5月9日(金)、大分市で立川市議会公明党会派の行政視察を行いましたのでご報告します。
 

 

視察先と調査項目

視察先:大分市
調査項目:グリーンスローモビリティについて
 

調査の目的

大分市では過疎地域における日常生活や観光での移動支援のため、低速で公道を走ることができる電動車によるグリーンスローモビリティが運行されている。立川市においても高齢化や公共交通の支え手不足などにおる地域の足の確保が課題となっていることから、大分市での取組を立川市の課題解決の参考とするため視察を行った。
 

調査概要

野津原地域で運行されているグリーンスローモビリティを視察・乗車するとともに、野津原支所にて、大分市都市交通対策課からグリーンスローモビリティを含む公共交通についての説明いただいた。
 

グリーンスローモビリティについて

●導入の経緯
過疎地域である3つの地域(野津原、佐賀関、大南)において、民間の移動サービスが届きにくいことから、日常生活や観光での移動支援としてグリーンスローモビリティの実証運行を行った。その結果を検証し、地域公共交通が抱える課題解決に資するモビリティとして有効であると判断し本格運行に移行した。
 
●背景
大分市では、JRの3路線、民間路線バスの2事業者、その他タクシー事業者が公共交通を担っているが、近年の人口減少の本格化、高齢者の運転免許返納の増加、運転手不足の深刻化などから、路線や便数を維持することが容易でなくなってきた。
平成28年度から令和2年度では、バス利用者は約28%減、タクシー利用者は約43%減、JR乗車人員は約31%減、バス乗務員数は約6%減、タクシー運転者は約20%減となっている。
しかし、地域の暮らしと産業を支えるために「移動」は欠かすことができず、民間交通事業者が収益を確保して公共交通を担うことが難しくなってきている中で、地方公共団体が移動手段を確保することが重要との考え方のもと、行政・交通事業者・市民や関係機関等が連携して持続可能な公共交通ネットワークを構築することとした。
 
●事業の概要
JRや路線バスなど民間が担う交通機関に加え、行政による移動支援のひとつとしてグリーンスローモビリティを運行。その他、民間交通を補完する以下の交通手段も運用している。

(1)ふれあい交通
路線バスのバス停まで不便な地域で、地域の拠点(停留所を設定)から最寄りの路線バス停留所までをタクシーで運行。
1回200円で、前日までに予約が必要。令和7年4月現在で33ルート運行。

(2)路線バス代替交通(コミュニティバス)
路線バスのルートが廃止・休止された地域で、ジャンボタクシー(定員9名)による代替交通を運行。3路線10ルートで1日5~14便が毎日運行。
料金は乗車区間により180~630円、路線バスと乗り継ぎ利用の場合は割引がある。

(3)グリーンスローモビリティ
令和2年度より野津原地域、令和3年度より佐賀関地域、令和4年度より大南地域で実証運行を開始。
導入の初期経費は、車両購入費3台合計で97,743千円、運行はタクシー事業者へ委託しており令和7年度の運行委託料予算は31,570千円。消耗品、印刷製本費、保険料なども含む令和7年度の運行経費(維持費)は合計で36,356千円。
運賃は無料としており、日常の移動支援として利用者の9割以上が満足、どちらかといえば満足とのアンケート結果が出ている。
いづれの地域も令和6年度の利用者は実証実験開始年度の2~3倍程度となっており、年々利用者が増えている。
自動運転の実証実験も行ったが(令和3年度で終了)、技術的課題などにより本格運行へ移行せずに実証実験は終了。現在も有人運行されている。
停留所が設定されているが、それ以外の場所でのフリー乗降も可能。
 

質疑応答

Q.どのような市民が利用されるのか?
A.買い物や通院、暮らしの用事などの日常利用が多く、地域の移動支援として定着している。

Q.本格運行を続けているが事業の課題などはあるか?
A.時速20km/h未満、バッテリー駆動であることから、バッテリ残量を考慮したルート・エリア設定や運行便数に留意が必要。特殊な車両のため、修理の際には製造元(群馬県)へ輸送する必要があり、費用と期間が掛かる。

Q.充電はどの程度の頻度で行っているのか?
A.昼休みと、一日の運行終了後、車庫にてプラグで充電している。
 

所感

グリーンスローモビリティは時速20km/h未満の条件があることから、公道走行でどのような感じなのか気になっていたが、幹線道路を通るルートは少なく、後方に車両が来た時には広い路肩などで道を譲っていたため苦情なども無いようであった。また、無料で乗れる気軽さ、地域内の運行であることから利用者同士のコミュニティが生まれる場にもなっていた。車両はコンパクトなため、比較的狭隘な道路でも走行可能である。また、乗り心地も全く問題ないと感じた。
立川市内の交通不便と言われる地域には狭隘道路が多く、立川市のコミュニティバス(くるりんバス)でも通行が困難なところがあるが、グリーンスローモビリティ(車体によるが)ではこのような地域に入っていくことができる利点があると感じた。
これまでも公明党として、交通不便地域の解消、高齢社会に対応した移動支援の拡充などを訴え、デマンド交通の導入などの具体的提案も行ってきた。今回の視察内容も参考としながら、現在立川市では持続可能な地域公共交通について有識者や事業者なども加わって検討が進められており、しっかりと注視していきたい。

お忙しい中、現地までご案内いただきご対応いただきました大分市都市交通対策課の皆様に心から感謝申し上げます。

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瀬のぶひろ X
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