受診率50%を目指しております。平成18年の厚労省の「都道府県別死因の分析結果」は、東京都では男性は大腸がん、女性の場合は肺がん、大腸がん、乳がんの比率が全国に比べて高い状況です。いずれにしてもがん検診の重要性が充分認識されているとは言えません。

 本区においては平成20年に「健康たいとう21推進計画」後期計画を策定いたしました。その中で「がん対策の充実」として本区の現状分析とがん検診の指標を見て40歳以上の検診受診率の低さには驚きました。

(例えば、胃がん1.5%・大腸がん1.5%・肺がん0.8%また、子宮がんは20歳以上で5.5%・乳がん30歳以上の触診で2.1%、マンモグラフィー併用は40歳以上で5.4%です)

確かに検診は任意ですから、号令で受診率が上がるわけではありませんが、平成24年度までにがん検診受診率10%が本区の達成目標も今のままではむずかしいと言わざるを得ません。

(限りある予算の中で区民の健康を守ることはむずかしいことですが、

が、率直に申せば、10%とはなんと低い受診率目標かこれには驚きました。区民の生命財産を守る行政の姿勢としては後ろ向きの感が否めません。)

 たとえば、「むし歯になる前に定期的に歯医者に行く。」「病気になる前に定期検診を受ける。」予防的受診のほうがどれだけ当事者にとって身体的にも経済的にもリスクが少なく、保険者である台東区にとっても医療費の跳ね上がりがないわけですから、次の計画策定の時には「病気になる前に予防する。」この当たり前のことの大切さを訴えるような前向きな計画で区民の意識を変えていく予防の観点を大事にしてください。また、今後、そのような視点から健康まつりなど企画していただきたいと要望します。

東大医学部准教授の中川恵一先生は(著書「がんのひみつ」の中で)

がん検診受診率向上のためには、

「がん検診を受けなさいと啓発しても効果は上がりません。まずは がんがどういう病気であるかを知ること。そしてそれを伝えることが大切です。」と言われております。

たとえば、「乳がんの場合、DNAが傷ついてがん化し、それが1センチになるのに15年かかり、2センチになるにはわずか1年半。乳がんの場合、2センチで見つかれば、早期発見でこの2センチで治療すれば、治癒率は9割以上です。ですから、2年に1回の検診が大事になります。」とあります。因みに

乳がん・子宮がん無料検診クーポン券は受診率向上の働きかけとして公明党として推進しました。今年3月31日までですので是非、活用していただきたいと思います。(また、「日本の食生活が欧米化したことが一因で大腸がん・肺がん・乳がんなどの発症が増加しています。」とありました。)(*平成24年までの検診受診率10%の根拠についてまた、その目標を改定して受診率を積極的に向上させていくお考えはりませんか。)

そこで区長にお伺いいたします。

 *① 一つ目はがん検診受診率向上のための啓発、普及対策として分かりやすい表現でがんの発症原因や特徴など正しい知識を伝えていくための説明プリントを総合健康診査受診票と合わせて発送してはいかがでしょうか。ご提案申しあげます。区長、ご見解をお聞かせください。

また、私も先般の一般質問でも子宮頸がんワクチン接種の公費助成について伺いましたが、都議会公明党も子宮頸がんワクチン、小児用肺炎球菌ワクチンの予算要望や質問を行い、この度 嬉しいことに東京都の包括補助事業として2分の1の補助が決定しました。

先ほど和泉議員からもありましたが、折角のチャンスですので本区においてもぜひ、次代を担う大事な子どもたちへ子宮頸がんワクチン・小児対象の肺炎球菌ワクチン接種の公費助成の実施について区長の大英断を強くご期待し、改めて要望申し上げます。

* ②二つ目は 国民病とまで言われているがんについて正しい知識を知ることは一番のがん予防対策として有効な手段であると思います。ところが学校教育でも保健の教科書には、がんについての記述が少ないのが現状です。将来のある児童・生徒ががんについて正しい知識を学ぶ機会を作っていくことが大変重要です。このことにより、親子の対話から検診率アップの効果が期待できると考えますがいかがでしょうか。教育長のご見解をお伺いいたします。 

 7.携帯・ネット被害から子どもたちを守るための対策について伺います。

 今や携帯電話の契約数は1億件を突破し、各機関の調査では、携帯の所持率は小学生で30~35%、中学生で65~70%と発表されています。最近は低年齢化の傾向も見られます。携帯電話からのメールやインターネットの利用が急増しているため、従来のようなメールや学校裏サイトへの書き込みによるいじめだけではなく、有害サイトに接続することで犯罪に巻き込まれる事件が多発しています。

昨年1月の警察庁の発表によると、出会い系サイトにより被害を受けた児童生徒の内、アクセス手段として携帯電話をしようしたものは98.6%でした。ネットのホームページや色々な掲示板への書き込みは、不特定多数の人が閲覧でき、匿名である場合は誹謗中傷が過激な表現になっています。文部科学省の調査でも実名や電話番号などの個人情報が、顔写真などと一緒に嫌がらせの画像で掲示板に掲載され、多くの他人から中傷メールが何度も入ると言うような被害報告もあります。また、この携帯被害で自ら命を立った児童生徒の報告もあります。全く本末転倒な痛ましいことです。また、警視庁発表の児童ポルノ被害児童の保護状況はH.19年度275件、H.20年度では338件、H.21 年上半期には20年上半期に比較すると51%増加と、深刻な事態になってきております。

昨年1月に文部科学省が児童生徒の携帯電話使用に関して学校への持込は禁止しましたが、根本的な解決にはなりません。

安全のためや、家族の連絡のためなどの理由で所持しているケースが大半ですが、利用するためのルールなど、決めていない家庭が6年生で約2割、中学2年生では約3割です。

学校や家庭の責任において子どもたちへ携帯電話を利用するにあたっての危険性などの情報モラルやリテラシー教育が必要であります。ところが、親御さんがこれらの実態を知らなかったり、安易に見過ごしたりしている場合が一番、問題です。

 昨年3月には東京都からネットトラブルから子どもたちを守るための親子のルールづくりの講座など実施しています。

そこで教育長に伺います。

まず、保護者の皆様に携帯・ネット被害から子どもたちを守るため、ネット犯罪の現状を認識していただき、各ご家庭でフィルタリングは勿論、携帯電話の使い方によっては被害者にも加害者にもなるという現実をしっかりと子どもたちに教え伝えることが急務であると考えますが、いかがでしょうか。教育長のご見解をお伺いいたします

 * 大切な子どもたちを犯罪から絶対守るという意識の共有が重要です。被害者加害者を出さないよう、お願いいたします。

* 最後にこの度、ご退任される皆様、大変にお疲れ様でした。心より御礼を申し上げます。ありがとうございました。どうぞ健康に留意され、一層のご活躍をお祈り申し上げます。

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