1月23日に、山口県山口市で立川市議会公明党会派行政視察を行いましたのでご紹介します。

視察先: 山口市役所
調査項目:コミュニティタクシー事業について


写真 2017-01-23 16 22 46山口市は平成23年度に、地域公共交通活性化・再生優良団体大臣表彰を受賞するなど、様々な地域公共交通の取り組みが行われています。
立川市においてもコミュニティバス「くるりんバス」が、平成14年に運行を開始し、途中ルート新設や一部変更が行われ、平成28年には全体的なルートの再編が行われました。再編では新規ルートの設定、既存ルートの廃止や変更が行われましたが、地域個別の実情などを含めた様々な意見が聞かれるところです。更に、少子高齢化やこれから進みゆく人口減少など、社会環境は刻々と変化していますので、将来的に市民の生活を守る公共交通がどうあるべきかは今後ますます大きな課題となってきます。
そこで、コミュニティタクシーなどきめ細やかな市民のための交通網を整備し、大臣表彰を受けるなど成功事例として注目される山口市の交通政策について視察を行いその状況を学ぶことで、今後の立川市における公共交通のあり方を考える参考とするため視察を行いました。

【調査概要】

写真 2017-01-23 14 21 57山口市役所において、山口市都市政策部交通政策課の交通政策担当副参事である岩本誠治氏より資料を用いた山口市の交通政策についての取り組みをご説明いただき、続いて質疑応答による調査を行いました。

1.概要
山口市は平成17年10月に1市4町が合併し、平成22年1月に阿東町を編入、現在の市域は1,023平方キロメートル、人口は19万7千人、高齢化率27.9%である。非効率や都市構造、社会福祉費の増加などから、持続可能なまちづくりへの政策転換が求められていた。そのような中、行政主体のバス運行に対して、移動手段のない地域から不公平感などの不満が寄せられ、わが地域にもコミュニティバスをとの要望が強くなる一方、財政負担は限界に近付いていた。
そういった背景から、市民の意見を反映しながら市の公共交通のあり方を検討する山口市交通まちづくり委員会が設置され、市民や事業者とともに検討会、勉強会、意見交換会が開催された。平成19年9月には「山口市市民交通計画」が、平成20年には活性化再生法の法定計画と市民交通計画の実施計画を兼ねる「山口市地域公共交通総合連携計画」が策定された。

2.山口市市民交通計画
山口市市民交通計画では基本理念を「~子や孫の代まで続く公共交通にしよう~ 創ろう!守ろう!みんなの公共交通」とし、基本目標として市民生活と都市活動を支える公共交通の確立が掲げられている。
また、整備方針の中では都市核と地域核を結ぶ“基幹交通”を交通事業者が主体となり整え、地域をきめ細かくカバーし基幹交通や地域中心部へ接続する“コミュニティ交通”は地域が主体となり整える、とされている。

3.コミュニティタクシー
平成19年5月に、コミュニティタクシー実証運行のモデル地域が募集され、11地域で検討会が実施、アンケート調査などでのニーズ調査も行い、最終的に5地域がモデル地域に応募し、実証運行を開始した。
実証運行は1年間で、地域が運行事業者へ委託し、行政は地域への補助や事業者の調整などを支援する。実証運行後、本格運行では3年以内に基準を達成することを条件に補助金が支払われ、定量的基準としては収支率原則30%以上、乗車率30%以上とされている。
モデル事業の後、他の地域でも導入され平成22年4月時点では8地域で運行されていたが、平成27年8月末に1地域で事業者の廃業により運行が終了、現在は7地域で運行されている。
運行は地域運営組織、運行事業者、行政の3者で、地域事情を一番知る地域が主体となり、交通事業者や行政がともに協働して創り育てられている。それぞれの役割分担は以下の通りである。

a)地域運営組織
運行計画の地元調整と決定、利用者ニーズ把握、広報発行、委託料の支払い等会計事務、時刻表作成・配布、バス停の維持管理
b)運行事業者
安全かつ確実な輸送、利用者のニーズ吸い上げ、運行に関する法律手続き
c)行政
運行に関する補助金支出、運行計画や利用促進活動検討に関する提案、法律手続き等支援

4.グループタクシー
コミュニティタクシーはある程度の人口(需要)がなければ効率的な運行が困難であるが、山口市には小さな集落が散在することから、これら地域の移動手段確保策が必要であった。
そこでこのような地域の交通弱者に対してタクシー利用券を交付し、一般タクシーの共同利用による移動手段の確保と地域コミュニティの活性化を図るためグループタクシー制度が導入された。
原則4人以上のグループで申請し、利用券は一人一枚使えるため相乗りするほどお得になる制度となっている。平成20年度の導入後、様々な要望などを勘案し、年齢要件や利用方法などの変更がほぼ毎年度行われてきた。

【主な質疑】

Q.地域の意見を代表する、まとめるというのは難しいと思うが、検討会などはどのような人に呼びかけたのか?
A.自治会長、PTA、民生委員などへ案内を出し、それぞれの組織で参加を呼び掛けてもらった。

Q.市が交通政策立案のために交通アドバイザーを2名委託しているとのことだが、どのような契約なのか?
A.会議等出席1回毎に謝礼を支払う形となっている。

Q.コミュニティタクシーは地域内の運行であるが、どれぐらいの広さか?
A.地域によって差があるが、10数平方キロメートル~30数平方キロメートル程度である。

Q.経費の市の補助金の割合、地域運営組織の負担分財源は?
A.事業者への委託料の70%を市が補助金として負担している。残りの30%を地域が負担しており、その財源は運賃収入(実際には事業者が利用者から受け取り精算時に相殺)、協賛金、回数券売り上げである。

【所感】

山口市の広大な市域全体を一つの仕組みでカバーすることは非現実的であり、基幹交通と地域内交通を役割分担させた仕組み作りは地域の特性をよく把握したものであると感じました。
コミュニティタクシーは地域がどのように関わっているのか大変興味を持ちました、検討段階から本当にないと困るのか?など、徹底した住民主体の議論が行われた結果、実質的に主体となっている状況がわかりました。また、お祭りや選挙の時に臨時便を運行するなど、各地域が独自の取り組みをしていることも、住民に喜ばれている要因であると感じました。
グループタクシーはコミュニティタクシーから生まれた施策として、コミュニティタクシーより更に需要が少なく道路も狭い地域をカバーする、きめ細かな取り組みであり、許認可など運行のための手続きも煩雑でなく、今後広がっていくのではないかとの印象を持ちました。
山口市と立川市は人口こそ同程度であるが、市域面積は大きな違いがあり、もともとの公共交通網も条件が大きく異なります。従って、山口市の方式がそのまま立川市に適用できる訳ではないですが、仕組み作りの方法や条件設定など、大変参考になる視察となりましたので、今後の立川市の公共交通政策にしっかりと役立てていきたいと思います。

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瀬のぶひろ X
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