5月23日に、愛知県豊田市で立川市議会公明党会派行政視察を行いましたのでご紹介します。
視察先: 豊田市役所
調査項目:高齢者移動支援事業について
本市のコミュニティバス・くるりんバスは現在6台のバスで運行されており、昨年には、交通不便地域の解消などを目的にルートの再編が行われた。過去のルート再編などにおいても、また今回のルート再編においても、市民の方々から多くの意見が寄せられている中で、地域の環境や実情に応じた地域公共交通のあり方については、将来を見据えた視点も含めて考えていく必要がある。そのような中、高齢化や過疎化など、日常の移動手段の確保が喫緊の課題となっている自治体においては、様々な取り組みが進められており、我が会派においてもこれまで視察調査など研究を続け、市へ対して検討を求めてきた。
今回は、高齢者の移動支援事業として大学と共同での実証実験を行っている豊田市において、それまでの取り組みや、現在の課題、今後の方向性などを調査することで、本市における公共交通のあり方の検討を進める参考とするため、視察を行った。
【調査概要】
田市福祉部高齢福祉課および都市整備部交通政策課から事業概要の説明を受け、その後、質疑応答を行った。
◆ひとり暮らし高齢者等移動費助成事業
日常生活において介護や支援が必要であるが、一人暮らしのため家族の支援を受けられない高齢者に対して、移動にかかる交通費の一部を助成することで、住み慣れた地域で自立した生活を送るための支援としている。
具体的には、介護保険の認定を受けた単身世帯の方を対象者とし、年間1万6千円分のタクシー助成券を交付している。助成券は100円券となっており、利用に際しては乗車料金の半額を限度に使用することができる。
高齢化の進展により交付者は平成23年度の1,043名から、平成28年度では1,932名と倍近くとなっており、交付枚数に対して使用された利用率は約5割となっている。本年度の助成予算は約13,000千円。
◆自動車学校のスクールバスを利用した高齢者等交通対策事業
市内の自動車学校と協定を締結して、通常運行している自動車学校のスクールバスに、高齢者及び障がい者が空きスペースに乗車できる事業として平成14年度よりスタートした。スクールバスのため、介助者はおらず、障がい者や高齢者向けの車両ではないため、一人で乗り降りできることが条件となっている。
当初は自動車学校へ金銭的補助も検討したが、有償運送として道路運送法に抵触することが判明した。しかし自動車学校から社会貢献として無償で実施したいとの申し出を受け事業を開始することができた。
予約方法の変更や路線の大幅改廃などにより、運行当初から比較すると禁煙の利用者は減少しているが、現行路線は利用者数にあまり変化がなく、買い物や病院への交通手段として重要な役割を担っている。
◆中山間地域の交通網整備
平成17年に周辺6町村と合併し、市域は約918㎢と広大であり、合併した各地域は中山間地である。かつては路線バスネットワークが充実していたが、人口減少などに伴い、平成13年ごろから路線バスの減少が顕著となってきた。
そこで公共交通ネットワークとして、都市部と中山間地については基幹バスを、中山間地域内には地域バスを運行することによって整備を図った。これらのバスについては、市がネットワーク化(ルート設定)を行い、運行事業者をプロポーザルで決定、運賃収入を除く経費を市が負担している。平成27年度の市の負担額は約6億2千万円、地域バスの運行経費が年々増加の傾向である。
◆あすけあいプロジェクト
名古屋大学、足助病院、豊田市が共同で、高齢者の移動支援、お出かけ促進、健康見守りにICTを活用する実証実験を平成28年度から3カ年で開始した。
具体的には高齢者の移動支援として「あすけあいカー」(地域住民がマイカーを使って移動支援)、「タクシー相乗りシステム」(相乗りのマッチングシステム)、「お出かけ促進」では健康教室やイベントの情報発信にタブレットを活用、健康見守りについては「見守りサービス」として独居高齢者の生活状況を人感センサーで感知して見守る取り組みが行われている。
これらを総合的に支援する仕組みにはタブレット端末が活用され、共同で参画する実施主体が役割を持って取り組んでいる。
◆ひとり暮らし高齢者等移動費助成事業
Q.対象要件の確認については民生委員に委任しているが、委員の負担が大きいのでは?
A.独居の介護認定を受けている高齢者が原則で、民生委員一人当たりの対象者は10名程度で、大きな負担はない
Q.年度途中で対象となった方への周知は?
A.介護認定の手続きは包括支援センターで進めることが多く、センターから新たに介護認定を受けた方などに制度を周知いただくよう依頼している
Q.遠隔地の方は1回の乗車料金が高いことから、助成額上乗せの要望はないのか?
A.そのような声はいただいていない
Q.乗降車場所は市内に限るのか?
A.制限はしていない
◆自動車学校のスクールバスを利用した高齢者等交通対策事業
Q.運行については無償だが、市の財政負担は全くないのか?
A.乗客への保険に加入し、年間約11,000千円は市が負担している
◆中山間地域の交通網整備
Q.高齢化率は?
A.市内全体では25.1%、地域によっては40%を超えているところもある
Q.基幹バスの拠点はどのような場所なのか?
A.各地区にある支所や、その周辺の店舗などが集まる中心地
◆あすけあいプロジェクト
Q.地域公共交通会議に市の福祉部局は入っているのか?
A.現状は入っておらず、今後検討の必要性がある
Q.その他の部署も含め、複数部署が関わるが庁内の連携は?
A.プロジェクトとしてスタートしたことがきっかけで連携が深まっている
Q.タブレットは支給しているのか?
A.1年目は無償で貸与し、2年目以降利用者に月3,500円の負担をいただいている。あすけあいカーのサポーターは無償で提供。
Q.補助金などは活用しているのか?
A.トヨタモビリティ基金を活用し、3年間で3億円の支援をいただいている
Q.会員登録の個人情報の取り扱いは大変ではないか?
A.今は地域内の顔が見える関係で問題は出てきていないが、今後利用者が増えた時には課題となることが考えられ、検討を始めている。
Q.あすけあいカーが充実すると地域バスがいらなくなるのでは?
A.地域バスはスクールバスとして運行しているところもなり、完全になくなることはないが、基本的な考え方としてはあすけあいカーを充実させていきたい。
【所感】
地理的、人口など、本市と環境はことなるものの、高齢者の移動支援のメニューとして多彩な事業を行っているとの印象を受けた。特に、あすけあいプロジェクトは、ICTの活用などで持続可能な地域づくりや、地域で豊かに暮らすための大きな役割を感じた。本市において、そのまま当てはまるものではないが、仕組みとして大いに参考となる視察となった。


