11月9〜10日、全国市町村国際文化研修所で開催された「市町村議会議員研修 議会改革を考える〜先進事例に学ぶ住民参加・情報公開〜」に参加してきました。
立川市議会では以前より、一問一答方式や電子表決の導入など、様々な議会改革が進められてきており、昨年には議会基本条例を制定、タブレットの導入が行なわれました。そして今後も改革を進める上で、さらなるICT活用が求められることから、議会内に非公式の市議会活性化ICT活用検討プロジェクトが今年設置され、私もメンバーとして参加させていただいています。しかし、ICTの活用はあくまで手段であり、いかに市民に開かれた議会にしていくのか、住民参加や情報公開について、先進事例に学び立川市議会へ生かしていきたいと思い研修に申し込みました。希望が多く当初の定員を増やしたそうですが、それでも抽選となったそうですので、参加できて良かったです。
【研修スケジュール】
◆1日目(11/9)
12:30〜13:00 開講式
13:00〜14:30 講義・質疑応答「地方自治の現状と議会改革の動向」
(早稲田大学名誉教授 北川正恭)
14:45〜15:45 講義「議会改革の進め方」
(早稲田大学マニュフェスト研究所事務局長 中村 健)
16:00〜17:30 事例紹介「住民参加・情報公開を進める取り組み」
(可児市議会前副議長 川上文浩、芽室町議会議長 広瀬重雄)
17:00〜18:00 対談・意見交換
◆2日目(11/10)
09:00~12:00 演習「各議会における今後の議会改革推進の検討」
(早稲田大学マニュフェスト研究所事務局長 中村 健
麗澤大学地域連携センター 客員研究員 松野 豊)
13:00~14:30 講義・意見交換「今後の議会改革の進め方」
14:30~14:40 閉講・事務連絡
(早稲田大学マニュフェスト研究所事務局長 中村 健)
【講義・演習の概要】
●講義・質疑応答「地方自治の現状と議会改革の動向」(北川名誉教授)
国全体では“富と長寿の獲得”を目指す成長時代から、“理想の実現と多様性の主張”となる成熟時代となっている。成長時代は中央集権で豊富な財源から富の分配の時代であり、成熟時代には地方分権で不利益の分配(限られた財源)の時代と考えられる。1995年に地方分権推進法が制定され、2000年には地方分権一括法が施行された。それにより、国と地方自治体の関係で言うと、国へ予算の分配をお願い(陳情)する主従の関係から、自己決定し自分たちでまちをつくる対等な関係になったとも言える。このように政治の分野で大きな変化があり、時代が変わってきたことから議会改革が必要となる。
しかしながら投票率の低下に見られるように、多くの市民には議会不要論があることも事実(自治体によって異なるが一般的に)。地方分権が進められる前は国から地方自治体への機関委任事務が多く、都道府県では約8割、市町村でも約4割の仕事が国の仕事であったため、議会は事務執行のチェック機能が大きなウエイトとならざるを得なかった。が、地方分権の推進により権限が国から地方自治体に移されてきている中では、自分たちのまちづくりを進める上で二元代表制の議会が首長執行部と対等に機関競争できる実力が必要となる。
そのため議会改革がクローズアップされ、多くの地方自治体で様々な改革が進められてきた。改革が進む中でどの地方議会も直面するテーマが「議員定数・議員歳費・政務活動費」の削減であるが、削減=改革なのかよく考えるべきである。改革の名の下にこれらの削減だけを進めた時に、議員のなり手がいなくならないか、本当に民意が反映できるのか、などよく考えなくてはならない。4月の統一地方選では立候補者が定数以下となり無投票となった議会が増えている。議会として真に考えないといけないのは、政治が住民の幸福につながっているのか、それを住民に理解していただくようになっているのか。そのような観点で議会改革を考えたとき、自ずと自分たちの議会は何を改革しなければならないのかが見えてくるのではないか。
●講義「議会改革の進め方」(中村事務局長)
議会改革を進めていく中で目標をどのように設定するか。地方創生総合戦略ではKPI(Key Performance Indicator)が重要視されている。例えば、糖尿病患者数を減らしたいとした場合、従来はそのために食事改善講習会を開催し、参加者の目標数と実績数を指標としていた。しかしこれからは、講習会を開催して参加者目標数を設定、開催して食事改善や検診に行く人がどれだけいたか、その結果最終的に通院患者数が何人減となったか。この患者数の減をKPIとしなければならない。つまり、解決したい課題に対して、「インプット」「アウトプット」「アウトカム」をはっきりさせ、これをPDCAサイクルに乗せることが大切。これだけの仕事をした、ではなく、これだけの成果があがった、という視点。
●事例紹介「住民参加・情報公開を進める取り組み」
[可児市議会の取り組み] 川上文浩前副議長
議会改革を進めるポイント。「アイデア→気づき」「インスピレーション→ひらめき」「アクティビティ→行動力」「コミュニケーション→相互理解」「インプルメンテーション→実施」「レギュレーション→規程」。
議員の資質向上を図るため大学と連携して地方自治や時事問題について意見交換を行い、議会報告会には教授・ゼミ所属学生に参加してもらっている。
本会議での質問・質疑は論点を明確にし、傍聴者にもわかりやすいよう議場にモニターを設置しパソコン等を活用することができるようにした。これはプロジェクターとスクリーンを用意し、設置は議会事務局が行い経費節減を図ったとのこと。
議会改革のためのアンケート調査を実施した(平成23年)。厳しい現状を把握し議会改革を行う必要性を再認識。第2回調査を平成28年2月に実施予定。
その他、議会運営サイクルの見直し、会議規則や申し合わせ事項の随時見直し、ICTを活用した委員会運営、議会報告会を意見交換のためグループ形式で実施、情報発信の強化、議員研修の充実、地域課題懇談会の開催、高校生議会の開催など、市民に開かれた議会に向けて改革を行っている。
[北海道芽室町議会の改革] 広瀬重雄議長
市民からの提言や意見聴取のため議会モニター制度を設立、議会活動に関する審査や諮問、調査のため議会改革諮問会議を設置、議員研修に住民も参加、広報戦略の充実(年一回議会白書発行、毎月議会だより発行、SNS・ホームページの日々更新)、地域別意見交換会→議会フォーラム→ワークショップと意見聴取のあり方を住民参加しやすい方法へ変革、議会活性化計画を立て着実に進める、などに取り組んできた。取り組みの推進には住民とのコミュニケーションと、外部機関のネットワークを積極的に活用している。
●対談・意見交換(中村事務局長、川上前議長、広瀬議長)
主にここまでの講義・報告を受けて、参加者からの質疑応答が行われた。
●演習「各議会における今後の議会改革推進の検討」(中村事務局長、松野客員研究員)
演習を始めるに当たって中村事務局長より進め方の説明。議会は議決するところ、つまり「話し合って決める」場であるため、話し合う力が必要。話し合って議論を深めるには技術が必要であり、環境や小道具も大切とのこと。今回の演習においては、「自分の考えをはっきり述べる」「自分の主張や立場に固執しない」「自分と相手の思考のプロセスに注意を払いながらその意味を深く探求する」「相互理解と共通の理解を見出すための会話」に注意し、議論が深まるような“対話(ダイアローグ)”を行ってみるよう指導があった。
演習では、参加者を6~7名程度の16班に別け、「議会だよりをどのように改善すればよいか」とのテーマで議論を行った。各班では、司会者、書記、タイムキーパー、発表者を決め、テーマとなっている議会だよりについて、「誰に?」「何を?」「効果は?」「必要?」との観点で約70分にわたり議論し、最後にそれぞれの班から議論の結論について発表が行われた。

●講義・意見交換「今後の議会改革の進め方」(中村事務局長、松野客員研究員、川上前議長)
各講師より全般的な演習の講評があり、その後質疑応答。
中村事務局長より全体のまとめとして以下のポイントが挙げられた。
・時代の流れについていけ
・アンケートよりも住民の生の声が一番
・政治は課題を解決し未来を作る→住民の幸福のため
【所感】
北川名誉教授の講義で、議会改革を進めていく必要性や意義を再確認することができた。また、事例紹介はもとより、演習において他自治体議員との対話の中で、それぞれの取り組みについて新たな気づきとなったことが数多くあった。質疑応答では時間が足りないほどの質問があがり、それぞれの議会における現状に対してアドバイスを求めるものが多かったが、講師からは「どうすればいいでしょうか?という質問はまだまだ真剣に考えていない証拠」との厳しい指摘などもありました。
今回の研修全体を通して、市民の皆様に必要と思われる議会であるためには、議員個人として、また議会全体として、常に資質向上を図っていく必要があることを改めて感じた、とても良い内容の研修でした。
