1月20日に、岡山市で会派行政視察を行いましたのでご紹介します。
視察先: 岡山市役所(岡山県)
調査項目: 持続可能な社会づくり~岡山ESDプロジェクト推進事業~について
市民からの働きかけにより、2002年に国連が開催した地球環境問題に関する国際会議(ヨハネスブルクサミット)に市長特使を派遣し、国連としてESDの取り組みが開始されるとの情報を得た。翌年より更なる情報収集を始め、2004年には大学教授にもアドバスをもらい、市としてESDの取り組みを進める方向となった。1980年代から市内には環境、女性、南北問題などの市民活動が継続して行われており、公民館においても環境保全施策や社会教育主事の配置がされるなどの背景があったことから、「環境」「国際理解」を中心にESDを推進していくこととされた。
国連ESDの10年(2005~2014年)のスタートに合わせ、「持続可能な社会の実現に向け、共に学び、考え、行動する人が集う地域づくり」を目的に岡山ESDプロジェクトが開始された。プロジェクトの取り組みに当たっては、岡山ESD推進協議会(事務局:岡山市)が設置され、市民団体、行政、教育機関、企業、社会教育機関、メディアが登録団体として取り組みに参加した。活動団体は当初48組織であったが、2015年には242組織huh大きく増加している。
このプロジェクトは「ESD岡山モデル」として“地域拠点(公民館、ユネスコスクール)を核に市域全体での取り組み”“あらゆる世代、多様な団体が参加”“専従コーディネーターや大学による継続的な支援”が特徴とされる。
【調査概要】
1)事業内容
a)公民館による地域でのESD推進
公民館職員が地域の学びと課題を繋げるコーディネーターとなり、地域住民にESDを学ぶ場を提供する、公民館の取組みをESDの視点でまとめる、などの取り組みが行われている。このことにより、公民館、学校、地域が連携して地域ESD推進協議会が設置、環境学習から地域や学校を巻き込んだエコクラブ活動の発展、高齢者のサポート活動を行う“つながり隊”が結成されるなどの成果が生まれている。
b)中学校区単位でのユネスコスクール推進
教育委員会指導課、ESD推進協議会、ESDコンソーシアム事業(文科省補助)などの支援により、市内51校(平成27年10月現在)がユネスコスクールに登録している。中学校区内の小中学校が地域と連携し、農業など地域の特色を生かしながら中学卒業までに育ってもらいたい人間像を明確にした人づくりを行っている。
c)継続的な支援
岡山大学や岡山理科大学などとの連携協定による組織的な支援や、研究室単位でのつながりなどにより、農業、学校教育、環境保全活動などの面で継続的な支援を受けることができている。また大学生が地域活動へ参加することにより世代間の交流などにも役立っている。
2)ユネスコ世界会議
国連ESDの10年の最終年となる2014年に名古屋市と岡山市で世界会議が開催された。岡山市での開催により、“岡山モデルの発信”“持続可能な社会づくりを目指す都市イメージの発信”“観光・コンベンションの推進”“市民協働の取り組みや制度化の進展”などの成果を得ることができた。
この会議においてESDの10年は終了となるが、引き続きユネスコとしてESD
の取り組みを進めるため「ESDに関するグローバル・アクション・プログラム(GAP)」が採択され、この中の5つの優先行動分野の一つである「地域・地方での取り組みの促進」分野において、岡山市がキーパートナーに選定された。
岡山市においては、2015~2019年の5年間を計画期間とする「新岡山ESDプロジェクト基本構想」を策定するとともに、岡山ESD推進協議会の体制一新、市も市民協働局にESD推進課を設置するなど、今後もESDを継続的に推進することとしている。
【主な質疑】
Q.事業開始時にはどのような苦労があったか?
A.まずESDという言葉、考え方が行政も含めて全くわからなかった。
Q.職員のスキルアップは?
A.公民館職員については、年8回の研修を行っている。一般職員については市民も参加可能として年3回の実施。
Q.ユネスコスクール加盟が全ての学校でないのは何故?
A.教育委員会指導課が、地域性やそれまでの取り組みなどを勘案して中学校区単位で加盟を推進してきた。その他の学校については加盟は任意としている。
Q.市民へのESD理解は進んでいるのか?
A.地道な活動で少しずつ進んできたが、世界大会の開催が認知度を上げる大きなきっかけとなった。市民意識調査の結果を見ると、3年前に約17%であったものが、本年は40%にまで増加している。
【所感】
学校教育においても教育指導要領の改訂に合わせたESDの推進や、文部科学省におけるESD関連予算の増加など、世界市民としての人づくりは大きな流れになりつつある。
その点で岡山市で行われている地域活動と学校教育など、様々な分野をつなげていく取り組みは、生活に身近な課題からグローバルな視点で物事をとらえるという意味において、非常に素晴らしい取組みであると感じた。
本市においても多くの市民活動団体があり、ESDの掲げる環境や人権など地球的課題を取り扱う団体も少なくない。また学校教育においても総合的な学習の時間や、平成27年度に開始した立川市民科などを通して、既にESD的活動は展開をされていると考えられる。それらを地域とグローバルな視点で捉えることが重要であり、今後もESDの普及について研究し、推進していきたい。
