写真 2016-02-20 14 58 272月20日(土)の午後、たましんRISURUホールで行われた「第12回立川教育フォーラム」に参加してきました。
今回のフォーラムのテーマは「進んで体を動かし、豊かに関わり合う子を育む」として、小中学校での教育実践の紹介と講演がありました。
 

教育実践の紹介
発表された2校の教育実践をお聞きして共通に感じたことが2点あります。
まず子ども達に見通し・テーマを持たせることで、その後の変容・成果をきちんと評価するということでした。これは今回の発表校のみでなく、学校公開や研究発表会などを見に行っても、先生方がとても意識をされているのを感じます。
もうひとつは、互いに学びあうということです。今回のフォームのテーマから発表校は体育の授業実践を中心に話をされましたが、見通しを示された子ども達は、ペアやチームになって互いに動きのチェックなど学び即時に評価し合うことなどが行われています。同様に学校公開などで体育以外の授業を見ても、やはりペア・チームでの学習が多く取り入れられています。

そして、これらをより効果的にするのがICTの活用だと思います。近年教育現場にもICT活用が広がってきており、立川市立小中学校にも無線LANの整備が今年度進められました。今年度は全中学校へタブレットPCが導入され、生徒たちの学びに活用されている他、指導用として教員にも導入されています。プリントや教科書では表現しづらい「動き」や「音」なども、例えば動画やスピーカーを通して伝えることができます。フォーラムのテーマである体育の授業でも、見本となる動きや、実際の自分の動きを動画で確認したり比較したりするようなことも可能です。そのような中で子どもたち同士で意見を述べ合い学び合ったり、自身で気づくことで習得の助けとなることも多々あるようです。次年度には小学校へのタブレットPC導入も全校となりますので、効果的に活用されることはもとより、子どもたちが早くからICT機器に慣れ親しむ機会になればと思います。
 

講演
講演では、山梨大学教育人間科学部長の中村和彦先生から、「健やかな子どもを育む」とのテーマで大変興味深いお話がありました。概略は以下の通りです。

●今の子どもたちが抱えている問題は「学力の低下」「コミュニケーション能力の低下」「体力の低下」の3つであるが、単に成績や知識のことではない。

「学力」=成績や偏差値で表わされる知識や記憶力の問題ではない
→ 思考力・判断力・表現力、そして学びに向う力が低下していることが問題

「コミュニケーション能力」=挨拶や国語力・英語力の問題ではない
→ 人を思いやる力、人を慈しむ力が低下していることが問題

「体力」=体力運動能力調査の結果や順位が問題ではない
→ 基本的な動きの習得や運動量が減少していることが問題

これらはそれぞれが単独で育まれるのではなく、3つすべてが連動していることが大事。

●体力の低下は怪我の増加以外にも、生活習慣病の増大(肥満、やせ傾向の顕著化)、感染症罹患の増大(インフルエンザ罹患率は10年前よりはるかに増えている=抵抗力が落ちている)などに大きく関係している

●子育て、教育において大切にしなければならない発達の特性を、教員だけでなく、スポーツ指導者や大人が理解する必要がある

1.育ちは相互補完性を持っている・・・認知的発達側面、情緒や社会性の発達側面、身体運動の発達側面の3つの側面は、お互いが関係し、補い合いながら能力をはぐくむ特性を持っている
2.育ちには発達段階がある・・・早く習得させることでその能力が高まるということはない。学習指導要領(幼稚園教育要領、保育指針)では領域、強化の編成、教育目標や内容の設定において、発達段階を考慮して作成されている。
3.育ちは、強調すべき時期と課題がある・・・育ちは直線的ではない。その能力特有の「強調すべき時期(強調期・臨界期)」が存在し、それをもとに発達課題がある。
4.「持ち越し効果」を考えた子育て・教育が必要・・・学校教育だけで学びが終わるのではなく、生涯を通して「おもしろく」「気持ちよく」「主体的に」学び実践していけるための子育て、教育をしていくことが必要

●子どもの体力・運動能力低下の要因に「動作の未発達」「運動量の減少」が挙げられる。

・昔は学校が終わったら道路で遊んでいた → いま道路で遊んでいると怒られる
・公園はたくさんあるが子どもが遊んでいない → ボール遊び禁止、自転車禁止、他人への迷惑禁止 → 何もできない
・幼児や低学年から特定のスポーツのみに力を入れる → バランスの悪い発達や、勝利至上主義(特に大人が)による自発性の欠如

諸外国では小学生スポーツの全国大会は廃止若しくはもともと行われていない国が多い。様々な弊害から、陸上競技は2年後から小学生の全国大会は廃止する。バスケットボール、水泳、卓球も同様の検討をしている。

●身体技能の発達には「動作の多様化」「動きの洗練化」
・動作の多様化 → 回る、立つ、走る、跳ぶ、投げるなど、様々な動きの経験で動きのレパートリーを増やす
・動きの洗練化 → 基本的な動きを繰り返し経験し、無駄な動作や過剰な動作を少なくして動き方が上手になる

このような発達面で段階を考えないといけない。例えば投げる動作をするときに、手だけで投げる→腰をひねる→足を踏み出す(投げる手と同じ側の足)→投げる手と反対側の足を踏み出すなど、多様な動きを組み合わせて効率よい動作を自ら発見し習得していくのが段階を経た習得であるが、一部の少年スポーツ指導者はその競技における動きの完成形をいきなり習得させようとすることが見られる。諸外国ではスポーツ指導者や保護者にも学習指導要領を理解してもらうことをしている。(次期学習指導要領ではそのような取り組みも考えるようである)

●健やかな子どもたちを育むためには大人のリテラシー向上が大事。子どもの発達段階を考慮し、トータルな子育て・トータルな教育を重視しなければならない。同時に、学校のみならず地域や家庭の子育て力、教育力向上が重要である。

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