10月29日(火)、枚方市で立川市議会文教委員会の行政視察を行いましたのでご報告します。

視察先と調査項目
視察先:枚方市役所
調査項目:インクルーシブ教育について
調査の目的
立川市議会文教委員会では、「地域に根ざした学校施設のあり方」を所管事務調査のテーマとし、インクルーシブ教育、小中一貫教育、学校と地域の関わり、施設複合化など、ソフト・ハードの両面で学校施設のあり方を検討するめの調査を行うこととした。
枚方市では、「ともに学び、ともに育つ」を理念としたインクルーシブ教育に以前より力を入れており、その取り組みや社会環境や諸課題に対応した学びの場のあり方について学び、立川市における支援の必要な児童生徒に対する取組の参考とするため視察を行った。
調査概要
枚方市役所にて、市教育委員会事務局学校教育部支援教育課の課長から「枚方市の支援教育」について説明いただいた。
支援教育の現状と取組み
●枚方市の学校
○小学校 44校
○中学校 19校
○児童生徒数 約3万人
○教職員数 約2千人
●支援教育の目指すところ
「ともに学び、ともに育つ教育の推進」
障がいの有無にかかわらず、すべの児童生徒の自立、社会的参加をめざす
支援教育の現状
○支援学級数 小学校298学級/中学校97学級
○支援学級在籍児童生徒数 小学校1,860人/中学校543人
○通級指導教室数 小学校22校25学級/中学校19校21学級
○通級指導教室数利用人数 小学校383人/中学校173人
支援学級数及び支援学級在籍数はともに令和元年以降も増加傾向にある
●支援教育の進め方
子どもの特性に応じて5段階で指導・支援を行っている。
第1段階:基礎的環境整備の徹底(通常の学級において、すべての子どもを対象に質の高い指導を実施)
第2段階:適切な配慮の提供(合理的配慮など、個別の配慮や補足的な支援を追加/教員ごとの対応)
第3段階:適切な配慮の提供(個別的な支援を追加/学校体制としての対応)
第4段階:適切な配慮の提供(通級指導教室の利用等、個別の教育支援計画を活用し、通常級担任と連携)
第5段階:適切な配慮の提供(特別な教育課程の編成等、支援学級に在籍)
●通級指導教室について
通常の学級での学習におおむね参加できるが、一部特別な指導を必要とする児童生徒が対象。
週に1~8時間、個別あるいは数人程度のグループ指導を受ける。
●支援学級について
1年ごとに設置するかどうかを決める単年度設置の学級で、児童生徒一人一人への加配はない。1学級、8人までは1名の支援学級担任を配置。
学習においては当該学年や下学年の強化の目標や内容、知的障がい特別支援学校の教科の内容を目標として設定している。
障がいによる学習上又は生活上の困難を改善・克服するための「自立活動」を必ず行っている。
●教育委員会による学校支援
支援教育学校園支援事業:専門家の学校派遣、巡回相談員の定期巡回など
支援教育コーディネーター支援充実事業:全小中学校に1校当たり平均週10時間講師を1名配置
支援員の配置:肢体不自由児介助員、学校看護師、特別支援教育支援員
言語聴覚士・理学療法士巡回相談:食事指導の指導・助言、機能回復訓練及び支援級担任へ指導・助言
支援教育運営経費:支援学級の修理・拡大教科書貸与・点訳委託などのほか、車いす・バギー・階段昇降車等の貸与
通級指導教室担当教員の研修:年間11回の研修のほか、担当者同士の交流や地区別研修会など
特別支援教育支援員研修:3月4月に配置前研修(計6日間)を実施
LITALICO教育ソフト活用:状況に応じた計画作成や、計画に紐づいた教材の活用が可能なソフトを全校導入
●小学校入学までの流れ
6~7月に指導主事による就学前施設訪問で就学相談を実施。
8~10月に市教委担当者と保護者で面談。保護者面談で府立支援学校の就学希望があれば10~11月に学校見学・相談。市立小学校希望の場合は校区の学校による教育相談(見学・相談)。
保護者の意向を最大限尊重し、11月までに意向最終確認を行い、教育委員会が就学先を決定する。
通常学級、通級指導教室、支援学級、府立支援学校など多様な学びの場について、すべての保護者向けに説明会も実施している。
環境の変化への対応が難しい児童のため、入学式前日に会場の見学も対応している。
支援教育の課題
●枚方市支援教育充実審議会
これまでの支援教育についての現状や課題等を総括し、支援教育の質の向上策など、今後の支援教育のあり方を諮問するため、令和5年度に設置。医学、教育学、臨床心理、弁護士などの専門家、校長会、保護者、市民などで構成されている。
令和7年2~4月に答申予定。
●審議会議論の中からの課題
ともに学ぶだけでなく、障がいに応じた個別の対応の大切さや、「ともに学び、ともに育つ」の概念の共通理解に課題が見られる。
通級指導教室は、障がいによる困難を克服する場であるが、単に教科学習の補充しか行われていない場合もあるのではないか。
保護者の意向を最大限尊重して就学先を決定しているが、より納得して就学先を検討できるよう、専門化等の意見を踏まえた情報提供が必要。
質疑応答
Q.教室のユニバーサルデザインの事例は?
A.黒板の内容に集中できるよう黒板の周りには掲示物などを無くす、音が出ないよう机・椅子の足にテニスボールを設置、色覚に配慮したユニバーサルチョークの利用など
Q.支援の必要な子どもに自分の子ばかりが世話をしているといった保護者の声はないのか?
A.子どもたちは当たり前のように助け合っており、ともに学ぶことで自然と身についてる。子どもにはこのようなことを家でも話すように言っており、保護者にも子どもを通した気づきがある。
Q.教員不足との話があったが何か対策はしているのか?
A.市費で講師採用をして掘り起こしをしている。その他、教員募集のビラ配り、バス車内にポスター掲出、デジタルサイネージなどでも募集告知をしているが、教員はやはり不足している。
所感
近年、特別な支援の必要な児童生徒は、全国的にも増加傾向であり枚方市でも同様であった。
大阪府内では以前より原学級保障によって支援学級に在籍する児童生徒も、通常級(原学級)で障がいのない児童生徒と多くの時間一緒に学んできており、枚方市においても同様であった。しかし、令和4年4月に文科省より発出された通知では、支援学級にいる児童生徒は原則として週の半分以上を支援学級で授業を受けることを求めており、様々な議論があるところである。枚方市は、多様な学びの場を提供し、保護者との相談の中で学びの場を選択することとされた。枚方市では、どのような形であったとしてもアセスメントをきちんとすることが重要であり、その中ですべての子どもに個別最適で協働的な支援を提供できるよう様々な工夫をしながら支援教育を進めている説明をいただき、具体的な取り組みは大変参考となった。
お忙しい中、説明や質問にも快く応じていただいた枚方市教育委員会事務局学校教育部支援教育課長に、心より感謝申し上げます。


