河川全体で対策進め水害に強い街をつくる
2022/08/16 3面
地球温暖化などの影響により激甚化・頻発化している豪雨や台風による水害に対応するため、ハード(防災工事)・ソフト(避難計画策定など)一体で取り組む「流域治水プロジェクト」。昨年11月には流域治水関連法が全面施行され、関連予算も拡充し、国土交通相が指定する全国109全ての1級水系などで対策が加速している。流域治水の考え方や各地の事例を紹介するとともに、
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2018年の西日本豪雨や19年の台風19号、20年7月の熊本豪雨など近年の豪雨では、幾つもの河川が同時多発的に氾濫したり、堤防が相次いで決壊するなど、甚大な被害が出ている。こうした水害対策として政府が進めているのが、公明党も訴えてきた流域治水【イラスト参照】である。上流から下流まで地域の特徴に応じた施策を、切れ目なく実施する取り組みだ。
堤防強化などハード面と併せて、ソフト面の整備も進める。例えば、防災情報の収集・伝達体制や避難計画作成などを拡充。住民や企業、自治体といった関係者が協働して防災意識の向上に努め、被害を最小化させる。
昨年11月には、ハザードマップ(災害予測地図)の作成について、大規模河川に加え中小河川にも対象を広げる流域治水関連法が全面施行。高台への集団移転や、浸水リスクの高い地域での高齢者施設の制限なども含め、災害に強い街づくりを強力に後押ししている。
流域治水の加速化の基盤となっているのが、総事業費15兆円に上る「防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策」(21~25年度)だ。公明党の主張により、国土強靱化関連は前年度比3%増の3兆8736億円が確保された。
■ハード・ソフト一体の整備
■河道掘削工事で氾濫被害を防ぐ/静岡・黒沢川
流域治水のハード対策が進み、効果を上げている流域の一つが、静岡県菊川市などを流れる黒沢川である。
黒沢川一帯は、19年の東日本台風で浸水被害に遭遇。対策強化へ国と自治体が中心となり流域治水プロジェクトが進められ、21年6月に河道掘削が実施された【写真参照】。
国交省の推計によると、今回の整備によって、21年7月豪雨時の周辺地域における黒沢川の水位は、従来の大雨と比べて低下。河川の氾濫を防ぐのに効果的だったと指摘している。
■迅速な避難行動へ浸水センサー活用/三重・宮川
ソフト対策の取り組みも進んでいる。その一つが三重県伊勢市などを流れる宮川流域だ。
17年10月の台風21号で洪水被害に見舞われた宮川流域では、伊勢市などが中心となって対策協議会を設立。防災対応の強化へ簡易型センサーを活用した「浸水状況共有システム」の運用を試みている。
このシステムは、緊急時の浸水状況をいち早くつかみ、住民の迅速な避難行動につなげるのが狙い。20年9月から始め、宮川流域での設置数は33カ所まで広がっている。このセンサーが検知する水位は二つ。道路での浸水を想定した地上から5センチ程度と、避難が難しい家屋浸水の30~50センチ程度だ【写真参照】。検知された浸水情報は、インターネット上でリアルタイムで集計され、周辺の地図情報とともに、行政の防災担当者らが把握できる仕組みになっている。
現地で対策を取りまとめている国交省中部地方整備局の中村一郎課長補佐は、「ハード整備に加えソフト面の安全対策も着実に進め、安心して暮らせる街づくりを実現させたい」と語っている。