若い人を対象にしたがん対策を進める上で重要な調査結果である。
国立がん研究センターと国立成育医療研究センターは、14歳以下の小児と、15歳から39歳の思春期・若年成人を指す「AYA世代」のがん患者に関する報告書を発表した。
これは、がん診療の拠点病院など全国844施設を対象にした調査結果で、がん患者の情報をデータベース化して治療などに活用する「全国がん登録」が始まった2016年から2年間のデータを詳細に分析したものである。
今回の報告書については、公明党が一貫して支援の必要性を主張し、政府も対策に本腰を入れ始めているAYA世代に焦点を当てたことに注目したい。
とりわけ重く受け止めるべきは、AYA世代のがん患者5万7788人のうち、約8割を女性が占めているという実態である。
がん患者全体では男性が半数を超えているだけに、世代特有の傾向と言えよう。具体的には、子宮頸がんや乳がんの増加が理由との見方を報告書は示している。
特に子宮頸がんは20代から急増している。まずはしっかりと検診を受けることが大切だ。20歳になると自治体を通じて配布される無料クーポンを活用してほしい。日本の検診受診率は、8割を超える米国の半分にとどまる。国や自治体はクーポンの周知に一層努め、職場や学校でも検診を呼び掛ける必要があろう。
がんの種類や性別を問わず、今回の調査結果を今後の診療体制の強化につなげることも忘れてはならない。
この点で重要なのは、AYA世代のがん患者には、きめ細かい支援が必要であるということだ。
進学や就職、結婚、出産といった人生の大きな節目を迎える中でがんに直面するだけに、精神的なサポートはもちろん、学業や仕事、家庭生活と治療との両立支援など、一人一人の事情に寄り添う姿勢が欠かせない。
AYA世代は、その上の世代に比べ患者数が少ないことから対応の遅れが指摘されてきた。今後も実態調査や症例の分析を重ね、予防策の推進や治療法の確立、相談体制の強化に取り組む必要がある。
公明新聞2019年10月25日付け
