「性的指向及びジェンダーアイデンティティの多様性に関する国民の理解の増進に関する法律(LGBT理解増進法)」が成立しました。
法律のポイントは、
①性の多様性に寛容な社会の実現を目指す
②基本理念に性的指向等が理由の「不当な差別はあってはならない」と明記
③政府は施策推進の基本計画を策定
④年1回、理解増進施策の実施状況を公表
⑤関係府省などで構成する連絡会議を設置
というものです。
法案が国会で審議されるなか、誤解や曲解ではないか?何かを意図するような発言が飛び交うことに対し、私は懸念を感じました。法案の成立により、女性トイレがなくなりジェンダーフリートイレになる、公衆浴場の女湯に外形上男性のトランスジェンダーが入浴するようになる、スポーツ大会の参加ルールが変わる等々の流言には、当事者の方々に配慮があるとは思えず、憤りを感じました。正しい認識に基づいた議論、判断をしていかねばならないと改めて思います。
そのようななか、公明党の性的指向、性自認に関するプロジェクトチーム(参議院議員・谷あい正明)座長より、成立を受けてのコメントがありましたので、以下に掲載します。
「性的少数者への理解増進に向けて、幅広い合意を得ながら、日本で初めての法律ができたことは大きな一歩。国内外から評価の声が届いている。
この性的少数者への理解増進法は、公明党が動かなければ今国会で成立しなかった。2016年に党として『性的指向と性自認に関するプロジェクトチーム(PT)』をつくり、一貫して当事者の声に寄り添ってきた。今年2月の元首相秘書官による差別発言後に山口那津男代表が理解増進法の早期成立を訴えたことが、国会での議論の活性化につながった。
一方、内容に関して誤解に基づく懸念も多い。丁寧に周知を進めることが必要。政府は多方面からの声を聴きながら議論を深め、性の多様性を認め合う共生社会の実現に向けた取り組みを進めてもらいたい。公明党は今後も当事者に寄り添いながら、幅広い合意形成の推進役を担っていく。」
共生社会に向けて、この法律を大いに活かしていけるよう、運用面においても責任をもって、取り組みを進めてまいります。
さて、国会議事録を中心に簡単なQ&Aをつくりました。法案提案者でない者の憶測や勝手な解釈により、この法律に対する誤解が生じています。正確な理解のためには議事録(以下)をご参考ください。法案提案者は、すべて法制局と法制上の確認を取った上で答弁を行っています。
【問】理解増進法案の意義について
【答】
(15日参・内閣委員会:提案者・国重徹衆議院議員)
性的マイノリティーの方々が生きづらさを抱えてしまうことはあってはならない。同時に、それ以外の方々もこれまでどおり平穏に暮らしていけるような共生社会の実現を図っていく必要があると認識をしている。そのためには、性的指向及びジェンダーアイデンティティの多様性に関する理解の増進を図る必要があると考えて、この法案を提出した
既に憲法によって差別はあってはならないとされ、様々な必要な取組がなされてきたところであるが、政府にしっかりと研究をさせ基本計画を策定させる中で、こうした既存の取り組みを全体的に整理して、政府の政策としてしっかりとした位置付けを与え、既存の取り組みをより良い形で充実させることで、社会全体として共生社会に近づけるものと考える
【問】ジェンダーアイデンティティという表現について
【答】
(15日参・内閣委員会:提案者・国重徹衆議院議員)
衆議院に提出された各案では、性自認、性同一性となっており、それぞれの提出者の思いがあったが、元々はいずれも英語で言うジェンダーアイデンティティの訳語で、法制的な意味は同じ。協議を経る中で、これを争点化させ混乱を生じさせてしまうよりは、ジェンダーアイデンティティを採用するのが適当との考えに至った
【問】法案の成立により、女性トイレがなくなりジェンダーフリートイレになる、公衆浴場の女湯に外形上男性のトランスジェンダーが入浴するようになる、スポーツ大会の参加ルールが変わる等々の懸念について
【答】
(9日衆・内閣委員会:提案者・国重徹議員)
本法案は理念法である。個々の人の行動を制限したり、何か新しい権利を与えたりするものではない。女性トイレ、公衆浴場の女湯など女性用施設等の利用やスポーツ大会への参加ルールについて、現状の在り方を変えるものではない
【問】その上で、公衆トイレ等の利用の在り方についての政府の見解
【答】
(15日参・内閣委員会:小倉大臣)
トランスジェンダーの方の公衆浴場や公衆トイレの利用等について様々な御意見があると承知をしている。具体的に私もLGBT当事者の方々とお会いして御意見を伺ってきた。家族に理解されず誰にも相談できない、心が許せる人間関係がつくれず孤独といった事例であるとか、性的マイノリティーの方は自殺におけるハイリスク層である、こういった切実な声もあった。あわせて、例えば女性の権利利益の保護も重要な視点だと考えている
公衆浴場や宿泊施設の共同浴場については、要領において、おおむね七歳以上の男女を混浴させないことなどを定めている。ここで言う男女は、トランスジェンダーの方も含め身体的な特徴の性をもって判断するものであり、公衆浴場等の営業者は、体は男性、心は女性の者が女湯に入らないようにする必要がある。こうした性的マイノリティーの方もマジョリティーの方も含めた様々な方の声や状況を丁寧に伺いながら、国会における審議の状況、法律の趣旨等も踏まえて、関係省庁と連携しつつ、適切に検討してまいりたい
【補足・公衆浴場等の利用について】
そもそも今回の法改正で、トランスジェンダー女性(心の性は女性で、身体的性が男性)の方が、公衆浴場の女湯に入りたいとの要望を寄せてこられたことはない。その上で、共同浴場における男女の判断基準は、トランスジェンダーも含め、「身体的特徴」の性で区別される。この取扱いは、憲法14条(法の下の平等)に照らして、合理的範囲の区別であって、差別にあたらない。また仮に、トランスジェンダー女性であると偽って女湯に入るような男性がいれば、それはただの犯罪者。建造物侵入罪、また公然わいせつ罪にあたる。施設管理者が出ていけと言って、出ていかなければ、不退去罪にもなる
【問】「全ての国民が安心して生活することができることとなるよう留意する」との文言が追記されたが、多数派が認める範囲でしかマイノリティの権利を認めないということか
【答】
(15日参・内閣委員会:提案者・国重徹衆議院議員)
本法の三条の基本理念に、全ての国民が、その性的指向又はジェンダーアイデンティティにかかわらず、等しく基本的人権を享有するかけがえのない個人として尊重される、相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会の実現と規定をしている。十二条は留意事項であって、そこで定められている内容は、元々一条の目的や三条の基本理念においてうたわれている共生社会の理念と同じものであったが、これを強調する趣旨で留意事項として入れることとした
(9日衆・内閣委員会:提案者・新藤衆議院議員)
(問のように)心配されるようなことは、この法案が意図することではない。そうしたことがないようにきちんと運用していくべきではないか
【問】指針を策定すると記述した意義
【答】
(15日参・内閣委員会:提案者・国重徹衆議院議員)
性的指向及びジェンダーアイデンティティの多様性に関して、現在、指針がないために関係者の方々が対応に迷うこともあるとの声も一部あると聞いている。本法では元々基本計画を策定することとなっていたが、その際に、基本計画に基づいて具体的な施策を講じていくに当たっては、事業者などが対応に困らないように指針も必要になるだろうと考えていた。そのような考えの下、修正に際して、指針を策定する旨を盛り込むこととした次第
地方公共団体の取り組みに関して言えば、本法が成立していない現在も、既に多くの地方公共団体が当事者や団体等の要望を受けて、条例や計画を策定するなどの動きを見せていると承知をしている。しかし、中には、国としての方針もなく、よりどころがないままで対応に悩んでいるところもあると聞いている。また、条例や計画の内容は各地方公共団体によってまちまちになってしまっているという現状がある。こうした中で、国が性的指向及びジェンダーアイデンティティの多様性に関してしっかりと研究を行って、基本計画とともに指針を示すことができれば、国との連携を図りつつ施策を推進することが求められる地方公共団体としても、基本計画や指針を参考にしてより適切な対応を検討することができるようになる
(9日衆・内閣委員会:提案者・新藤議員)
条例は法律の範囲で定められる。条例制定権に基づいて、国がその条例の内容について、法律の範囲であれば影響を及ぼすことはない。地方自治体の事務は国との連携の中で行われていく。判断は地方自治体が行っていく。自治体の取り組みに何かを制限することはない
【問】性的指向・ジェンダーアイデンティティ理解増進連絡会議を設置することの意義
【答】
(15日参・内閣委員会:提案者・国重徹衆議院議員)
現在も政府において必要な取り組みが進められているところであるが、各府省庁でそれぞれ別々に取り組まれている。そこで、幅広い関係省庁が集い、理解増進に関して連絡調整を行うための場として連絡会議を設けることとした。本法により、内閣府が主管省庁となる。この主管省庁と連絡会議とが相まって、政府として理解増進のための施策を推進していく体制が整うものと期待をしている